管理職の割合は、分母で変わる

「管理職の割合」と書かれた数字は、少なくとも3つの違うものを指している。管理職に占める女性の割合、従業員に占める管理職の割合、それに就業者のうち職業分類で管理的職業従事者に入る人の数。10%台の値が並んでいても、分母が別なら比べられない。検索して出てくる数字が10%でも13%でも14%でも、それぞれ別の母集団を割った結果なので、どれかが間違っているという話にはならない。探している数字がどれなのかを先に決める。

公表されている割合は2種類

公的統計が割合の形で出しているのは、次の2つ。

統計 数えているもの 分母
雇用均等基本調査(厚生労働省) 役職ごとの女性の割合 その役職にいる人
労働力調査(総務省) 管理的職業従事者の人数と男女の内訳 就業者

「従業員に占める管理職の割合」は、この2つとは別の指標になる。管理職の人数を全従業員数で割った社内の数字で、10%前後という目安もこの形で語られている。分子を課長以上に取るか、部下を持つ人全員に取るか、役職手当が付く人に取るかで、同じ職場の同じ日に数えた値が何ポイントも動く。計算式は単純。

女性の割合は、役職の段で2倍以上開く

厚生労働省の令和7年度雇用均等基本調査(令和7年10月1日現在)では、管理職等に占める女性の割合は部長相当職9.2%、課長相当職13.2%、係長相当職20.9%だった。段が上がるほど低くなる。係長相当職の20.9%から部長相当職の9.2%までのあいだには2倍以上の差があり、課長相当職の13.2%はその中間に落ちている。

前年度の令和6年度は、部長相当職8.7%、課長相当職12.3%、係長相当職21.1%。部長と課長は上がり、係長は下がった。1年ぶんの動きとしてはこの程度の幅で、どの役職も1ポイント以内に収まっている。

職業分類で数えると125万人

総務省の労働力調査は、管理的職業従事者を職業の分類として数える。2025年(令和7年)平均で総数125万人、うち女性18万人、男性107万人、女性割合14.4%。公務と学校教育を除いた数え方では総数120万人、女性17万人、女性割合14.2%になる。

50年前と比べて増えたのは、割合の側だけ。1975年(昭和50年)の管理的職業従事者は総数206万人で、女性は11万人、女性割合5.3%だった。人数は6割ほどに減り、女性割合は3倍近くになっている。管理職として数えられる人そのものが長い時間をかけて減ってきたことは、割合の数字だけを見ていると気づけない。

同じ時期の女性割合が14.4%と13.2%に割れる理由

2つの統計は、ほぼ同じ時期の女性の割合を14.4%と13.2%という別の値で出している。数え方が違う。

労働力調査は本人の答えた職業で分類するので、会社役員や自分で事業をしている人も管理的職業従事者に入る。雇用均等基本調査のほうは企業と事業所に聞いていて、「課長相当職」のような社内の役職の段で区切る。対象も時点も別。

どちらが正しいという話にはならない。知りたいのが「職業として管理の仕事をしている人の数」なのか、「会社の中で課長以上に就いている人の男女比」なのかで、見るべき統計が変わる。記事に書かれた数字が10%なのか14%なのかを気にする前に、その数字の分母が何だったかを確かめるほうが早い。

自分の職場の割合は、分母を決めてから数える

全国の平均と自分の職場を比べるなら、同じ定義で数える必要がある。手順は5つ。

  1. 分子の定義を決める。課長相当職以上か、部下の人事考課を持つ人か、役職手当が付く人か
  2. 分母の定義を決める。全従業員か、正社員だけか、派遣や契約を含むか
  3. 時点を決める。期末の在籍者か、年度の平均か
  4. 組織図と社内の名簿で、1と2に当たる人数を数える
  5. 同じ定義で、1年前の人数も数える

4だけで出した1つの値は、その割合が増えている途中なのか減っている途中なのかを何も教えてくれず、全国の平均と並べたところで読み取れることが少ない。5まで揃うと向きが見える。全社の数が取れないなら、自分の部門だけでも同じ手順が使える。

割合から読み取れないこと

割合は、管理職1人が何人を見ているかを教えない。10%という値は、1人の課長が9人を見ている職場でも、20人を抱える課と部下0人の課が混ざっている職場でも、同じ10%になる。自分の働き方に効くのは、割合そのものよりも、自分の上司が何人を見ていて、そのうち自分に週あたりどれだけの時間が回ってくるかという後者の中身のほう。

女性管理職比率が多様性の指標として使われる場面については、ダイバーシティとはで語の範囲を整理した。

自分の職場で確かめる

自分の部門の割合は、組織図と名簿が手元にあれば30分ほどで数えられるし、分子と分母の定義を書き留めておけば、来年も同じ条件で数え直せる。そこから先の「1人あたり何人を見ているか」や「決定が誰を通るか」は、名簿には出てこない。

workprevu の診断は、職場の条件を12の項目に割って記録する。確認の頻度や決定の経路は、そのうちの2つ。自分の答えと同じ職場の人の答えを並べて、どこがずれているかを見る形にしてある。

出典

  1. 令和7年度雇用均等基本調査 結果の公表(厚生労働省、2025年10月1日現在)
  2. 男女共同参画に関する統計 2企業 a.管理職 管理的職業従事者(内閣府男女共同参画局、資料出所: 総務省 労働力調査、2025年平均)