時短勤務を申し出られるのは、4つの要件に全部当てはまる人だけ。1日の所定労働時間が6時間以下でないこと、日々雇用される者でないこと、その期間に育児休業をしていないこと、労使協定で適用除外とされた労働者でないこと。育児・介護休業法第23条第1項の短時間勤務制度について、厚生労働省の『育児・介護休業法のあらまし』がこの4つを挙げている。1つでも外れると、会社に義務は生じない。ただし外れた理由によっては、別の措置を講じる義務が会社に残る。
制度そのものの中身と、子が3歳を過ぎてからの扱いは時短勤務とは、原則6時間への短縮に書いた。ここでは、誰がどの条件で使えるのかに絞る。
条件は、法律・労使協定・就業規則の3層
「時短勤務の条件」という言葉が指すものは、3つの層に分かれている。法律が義務づけた4要件。労使協定で狭められる範囲。そして会社が就業規則で上に乗せた部分。
この3層のうち、法律の4要件は会社が勝手に足せない。労使協定で除外できる労働者も、法が列挙した3種類に限られている。一方、就業規則で小学校卒業まで使えるようにするなど、法を上回る条件を置くことは自由。だから自分の条件を知るには、法の要件、労使協定の有無、就業規則の規定の3つを順に確かめることになる。雇用形態による線引きは、この3層のどこにも無い。
「6時間以下でない」は、労働日ごとに判定する
いまの所定労働時間がすでに6時間以下の人は、対象から外れる。短縮する余地が無いという扱い。
ここで迷うのが変形労働時間制の人。あらましは、1か月単位または1年単位の変形労働時間制が適用される労働者について、「1日の所定労働時間が6時間以下」とはすべての労働日の所定労働時間が6時間であることをいい、対象となる期間を平均した1日の所定労働時間をいうものではないと説明している。月の平均が6時間でも、8時間の労働日が混ざっていれば対象になる。
短縮後が6時間ちょうどでなければいけないのか、という疑問も多い。法が求めているのは、1日の所定労働時間を6時間とする措置を含むこと。通常の所定労働時間が7時間45分の事業所で短縮後を5時間45分とする場合などを勘案し、1日5時間45分から6時間までを許容する趣旨だと、あらましは書いている。会社がこれに加えて5時間や7時間の措置、曜日を固定して短縮する措置を設けるのは望ましいものとされていて、その場合も6時間の措置を実質的に選択できる状態になっていることが必要。
労使協定で外せるのは、3種類だけ
労使協定を結べば、会社は次の3種類の労働者を短時間勤務制度の対象から外せる。
- その事業主に継続して雇用された期間が1年に満たない労働者
- 1週間の所定労働日数が2日以下の労働者
- 短時間勤務制度を講ずることが困難と認められる業務に従事する労働者(困難かどうかは、業務の性質または業務の実施体制に照らして判断する)
3つ目は幅が広そうに見えて、そうでもない。あらましは、指針の規定は例示であって、たとえばすでに1日6時間の短時間勤務制度が導入されている場合など、客観的にみて困難と認められない業務を制度の対象外とすることはできないと注意している。指針に例示されている業務であっても、労使の工夫によりできる限り適用対象とすることが望ましいとも書かれている。
逆に言えば、労使協定が無ければ除外は成り立たない。勤続1年未満でも、週の所定労働日数が2日でも、協定が無いなら4要件のほうで判定される。転職して半年の人が確かめる順番は、まず労使協定の有無、次にその協定に1年未満の除外が書かれているか。
外れた人には、代わりの措置が義務として残る
3つ目の「困難と認められる業務」として労使協定で除外された場合、会社は何もしなくていいわけではない。育児・介護休業法第23条第2項は、その労働者について次のどれかを講じることを義務づけている。
- 育児休業に関する制度に準ずる措置
- 在宅勤務等の措置
- 始業時刻変更等の措置
始業時刻変更等の措置の中身は施行規則第74条が定めていて、フレックスタイム制、始業または終業の時刻を繰り上げ・繰り下げる制度(時差出勤)、3歳未満の子に係る保育施設の設置運営その他これに準ずる便宜の供与の3つ。最後のものには、労働者からの委任を受けてベビーシッターを手配し、その費用を負担することが含まれる。
在宅勤務等の措置は令和7(2025)年4月1日に代替措置へ追加されたもので、住居その他これに準ずるものとして就業規則等で定める場所での勤務をさせる措置を指す。情報通信技術を使わない業務も含まれる。保育所への送迎の便宜等を考慮した内容である必要がある、という条件が付く。
もうひとつ、あらましのポイント解説に書かれている道がある。除外対象の業務に就いている人が短時間勤務を希望する場合、短時間勤務が可能な他の業務に配置転換して、その業務で短時間勤務をさせることも、本人と真の合意があるなら差し支えない。その場合は、短時間勤務が終了した後の配置についてもあわせて合意しておくことが望ましいとされている。
申し出の手続きは、会社が決める範囲が広い
申出の期限を法律は一律に定めていない。手続きは一義的には事業主が定めることが可能で、ただし適用を受けようとする労働者に過重な負担を求めないよう配慮し、育児休業や所定外労働の制限など他の制度の手続きも参考にしながら適切に定めることが求められる、というのがあらましの説明。
具体的な線も示されている。育児休業等と同様に1か月前までに申し出なければならないとすることは問題ないと考えられる、という記述。反対に、適用期間を1か月単位とすることは、他の制度が基本的に労働者の申し出た期間について適用されることを踏まえると望ましくないと考えられる、とされている。1か月ごとに申し出し直す運用は、ここに当たる。
会社は、対象者の待遇に関する事項をあらかじめ定めて周知する措置を講ずるよう配慮することも求められている。周知されていないなら、就業規則の該当条文を自分で探すところから始まる。
介護の条件は、育児と別に並んでいる
介護のための短縮措置は第23条第3項で、要件の組み方が育児と違う。要介護状態にある対象家族を介護する労働者について、その家族1人当たり利用開始の日から連続する3年間以上の期間における所定労働時間の短縮等の措置を、会社は講じなければならない。しかも2回以上利用できる措置であることが条件。
期間を定めて雇用される者も対象に入る。外れるのは、日々雇い入れられる者と、労使協定で適用除外とされた「継続雇用1年未満」「1週間の所定労働日数が2日以下」の労働者。育児の労使協定にあった3つ目の「困難と認められる業務」が、ここには無い。
会社が選べる措置は4つで、このうち少なくとも1つを講じれば義務を果たしたことになる。1日の所定労働時間を短縮する制度などの短時間勤務の制度、フレックスタイム制、始業終業時刻の繰上げ・繰下げ、介護サービスの費用の助成その他これに準ずる制度。つまり短時間勤務そのものが用意されているとは限らない。短時間勤務の制度を設ける場合の望ましい短縮幅について、あらましは所定労働時間が8時間の場合は2時間以上、7時間以上の場合は1時間以上と書いている。
3年の起算は、利用を開始する日として申し出た日から。令和2年3月1日に4月1日からの利用を申し出たなら、少なくとも4月1日から3年後の令和5年3月31日まで利用できる制度であることが要る。
給付の条件は、雇用保険の側で別に判定される
時短勤務の対象に入ることと、給付を受けられることは別の判定。令和7(2025)年4月に創設された育児時短就業給付金は、2歳に満たない子を養育するために所定労働時間を短縮して就業する雇用保険の被保険者が対象で、時短就業中の賃金の10%相当額が支給される(雇用保険法第61条の12)。給付額と賃金の合計が時短勤務開始前の賃金を超えないよう、給付率が調整される。
雇用保険に入っていない働き方なら、この給付の条件には届かない。短時間勤務制度の対象かどうかとは、判定の場所が違う。
測り方は、4つの書類を順に読むこと
自分が条件に入るかを確かめる手順は4段。
- 労働条件通知書で、1日の所定労働時間と1週間の所定労働日数を見る
- 就業規則の短時間勤務制度の条文で、対象者・短縮後の時間・最長期間・申出期限を読む
- 労使協定の有無と、そこに除外が書かれているかを確かめる
- 自分の勤続期間と、子の年齢または家族の要介護状態を照らす
1で6時間を超えていて、3の除外に当たらなければ、法の義務の側に入る。3の除外に当たるなら、2の就業規則に代替措置が書かれているかを見る。労使協定は事業所ごとに結ばれるので、同じ会社でも事業所によって違うことがある。
自分の職場で記録しておくこと
条件を確かめたあとに残るのは、制度を使える時間の形が自分の生活に合うかどうか。ここは条文では決まらない。
1週間のうち、時間の制約が出る曜日の数。1日のうち、業務以外に動かせない時間が入る時刻帯。その制約が何か月続く見込みか。この3つを記録しておくと、6時間への短縮、時差出勤、在宅勤務のどれを申し出るかを自分の側の条件から選べる。