フレックスタイム制がある企業の割合は、常用労働者1,000人以上で34.5%、30〜99人で4.9%。7倍の開きがある。厚生労働省の令和7(2025)年就労条件総合調査の数値で、常用労働者30人以上の民営企業6,448社に調査票を送り、3,820社が答えた(有効回答率59.2%)。全企業では8.3%。ただし制度がある企業の割合と、実際に適用を受けている人の割合は別の数字で、こちらは規模が大きいほど差が開く。
フレックスタイム制、企業規模別の差
公開 約 5 分

1,000人以上で34.5%、30〜99人で4.9%
企業規模別の内訳は次のとおり。左が「フレックスタイム制がある企業」の割合、右が「フレックスタイム制の適用を受ける労働者」の割合。どちらも令和7(2025)年1月1日現在の状況。
| 企業規模 | 制度がある企業の割合 | 適用を受ける労働者の割合 |
|---|---|---|
| 1,000人以上 | 34.5% | 17.6% |
| 300〜999人 | 22.6% | 11.8% |
| 100〜299人 | 11.5% | 6.6% |
| 30〜99人 | 4.9% | 3.2% |
| 全企業 | 8.3% | 11.1% |
規模が下がるにつれて、どちらの割合も下がる。段の落ち方は一定ではない。1,000人以上と300〜999人のあいだで11.9ポイント、300〜999人と100〜299人で11.1ポイント落ちたあと、100〜299人から30〜99人では6.6ポイント。上の2段でほとんど落ち切っている。
企業の数で数えるか、人の数で数えるか
全企業の行だけ、左より右が高い。企業単位で数えると8.3%、労働者単位で数えると11.1%。規模の大きい企業に人が集まっているので、人の頭で数えたほうが割合が上がる。
規模別に見ると関係は反転する。1,000人以上では制度がある企業が34.5%に対し、適用を受けている労働者は17.6%。制度を持つ企業に勤めていても、その中で適用されているのは一部という形。300〜999人では22.6%と11.8%、100〜299人では11.5%と6.6%で、どの段でもおおよそ半分前後にとどまっている。30〜99人だけは4.9%と3.2%で、差が1.7ポイントと小さい。
理由まではこの調査から読めない。対象を特定の職種や部門に限って導入した企業が多ければこの形になるが、調査は制度の有無と適用労働者数を聞いているだけなので、絞り方は分からない。読み取れるのは、求人票や就業規則に「フレックスタイム制」と書かれていることと、自分の職種がその対象に入っていることが同じではないという一点。
この8.3%は変形労働時間制の内側の数字
就労条件総合調査は、フレックスタイム制を変形労働時間制の一種として数えている。変形労働時間制とは、週40時間・1日8時間の原則に対して一定期間内での例外を認める制度の総称で、1年単位、1か月単位、1週間単位の非定型的、フレックスタイム制の4つが入る。
| 変形労働時間制の種類 | 全企業 | 1,000人以上 | 30〜99人 |
|---|---|---|---|
| 変形労働時間制がある | 60.2% | 82.7% | 55.3% |
| 1年単位 | 30.3% | 22.3% | 31.6% |
| 1か月単位 | 26.4% | 53.4% | 20.7% |
| フレックスタイム | 8.3% | 34.5% | 4.9% |
| 1週間単位の非定型的 | 1.1% | 0.8% | 1.2% |
種類は複数回答なので、足し上げても変形労働時間制がある企業の割合にはならない。1年単位だけは小さい企業のほうが割合が高く、30〜99人で31.6%、1,000人以上で22.3%。同じ「変形労働時間制あり」でも、規模によって中身が入れ替わっている。
フレックスタイム制が始業と終業の時刻を働く人が決める制度である一方、1年単位や1か月単位は会社が期間内の労働時間の配分を決める。時刻を自分で選べるかどうかで見るなら、見る行は1つだけ。
調査が数えている範囲
対象は日本標準産業分類の16大産業で、常用労働者30人以上を雇用する民営企業。産業と企業規模で層化して無作為に抽出し、復元倍率を用いて集計している。調査客体数6,448、有効回答数3,820、有効回答率59.2%。時点は令和7(2025)年1月1日。
常用労働者30人未満の企業は、この調査に入っていない。したがって表の「全企業 8.3%」は、日本の全事業者の8.3%という意味ではない。30人未満を含めた数字は、この調査からは出ない。
全企業の割合は令和6(2024)年調査で7.2%、令和7年調査で8.3%と1.1ポイント上がった。規模別の前年値は概況に載っていないので、段ごとの変化はこの2年では追えない。
この数字から言えないこと
3つある。ひとつ、コアタイムの有無と長さ。フレックスタイム制と一口に言っても、コアタイムが10時から16時までの制度と、コアタイムのない制度では、朝の使い方がまるで違う。調査はそこを分けていない。
ふたつ、清算期間の長さ。2019年の改正で上限が1か月から3か月に延びたが、企業ごとにどう設定しているかは、この表からは分からない。
みっつ、自分に適用されるかどうか。適用を受ける労働者の割合が制度のある企業の割合の半分前後という数字は、勤め先に制度があっても対象外の人が相当いることを示している。確かめる先は自社の労使協定と就業規則で、統計ではない。
自分の職場について数えられること
規模の数字は、見込みの当たりをつける材料。34.5%と4.9%の差は大きいが、どちらも半分には届かない。1,000人以上の企業に移っても、3社に1社という水準。
手元で数えられるのは、始業時刻の分散。2週間ぶん、出社(または勤務開始)の時刻を記録すると、制度の名前とは別に、実際に何分ずらせているかが出る。毎日9時00分から9時05分のあいだに収まっているなら、制度の有無にかかわらず時刻は固定されている。ずらせる幅が30分でも、そこは記録に残る事実として扱える。
自分にとって必要な幅が15分なのか2時間なのかも、同じ記録から見当がつく。どの条件なら合うのかを言葉にしておくと、就業規則を読む時も面談で聞く時も、確かめる場所が1つに絞れる。





