常用労働者30〜99人の企業で、年次有給休暇の取得率は64.9%。1,000人以上の企業は69.0%で、差は4.1ポイントだった。厚生労働省の令和7年就労条件総合調査が集計した、令和6年1年間の実績である。全体では66.9%。ただし、この調査に「中小企業」という区分は無い。

集計されているのは4つの規模階級

中小企業基本法の中小企業は、業種ごとに資本金の額と従業員数で決められている。この調査が切っているのは、そこではない。常用労働者30人以上の民営企業を、1,000人以上・300〜999人・100〜299人・30〜99人という4つの階級に分けたうえで、階級ごとに付与日数と取得日数を集計している。

だから「中小企業の有給取得率」を引くときは、4つのうちどれを指すのかを先に決めることになる。30人未満の企業は枠の外。

本文の内容を自分の職場に当てはめるなら、設問に答えたほうが早く済みます。

設問に答える

規模が下がるにつれて、付与日数も取得日数も減る

企業規模 付与日数 取得日数 取得率
1,000人以上 18.5日 12.8日 69.0%
300〜999人 18.4日 12.3日 66.8%
100〜299人 17.8日 11.7日 65.5%
30〜99人 17.4日 11.3日 64.9%
全体 18.1日 12.1日 66.9%

取得率の差は4.1ポイント。日数で見ると、付与が1.1日、取得が1.5日の差になる。

ここに読み方の落とし穴がある。取得率は取得日数を付与日数で割った値なので、もらった日数がそもそも少ない階級では、同じ日数だけ休んだとしても率のほうは高く出るという関係になっていて、規模の差は率の上では圧縮されて見える。実際に開いているのは1年で1.5日ぶん。

休みの総量で見ると、差は6.5日に開く

同じ調査は年間休日総数も聞いている。1企業平均で、1,000人以上が117.7日、300〜999人が116.2日、100〜299人が114.5日、30〜99人が111.2日。全体は112.4日だった。上と下の差は6.5日で、有給の取得日数でついた1.5日より大きい。

年間休日が120〜129日の企業の割合も並べておく。1,000人以上で56.3%、30〜99人で33.3%。有給を何日使えたかより、もともと休みの日が何日あるかのほうが、規模で開く。

前の年からは1.6ポイント上がった

令和6年調査では付与16.9日・取得11.0日・取得率65.3%だったので、1年で取得率は1.6ポイント上がった計算になる。取得日数は1.1日増えている。

同時に付与日数も16.9日から18.1日へ1.2日増えている。分母と分子の両方が動いた1年だったので、取得率が1.6ポイント上がったという結果だけを取り出して、休みを取りやすくなった証拠として読むと、付与が増えたぶんの説明が落ちる。動いたのは両側。

規模より、産業のほうが差が大きい

産業別の取得率を並べると、いちばん低い宿泊業・飲食サービス業が50.7%、いちばん高い電気・ガス・熱供給・水道業が75.2%。24.5ポイントの開きがあり、規模でついた4.1ポイントの6倍近い。

低いほうから、宿泊業・飲食サービス業50.7%、複合サービス事業57.1%、生活関連サービス業・娯楽業59.6%、卸売業・小売業59.9%、建設業60.7%と続く。自分の勤め先が30〜99人かどうかより、どの産業にいるかのほうが、取得率を左右している。

この4.1ポイントで言えないこと

調査対象は常用労働者30人以上の民営企業6,448社で、有効回答は3,820社。30人未満の企業に勤めている人の状況は、この数値のどこにも入っていない。

取得率の定義は、取得日数の計を付与日数の計で割って100を掛けたもの。分母の付与日数には、前年からの繰越日数が入っていない。繰り越したぶんを使った人の休みは分子にだけ乗るので、繰越の多い職場では取得率が実態より高めに出る。

2019年4月から、年10日以上の有給が与えられる人については、年5日を取らせることが企業に義務づけられた。30〜99人の付与日数17.4日に対して、この5日は28.7%にあたる。つまり64.9%という取得率のうち、少なくとも28.7ポイントぶんは法律で決まっている水準であって、どこからが本人の希望で取ったぶんなのかを、この集計から分けることはできない。

企業単位の集計であることも押さえておきたい。同じ会社のなかで部署ごとに取得率が違っても、この表には1社ぶんの値としてしか出てこない。

11.3日と、自分が実際に休んだ日数

30〜99人の企業で働く人の取得日数は、平均11.3日だった。自分が去年何日休んだかと並べると、差はすぐ出る。

そのうえで、手元で数えられるものが3つある。申請してから承認が返るまでの日数。取得日を自分で決められた回数と、時期を動かすよう言われた回数。休んだ日に連絡が来た回数。

どれも取得率には出てこない。取得率が同じ64.9%の職場でも、この3つは職場ごとに違う。書き留めておくと、次に休みの相談をするときに、日数以外の材料で話せる。