1on1実施率55.7%は誰の数字か

直近半年に1on1を受けた人は55.7%。パーソル総合研究所が2024年6月に行ったスクリーニング調査(n=5,773)の数字で、答えたのは20〜59歳の正社員のうち一般社員から係長相当までの人に限られる。従業員50人未満の企業に勤める人と、第一次産業・公務に就く人は最初から外れている。この55.7%を「日本の職場の半分に1on1がある」と読むと外す。

残りの44.4%は二つに割れている

1on1を受けていない44.4%の内訳は、以前は実施していたが直近半年は経験していない人が26.9%、一度も経験したことのない人が17.5%。前者のほうが多い。制度が入ったのに動いていない職場のほうが、そもそも無い職場より多いということになる。

26.9%という数字は、1on1が始まったかどうかより、続いたかどうかを見たほうがいいと示している。導入の年に枠と研修を用意しても、上司ひとりが見る部下の数が増えたり異動が重なったりすれば面談は静かに消えるし、消えたことは制度の一覧表のほうには残らない。

企業規模で24.3ポイント開く

公表資料が数値を明記しているのは、9つの規模区分のうち両端の2つ。

区分 1on1経験率
従業員3万人以上の企業 66.4%
従業員50〜100人未満の企業 42.1%

差は24.3ポイント。職種別に見ると商品開発・研究職の71.1%が最も高く、配送・物流・運輸職の41.1%が最も低かった。30.0ポイントの開き。同じ「1on1がある会社」でも、規模と職種でこれだけ違う。

頻度は月0.8回、言い出した人で3.8倍変わる

実施頻度の平均は、ひと月あたり0.8回(部下側 n=1,500)。誰が持ちかけたかで分かれる。部下が上司に提案して実施した場合は月2.8回、上司が部下に提案した場合は1.8回、会社の方針・義務として実施した場合は0.5回だった。義務として降ってきた1on1は、回数そのものが少ない。部下の側から持ちかけた場合の月2.8回は、会社の方針として実施している場合の0.5回の5.6倍にあたり、同じ「1on1のある職場」という一語でくくられていても、実際に顔を合わせている時間はまるで違う。

実施方法は対面が84.3%を占める(ほとんど対面73.8%、対面が多い10.5%)。オンラインは10.0%。

誰が話し、誰がテーマを決めたかで、同じ枠の中身が変わる

面談中にどちらが多く話しているかは、上司と部下で見え方がずれている。上司側では「部下の話す割合が高い」が42.5%で、「上司の話す割合が高い」の36.2%を上回った。部下側はその逆。「上司の話す割合が高い」が36.6%、「部下の話す割合が高い」は31.4%だった。同じ30分を、話させたつもりの側と、聞かされたと感じた側が別々に数えている。

テーマを誰が決めたかでも差が出る。報告書が成長度と呼ぶ10点満点の指標は、部下がテーマを設定した場合が6.9点、上司が設定した場合が6.4点。0.5点の差にとどまる。回数と1回の長さの組み合わせで見ると、月2〜3回以上かつ1回30分以上1時間未満が7.4点で最も高く、同じ月2〜3回以上でも1回1時間以上になると6.0点まで下がる。テーマの決め手より、回数と1回の長さのほうが動きは大きかった。

何を持ち込むかで迷うなら、1on1で上司に何を話すか、3行で決めるに議題の作り方を書いた。

受けている側の満足は52.7%で、判断保留が3割

1on1を受けた部下のうち満足と答えたのは52.7%で、内訳は非常に満足3.9%、満足18.7%、やや満足30.2%。残る47.3%のうち32.4%が「どちらともいえない」を選んでいる。3割が判断を保留している。

困りごとを複数回答で聞いた結果の上位5つ。

順位 部下(n=1,500) 上司(n=1,500)
1 面談の効果が感じられない 29.7% 面談について学ぶ仕組みがない 35.4%
2 面談について学ぶ仕組みがない 28.3% 私が多忙で、面談のスケジュール設定が難しい 35.3%
3 上司が多忙で、面談のスケジュール設定が難しい 26.3% 面談の効果が感じられない 27.6%
4 面談前に何を準備すればよいかわからない 24.2% 面談しなければならない部下が多すぎる 26.3%
5 上司からの助言を、どう行動に移せばよいかわからない 20.8% 部下への以前の助言が部下の行動に反映されていない 25.7%

「面談について学ぶ仕組みがない」は上司の1位(35.4%)で、部下の2位(28.3%)。効果が感じられないと答えたのは部下29.7%、上司27.6%。手探りなのは片側だけではない。

この55.7%で言えないこと

従業員50人未満の企業を除いているので、小規模な職場まで含めた実施率は、この調査から出せない。対象条件には「定期面談の経験者」という絞り込みも入っている。実施の有無は自己申告で、社内で何と呼ばれている面談かは問われていない。半期の評価面談の一部を1on1として受け取った人と、隔週30分の枠が何年も動いている人が、同じ「実施あり」に入っている可能性が残る。評価面談と1on1で何が違うのかは1on1とは何をする面談かで分けた。時点は2024年6月。

回数と成長感の関係についてはもうひとつ注意がいる。月2〜3回以上かつ1回30分以上1時間未満の層で部下の成長感が最も高かったと報告されているが、この層の n は132にとどまる。区分を細かく割るほど、母数は小さくなる。

平均のどこに自分の職場がいるか

55.7%も月0.8回も平均値であって、自分の職場の値ではない。手元で測れるのは3つある。1on1が何週間おきに来ているか、1回あたり何分続いているか、議題を決めているのは誰か。まず4週間。書き留めていくと、月0.5回の側にいるのか2.8回の側にいるのかが見える。頻度と議題の決まり方が数字になっていれば、次の面談でそれ自体を話せる。

出典

  1. パーソル総合研究所「部下の成長支援を目的とした1on1ミーティングに関する定量調査」2024年6月調査(本調査 n=3,000/スクリーニング調査 n=5,773)
  2. 同調査 報告書PDF(パーソル総合研究所、2025年2月27日公表)