ダイバーシティは多様性と訳される語で、職場で使われるときは「どんな属性の人が、どれだけの比率でいるか」を指している。性別、年齢、国籍、障害の有無、雇用形態。数えられる属性の幅のこと。
抽象的な理念のまま終わらないのは、法律が比率の公表を求めているから。2026年4月1日に施行された女性活躍推進法の改正で、従業員101人以上の企業は女性管理職比率を公表する義務を負うようになった。
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ダイバーシティは多様性と訳される語で、職場で使われるときは「どんな属性の人が、どれだけの比率でいるか」を指している。性別、年齢、国籍、障害の有無、雇用形態。数えられる属性の幅のこと。
抽象的な理念のまま終わらないのは、法律が比率の公表を求めているから。2026年4月1日に施行された女性活躍推進法の改正で、従業員101人以上の企業は女性管理職比率を公表する義務を負うようになった。
属性は2つの層に分けて語られる。性別や年齢、国籍のように外から分かるものと、価値観、職業経験、ものの考え方のように外から見えないもの。公表が義務づけられているのは前者だけで、後者は制度の上では数えられていない。
インクルージョンという語が並べて使われるのは、構成比だけでは足りないため。人がそろっているかと、その人たちに発言や昇進の機会が開いているかは、別々に測るしかない。前者は比率、後者は回数や経路の記録。この記事で扱うのは、公表されている前者のほう。
改正後、従業員301人以上の企業は4項目以上を公表する。男女間賃金差異(2022年7月8日から義務)、女性管理職比率(2026年4月1日から新たに義務)、「女性労働者に対する職業生活に関する機会の提供に関する実績」7項目から1つ以上、「職業生活と家庭生活との両立に資する雇用環境の整備に関する実績」7項目から1つ以上。101〜300人の企業は3項目以上で、100人以下は努力義務。
初回の公表は、改正法の施行後に最初に終了する事業年度の実績を、次の事業年度が始まっておおむね3か月以内に出す決まり。3月末が期末の会社なら、2027年6月末ごろまで。以降もおおむね1年に1回、最新の数値に更新していく。
勤め先がどんな職場なのかを外から見るとき、この公表値は数少ない共通の物差しになる。
女性の活躍推進企業データベースに載っている企業の公表値を集計すると、女性管理職比率の中央値は業種と規模でまるきり違う。従業員301〜500人の区分で並べると、こうなる。
| 業種(301〜500人) | 女性管理職比率の中央値 | 回答した企業数 |
|---|---|---|
| 医療、福祉 | 48.0% | 3,087社 |
| 金融業、保険業 | 13.0% | 294社 |
| 情報通信業 | 10.5% | 888社 |
| 卸売業、小売業 | 7.0% | 2,199社 |
| 建設業 | 3.5% | 531社 |
上と下で13.7倍。同じ「ダイバーシティを推進する」という文の下で、出発点がこれだけ離れている。
出典:女性の活躍推進企業データベースオープンデータ(2026年9月20日時点)(https://positive-ryouritsu.mhlw.go.jp/positivedb/opendata/)を加工して作成。
同じ業種の中を規模で割ると、方向がそろう。医療・福祉では、10〜100人の中央値が61.1%で、5,001人以上では41.7%。建設業は10〜100人の12.5%に対し、1,001〜5,000人は2.7%。情報通信業も10〜100人が25.0%、5,001人以上は10.9%。
小さい会社ほど比率が高く出る。管理職の人数そのものが少ないので、1人増えるだけで比率が跳ねるため。建設業の10人未満では中央値が0.0%で、第3四分位が25.0%。分布が0か25かに割れている。
中央値だけ見ていると、業種ごとに1つの値が決まっているように錯覚する。実際は幅がある。情報通信業の301〜500人では、第1四分位が6.0%、中央値10.5%、第3四分位18.0%。同じ業種・同じ規模でも、下から4分の1と上から4分の1で3倍の開き。
だから「この業種だから何%くらい」とは言えない。自分の勤め先の公表値を見るしかない。
このデータベースへの掲載は任意で、公表に積極的な会社ほど載りやすい。集計に入っているのは196,650社ぶんで、日本の全企業ではない。「日本企業の◯%」とは読めず、「公表した◯社のうち、中央値が◯%」と読む。
比率がどう計算されたかも会社ごとに揺れる。管理職の範囲をどこまで含めるか、部門長だけか、係長級を入れるか。公表項目には係長級に占める女性の割合が別の選択肢として並んでいるので、管理職の定義は会社の裁量に残っている。
まず、勤め先の公表値を探す。義務の対象なら、データベースか自社サイトのどこかに出ている。次に、自分の部署の構成比を数える。全社の比率と部署の比率がずれていることは珍しくない。
3つめは、構成比では出てこない側。会議で発言した人数、異動の希望が通った件数、相談を持っていける相手の数。機会が開いているかどうかは、比率ではなく回数で残る。4週間ぶん記録すれば、自分の職場の数字になる。
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