エンゲージメント推移、日本は8%

仕事にエンゲージしていると答えた日本の働き手は8%。米ギャラップが世界規模で続けている調査の2025年の値で、同じ年の世界平均は20%、東アジア地域は18%だった。日本の値は2012年以降、5%から8%の幅を出ていない。

14年間で動いたのは両端だけ

公表されている日本の推移は次のとおり。単位はいずれも%。

年 エンゲージしている していない 積極的にしていない
2012 7 69 24
2013 7 69 24
2014 6 69 26
2015 6 69 25
2016 6 71 23
2017 7 72 20
2018 7 73 20
2019 5 71 23
2020 5 72 23
2021 5 71 23
2022 5 72 23
2023 6 70 24
2024 7 71 22
2025 8 71 21

真ん中の層がほとんど動いていない。14年を通して69%から73%の間に収まっていて、いちばん低い年といちばん高い年の差は4ポイントしかない。上下しているのは両端のほうで、2019年から2022年まで5%で止まっていたエンゲージしている層は、2023年に6%、2024年に7%、2025年に8%と上がり、同じ期間に積極的にエンゲージしていない層が24%から21%へ下がった。

つまり、この14年で起きたのは、7割の人の答えが変わらないまま、残る3割の内訳が入れ替わったことになる。

表の3列が指しているもの

米ギャラップは回答者を3つに分ける。世界版のページに出ている説明では、エンゲージしている層は、仕事と職場に深く関与して熱意を持っている人。エンゲージしていない層のほうは、仕事と会社から心理的に切れている。積極的にエンゲージしていない層は、職場で不満を抱えているうえ、自分の求めるものが満たされないことに憤っている人だとされる。

割り当ての元になるのは、Q12 と呼ばれる12項目への回答である。5(強くそう思う)から1(まったくそう思わない)までを含む6つの選択肢で答えてもらい、独自の式で3つのどれかに入れる。12項目が見ているのは、基本的なニーズ、個人の貢献、チームワーク、成長の4領域。全項目に強く同意した人だけが「エンゲージしている」に入るわけではない、と同じページに書かれている。上の表の8%は、この分類で「エンゲージしている」に入った人の割合であって、仕事に満足していると答えた人の割合ではない。

この3区分は、他の調査の「エンゲージメント率」とは別の物差しで作られている。会社への愛着や継続意向を聞く調査もあれば、仕事に対する活力と没頭を聞く調査もあり、日本語ではどれも「エンゲージメント」と呼ばれるので、値を横に並べただけでは比べたことにならない。測っている中身の違いはワークエンゲージメントとは何の状態かで分けた。

この推移は3年移動平均で描かれている

公表ページは、この推移を3年移動平均と注記している。2025年の8%についても、前の3年移動平均から1ポイント上がった、という書き方をしている。ある年の1ポイントを、その年に何かが起きた証拠として読むことはできない。値が動くまでに3年かかる。

1国あたりおよそ1,000人

ギャラップは1国あたりおよそ1,000人に聞いていて、集計を出す下限は300人と説明している。日本の年ごとの回答数は、国別ページには載っていない。

国際比較のほうにも読み方の注意がいる。8%と20%の差のうち、どこまでが職場で起きていることの違いで、どこまでが設問への答え方の違いなのかは、この数字だけでは分けられない。翻訳された同じ設問に対して、強い肯定を選びにくい国と選びやすい国がある。

同じ調査が測っている、別の数字

2025年の日本では、前日にストレスを多く感じたと答えた人が39%、怒りが13%、悲しみが9%だった。エンゲージしている人の割合が3年で3ポイント上がったこととの関係は、この集計からは分からない。

この推移で言えないこと

業種別や企業規模別の内訳は、国別ページに出ていない。何を聞いたのかも国別ページには書かれていないので、上の3区分の説明は世界版のページから引いた。日本語で実際にどう尋ねたのかは、どちらのページにも出ていない。業種で割った値は別の調査にあり、業種別エンゲージメント、差は0.55で扱った。ただし合成スコアと「エンゲージしている人の割合」で単位が違うので、並べて引き算はできない。

8%が上がったこと自体は、職場で何が変わったのかを説明しない。上がった理由をこの表から取り出すことはできない。

自分の職場を測る単位に割る

8%は国の値で、自分の職場の値ではない。職場のことは、もっと小さい単位でしか測れない。手元で数えられるものを3つ挙げる。この1か月で、自分の担当範囲が変わる決定に何回関われたか。仕事のやり方について意見を求められた回数。求めた情報が、何日で返ってきたか。

どれも、エンゲージメントという語より狭い。狭いほうが、来週の面談で持ち出せる。

出典

  1. State of the Global Workplace: Japan Country-Level Data/米ギャラップ(Gallup World Poll)/2025年調査(1国あたり約1,000人、集計下限300人)
  2. State of the Global Workplace(世界版。エンゲージメントの3区分の定義と Q12 の説明)/米ギャラップ