通勤届で手が止まるのは、経路の欄である。住居から勤務先までを1行で済ませてよいのか、乗り換えごとに分けるのか。公表されている様式を読むと答えが書いてあって、欄は順路ごとに分かれている。徒歩の区間も1行。
様式は勤務先ごとに違う。ただし聞かれていることは、額を決めるために要る情報だけなので、公表されている様式を1つ読めば、自分の手元の用紙の欄の意味も見当がつく。ここでは青森県教育委員会の「通勤手当認定マニュアル」に載っている通勤届の様式と記入例を例にする。
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通勤届で手が止まるのは、経路の欄である。住居から勤務先までを1行で済ませてよいのか、乗り換えごとに分けるのか。公表されている様式を読むと答えが書いてあって、欄は順路ごとに分かれている。徒歩の区間も1行。
様式は勤務先ごとに違う。ただし聞かれていることは、額を決めるために要る情報だけなので、公表されている様式を1つ読めば、自分の手元の用紙の欄の意味も見当がつく。ここでは青森県教育委員会の「通勤手当認定マニュアル」に載っている通勤届の様式と記入例を例にする。
様式の本文はこう書いてある。人事委員会規則7-44(通勤手当)第3条の規定に基づき通勤の実情を届け出ます。届け出るのは希望額ではなく、実際の通勤の形。
だから欄は、経路と手段と費用を事実として書かせる作りになっている。支給の条件そのもの(支給義務の有無、上限、課税)は通勤手当とは、支給義務のない賃金に書いた。
この様式の表は、順路1から6までの行があり、1行につき次の欄が並ぶ。
住居から始めて、手段が変わるところで行を変える。記入上の注意には「通勤の順路に従い徒歩、自動車、○○線等の別を記入する」とあるので、駅までの徒歩も1行になる。区間の欄は「住居から(◯◯経由)◯◯まで」という形で、経由地を書く括弧が最初から用意されている。
行の下には、総通勤距離と総所要時間の欄。区間ごとに書いた数字の合計を、もう一度書く。
様式の距離欄は小数第1位まで書ける形になっている。記入例では、自家用車で住居から学校まで4.5キロメートル、所要時間10分。合計の欄にも同じ4.5キロメートルと10分が入る。
片道の距離が支給の要件にかかる。この様式では、最短距離が2キロメートル未満になると支給の要件が消える扱いなので、距離の欄は「いくら出るか」の前に「出るか出ないか」を決めている。
記入上の注意に書かれているのは、定期券(◯箇月)、◯枚綴回数券、優待乗車券等の別を記入すること。6か月定期で通うなら「定期券(6箇月)」と書き、額の欄にはその6か月分の価額を書く。
ここが支給額の基礎になる。何箇月の定期かを書かないと、1か月あたりの額が決まらない。
手段が変わっても様式は同じで、埋まる欄が変わる。記入例の自家用車の行は、通勤方法の別に「自家用車」、区間に住居から学校まで、距離4.5キロメートル、所要時間10分。乗車券等の種類と額は空のまま。
電車やバスなら、乗車券の欄が主役になる。乗り降りする駅や停留所の名前が区間の欄に入り、定期代が額の欄に入る。車と鉄道を併用するなら、行が2つ以上になる。
この様式の届出の理由の欄は、新規、住居の変更、通勤経路又は方法の変更、運賃等の負担額の変更、その他の5区分。マニュアルが挙げている事例を読むと、どこまでが届出の対象なのかが分かる。
新規に当たるのは、採用や異動のほか、転居によって通勤の最短距離が2キロメートル以上になった場合。変更に当たるのは、住居の移転、勤務先の移転、道路の開通による経路の変更、一般道から高速道路への切り替え、積雪で自転車から公共交通機関に変えた場合、普通列車から新幹線に変えた場合、そして交通機関の運賃改定で負担額が変わった場合。
逆に、最短経路が2キロメートル未満になったときや、他人の自家用車に便乗することになったとき、徒歩に変えたときは、支給要件の消滅として届け出る。運賃の改定と他人の車への便乗まで並んでいるのを見ると、この書類が「通勤の実情」を追っていることが分かる。
日付の欄は、提出日とは別に「届出の理由が生じた日」を書く。判断の基準がマニュアルに示されていて、住居の移転なら移転を完了した翌日、通勤方法の変更なら変更して通勤した初日。
採用や異動の場合は別の扱いになる。公署への勤務を開始すべきこととされる日に要件を備えるときは、採用または異動の発令日を要件が備わった日として取り扱う。ただし発令を受けた日から7日以内という条件が付く。
見落としやすい2つが、記入上の注意に書かれている。往路と復路が異なる場合は、備考欄にその旨と理由を記入すること。もう1つは、通勤の実情の一部に変更がある場合、変更内容に関係のない事項の記入を省略できること。
朝は電車、帰りはバスという人は備考欄を使う。住所だけが変わって経路が同じなら、全部を書き直さなくていい。
6か月定期の額で通勤手当を受け取っていて、支給単位期間の途中で経路や方法が変わると、返納の計算が始まる。マニュアルの事例では、6か月定期52,160円を受け取っていた人が3月末で払い戻したものとして扱われ、返納額は37,400円になる。
内訳は、購入金額52,160円から使用分14,260円と払戻手数料500円を引いた額。使用分は片道運賃230円の往復に3月の暦日数31日を掛けて出している。
この計算があるから、経路が変わると分かった時点で届け出る意味がある。遅れて届け出ても、返納額の計算は事実が生じた日から数えられる。逆に言えば、6か月定期を買い直す前に経路の変更が決まっているなら、届出の日付と定期券の有効期間の切れ目をそろえておくほうが、返納の手続きそのものが発生しないという事例もマニュアルには載っている。
書く前に手元で数字を3つ作っておくと、欄が埋まる。
距離は地図の経路検索で測れる。所要時間は実際に通った時間のほうが正確で、乗り換えの待ち時間が入るぶん、検索結果より長くなることが多い。
経路を書くときの基準は、税の側にもある。非課税になるのは、最も経済的かつ合理的な経路および方法で通勤した場合の通勤定期券などの金額。遠回りの経路を書いて多く受け取ると、その差が課税される余地が出る。
通勤届に書いた所要時間と、実際にかかっている時間を比べてみる。届出のときに検索で出した数字が、実際より10分短いことはよくある。
その差を4週ぶん記録すると、月あたりでどれだけ違うかが出る。通勤時間は賃金規程にも給与明細にも出てこない数字で、自分で測らないと条件を比べる材料にならない。
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