副業をする理由で最も多いのは「収入を増やしたいから」の54.5%。次が「1つの仕事だけでは収入が少なくて、生活自体ができないから」の38.2%。労働政策研究・研修機構が2022年10月に副業者1万1,358人へ尋ねた複数回答の結果で、上位2つはどちらもお金の話である。
ただ、この順位をそのまま「みんな金目的」と読むと、取りこぼす部分がある。1つだけ選ばせたときに、数字の形が変わるから。
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副業をする理由で最も多いのは「収入を増やしたいから」の54.5%。次が「1つの仕事だけでは収入が少なくて、生活自体ができないから」の38.2%。労働政策研究・研修機構が2022年10月に副業者1万1,358人へ尋ねた複数回答の結果で、上位2つはどちらもお金の話である。
ただ、この順位をそのまま「みんな金目的」と読むと、取りこぼす部分がある。1つだけ選ばせたときに、数字の形が変わるから。
複数回答の上位5つは、収入を増やしたいから54.5%、1つの仕事だけでは収入が少なくて生活自体ができないから38.2%、自分が活躍できる場を広げたいから18.7%、時間のゆとりがあるから15.8%、分野の違う人とのつながりに関する項目が13.2%。
3位から5位は、収入とは別の軸にある。活躍の場、時間、つながり。副業を考えている人が自分の理由を言葉にするとき、この3つのどれかに当たっていることは少なくない。
同じ調査は、理由のうち「もっともあてはまるもの」も尋ねている。そちらでは収入を増やしたいからが33.7%、1つの仕事だけでは収入が少なくて生活自体ができないからが26.2%。合わせて6割。
落差が出たのは残りの項目だった。自分が活躍できる場を広げたいから、時間のゆとりがあるから、人とのつながり。この3つは、複数回答のときと比べて半分以下の割合に減っている。
つまり、お金以外の理由は「あるかと聞かれればある」の位置にあって、1つ選ぶ段では後ろに下がる。副業を始める理由を自分で確かめるなら、思い当たるものを全部挙げたあとに1つへ絞ってみるほうが実態に近い。
本業の就業形態で割ると、同じ「副業の理由」が別の顔になる。どの就業形態でも上位2つは変わらないが、非正社員では「1つの仕事だけでは収入が少なくて、生活自体ができないから」が43.9%まで上がる。
生活のための副業と、余地を広げるための副業。どちらも統計上は同じ「副業がある者」に入るのに、始めた事情は重ならない。
もっともあてはまる理由を本業の月収別に見ると、「1つの仕事だけでは収入が少なくて、生活自体ができないから」は月収が多いほどおおむね低くなり、「自分が活躍できる場を広げたいから」は月収が多いほどおおむね高くなる。どの層でも1位は「収入を増やしたいから」のまま動かず、2番目以降の並びだけが月収に沿って入れ替わる形。
本人の年収(本業と副業の合計)で見ると、年収が高い人ほど回答割合が高くなる項目は、自分が活躍できる場を広げたいから、人とのつながり、仕事で必要な能力を活用・向上させるため、本業の仕事の性格上別の仕事をもつことが自然だから、仕事を頼まれ断りきれなかったから。「時間のゆとりがあるから」は年収による違いがあまり見られない。
世帯上の地位別の集計もある。世帯主で扶養親族がいる人は「ローンなど借金や負債を抱えているため」「定年後に備えるため」の割合が相対的に高い。世帯主で扶養親族がいない人は「1つの仕事だけでは収入が少なくて、生活自体ができないから」が相対的に高い。
同じ金銭目的でも、返すための副業と、備えるための副業と、足りないぶんを埋める副業に分かれる。
理由として「仕事で必要な能力を活用・向上させるため」を選んだ1,249人には、具体的に何を活用・向上できたかを自由記述で尋ねている。集計すると、最も多いのは「コミュニケーション能力」の15.8%。以下、人脈・人間関係3.7%、視野が拡がった3.0%、ITスキル3.0%、語学2.4%と続き、残りは「その他」として72.1%にまとめられた。
本業の就業形態で差が出る。コミュニケーション能力は非正社員で18.2%と高く、人脈・人間関係と視野が拡がったは正社員でそれぞれ5.6%、4.1%、非正社員ではどちらも0.8%。
7割強が「その他」に入ったという結果のほうが、この項目の実態を表している。能力が伸びた感覚はあっても、何が伸びたかを名前で言える人は少数だった。
検索すると「副業が禁止される理由」の解説も並ぶ。こちらは働く人の動機ではなく、厚生労働省のガイドラインが示す、会社が副業を制限できる場合の線の話。労務提供上の支障、秘密の漏洩、競業、名誉や信用の毀損の4つで、副業とは、法律に定義のない言葉に条文の形で置いた。
副業の理由は、選択肢と聞き方で数字が動く。同じ調査の中でも、複数回答では54.5%と38.2%、1つだけ選ばせると33.7%と26.2%。比べるときに見る点は3つ。
自分の理由を測るときも同じ。思い当たる理由を全部挙げたあと、1つに絞る。絞ったときに残るものが、副業を始めたあとに続ける動機になる。
理由が収入側にあるなら、測るのは本業の処遇のほうが先。月の所定外労働時間と、その時間が給与にどう反映されているか。昇給の決まり方が就業規則や賃金規程に書かれているかどうか。
理由が活躍の場や学びの側にあるなら、測るのは仕事の中身。任されている範囲がこの1年で広がったか、縮んだか。学ぶ機会が仕事の中にどれだけ含まれているか。4週ぶん記録すると、副業で埋めたいものが本業の側のどこの不足なのかが見えてくる。
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