時短勤務の計算は所定時間から

時短勤務の金額を自分で出すには、1か月平均所定労働時間を先に求める。年間の所定労働日数に1日の所定労働時間を掛けて12で割った数字。これが出れば、月給の比例計算、月の途中で短縮が始まる月の日割り、残業の時間単価、有給1日ぶんの賃金が、すべて同じ分母から導ける。逆にこの数字を飛ばすと、明細のどこを見ても検算できない。

以下、年間の所定労働日数が240日、1日の所定労働時間が8時間、基本給24万円の人が6時間に短縮する場合で計算していく。制度の中身は時短勤務とは、原則6時間への短縮に書いた。

第1段: 1か月平均所定労働時間を出す

式は「年間の所定労働日数 × 1日の所定労働時間 ÷ 12」。

短縮前は 240 × 8 ÷ 12 = 160時間。短縮後は 240 × 6 ÷ 12 = 120時間。年間の所定労働日数は、就業規則の休日の条文から数える。土日と祝日と年末年始が休みなら、年365日から休日日数を引いた数。会社が年間カレンダーを配っているなら、そこに所定労働日数が書かれていることもある。

ここで使う所定労働時間に、休憩時間は入らない。1日の拘束が7時間で休憩1時間なら、所定労働時間は6時間。短縮の形を決めるときに、9時から16時までで休憩1時間と、9時から15時までで休憩なしのどちらにするかを会社と話すことがあるが、計算上の所定労働時間はどちらも6時間で同じ額になる。

第2段: 月給を比例で割り戻す

基本給を短縮後の所定労働時間の比で計算する。式は「基本給 × 短縮後の所定労働時間 ÷ 短縮前の所定労働時間」。

24万円 × 120 ÷ 160 = 18万円。1日あたりで見ても同じで、8時間から6時間なので0.75倍。時間あたりの単価は、24万円÷160時間=1,500円、18万円÷120時間=1,500円で変わらない。基本給が所定労働時間に比例して動くかぎり、時間単価は一定。

比例しないのは、減らない手当があるとき。役職手当3万円が据え置きなら、総支給は18万円+3万円=21万円で、比率は21÷27=約0.78になる。手当が減るかどうかは、賃金規程で各手当の支給条件に労働時間が入っているかを見て決まる。

第3段: 月の途中で始まる月を日割りする

短縮が月の途中から始まる月は、2つの所定労働時間が1つの月に同居する。月の所定労働日数が20日で、最初の5日が8時間、残りの15日が6時間だったとする。

時間で積む方法だと、5 × 8 + 15 × 6 = 130時間。時間単価1,500円を掛けて19万5千円。日割りで積む方法だと、短縮前の期間が 24万円 ÷ 20日 × 5日 = 6万円、短縮後の期間が 18万円 ÷ 20日 × 15日 = 13万5千円で、合計19万5千円。どちらも同じ額になる。

一致しない場合がある。分母に月の暦日数(30日や31日)を使う規程や、年間平均の月所定労働日数を使う規程だと、月によって1日あたりの単価が変わるため、その月の実際の所定労働日数で割った額とは差が出る。見る場所は条文の分母。自分の会社がどの分母を使っているかは、賃金規程の「日割り計算」または「欠勤控除」の条文に書かれている。

欠勤控除として計算されていたら、確かめる場所がある

時短勤務の減額は、所定労働時間そのものを短くした結果として起きる。働く義務のある時間が6時間に変わったので、6時間ぶんの賃金になる。

明細に「欠勤控除」や「遅刻早退控除」として2時間ぶんが引かれているなら、所定労働時間が8時間のまま運用されている可能性がある。短時間勤務制度は就業規則等に規定されて制度化されている必要があるというのが、厚生労働省の『育児・介護休業法のあらまし』の説明。運用で2時間早く帰っているだけの状態なら、控除として処理されても計算上はつじつまが合う。この違いは、有給を取った日の賃金や、残業の起算点にも効いてくる。

残業の時間単価は、分母が小さくなる

残業代の単価は、割増の基礎になる賃金を1か月平均所定労働時間数で割って出す(労働基準法施行規則第19条)。分母が160時間から120時間に変わる。

基本給だけが比例して下がるなら単価は1,500円のまま。役職手当のように減らない手当が基礎に入っていると、分子が比例より大きいまま分母が縮むので、単価は上がる。21万円÷120時間=1,750円。短縮前は27万円÷160時間=1,687.5円だった。残業の多い月は、ここの差が積み上がる。

年次有給休暇は、日数が変わらず1日の金額が変わる

見落とされやすいのが有給の計算。付与日数を減らす仕組みが働くのは、週所定労働日数が4日以下かつ週所定労働時間が30時間未満の場合(厚生労働省のリーフレット「年次有給休暇の付与日数は法律で決まっています」)。

1日6時間で週5日なら、週の所定労働時間は30時間。「30時間未満」に当たらないので、比例付与の対象から外れる。付与日数は通常の労働者と同じで、継続勤務6か月で10日、1年6か月で11日、2年6か月で12日、3年6か月で14日、4年6か月で16日、5年6か月で18日、6年6か月以上で20日。日数は減らない。

週4日×6時間にすると24時間で、ここから比例付与に入る。週所定労働日数4日の付与日数は、継続勤務6か月で7日、以降8日、9日、10日、12日、13日、6年6か月以上で15日。1日の時間を削るか、週の日数を削るかで、有給の日数に差が出る。

1日あたりの金額のほうは、就業規則が選んだ方式で決まる。労働基準法が認めているのは3つで、平均賃金、所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金、健康保険法に定める標準報酬月額の30分の1に相当する額(これを使うには労使協定が必要)。通常の賃金なら6時間×1,500円=9,000円。標準報酬月額が18万円で30分の1の方式なら6,000円。同じ1日の有給で3,000円の差。どの方式かは就業規則に明確に規定されている。

時間単位で取る年休もある。労使協定を結んでいれば1時間単位で取得できて、上限は1年で5日分まで。6時間勤務なら5日分=30時間が上限になる。

控除と給付を足し引きして、手取りにする

ここまでが総支給の側。手取りにするには、控除を引く。

健康保険料と厚生年金保険料は、標準報酬月額の等級に当てはめて決まる。報酬が下がっても等級は自動で変わらないので、改定の届出を出すかどうかで控除額が変わる。雇用保険料は賃金に率を掛けるので総支給の減少にすぐ連動し、所得税も源泉徴収税額表の該当欄が下がる。住民税は前年の所得で決まっているため、短縮した年の分は下がらない。

最後に足すものがある。2歳に満たない子を養育するために所定労働時間を短縮して就業する雇用保険の被保険者には、育児時短就業給付金として各月に支払われた賃金の10%相当額が支給される。賃金18万円なら1万8千円。給付額と賃金の合計が時短勤務開始前の賃金を超えないよう、給付率が調整される。

賞与の計算は算定基礎に何を置くかで変わる。基本給連動なら、18万円を基礎に計算される。額面から手取りまでの順序は賞与の計算、額面から手取りまでに書いた。

測り方は、5つの数字を先に埋めること

計算を1人で通すのに要る数字。

  1. 年間の所定労働日数(就業規則の休日の条文、または年間カレンダー)
  2. 短縮前と短縮後の1日の所定労働時間(休憩を除く)
  3. 基本給と、各手当の額と支給条件
  4. 賃金規程の日割り計算の分母
  5. 有給1日に支払う賃金の方式と、現在の標準報酬月額

1と2で分母が出て、3で分子が出る。4は開始月だけに効き、5は有給を取った月に効く。全部そろえても、計算は電卓1つで足りる。順番を守れば、どの月の明細も同じ手順で検算できるし、差が出た行だけを会社に聞けば済む。この5つを埋めた紙が1枚あれば、短縮後の明細が届いたときに、自分の計算と1行ずつ突き合わせられる。

自分の職場で記録しておくこと

計算が合っていても、残るのは時間の使い方の判断。1日2時間を戻すのと、週1日を空けるのは、有給の付与日数でも生活でも違う結果になる。

1週間のうち、時間の制約が出る曜日の数。その制約が何時から何時までか。制約がある日に発生している業務の量。この3つを4週ぶん記録すると、1日の所定労働時間を6時間にして週5日働く形と、7時間にして週4日にする形のどちらが自分の1週間に収まるかを、月給と有給の付与日数の計算と並べて選べる。記録は4週で足りる。

出典

  1. 年次有給休暇の付与日数は法律で決まっています(リーフレットシリーズ労基法39条)/厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署/付与日数・比例付与の範囲・有給に支払う賃金の3方式
  2. 育児・介護休業法のあらまし/厚生労働省/第23条第1項の短時間勤務制度・制度化の要件・育児時短就業給付