体制が変わるのは何年ごとか

体制が変わる周期は、3年がいちばん多い。企業に「人事異動の頻度は何年ごとになることが多いか」を聞いた調査では、3年が27.9%で最多、次が5年の18.8%だった(労働政策研究・研修機構「企業の転勤の実態に関する調査」、2016年8〜9月調査、企業1,852社)。ただし同じ分布には6〜10年未満が14.6%、10年以上が5.9%も入っている。だから「平均何年」という一つの数字で自分の職場を言い当てることはできない。分かるのは、周期が会社ごとにほぼ固まっていて、その固まり方に規則があること。

以下は、その規則を数字で追い、体制が変わる前後に自分の手元で何を残すかまで落とした内容。

3年が27.9%、10年以上も5.9%

調査は常用労働者300人以上の企業10,000社に配り、1,852社が答えた(有効回収率18.5%)。人事異動の頻度についての回答は次のとおり。

人事異動の頻度 割合
1年未満 6.5%
1年 12.9%
2年 5.0%
3年 27.9%
4年 5.2%
5年 18.8%
6〜10年未満 14.6%
10年以上 5.9%
無回答 3.1%

3年と5年で46.7%。3年以内に一度動く会社は52.3%で、ほぼ半分。残りの半分は4年より長い側にいる。2年が5.0%しかないのに1年が12.9%あるのは、毎年の定期異動を回す会社と、事業の区切りに合わせて数年おきにまとめて動かす会社の二つに分かれていて、そのあいだの「2年おき」という運用がほとんど選ばれていないからだと読める(この読みは推定で、調査は理由を聞いていない)。

「体制が変わる」と社内で呼ばれているもの

社内で使われる「体制変更」は、たいてい3つのどれかを指す。部署の統廃合、指揮命令系統の組み替え、人の配置替え。会社法でいう組織再編(合併や会社分割)とは別の話で、こちらは登記も伴う手続き。人事の資料では組織改編・組織改正・機構改革と呼び分けていることもあるが、働く側から見て変わるのは、承認をもらう相手と、担当する範囲の線だけ。

だから「何年ごとか」を数えるときは、部署名が変わった回数ではなく、報告先が変わった回数で数えたほうが実態に合う。

定期的な異動があるかどうかで、周期は二つに割れる

同じ調査で、ジョブ・ローテーション(定期的な人事異動)が「ある」と答えた企業は53.1%、「ない」が46.2%。この2群で頻度の分布がはっきり違う。

人事異動の頻度 ローテーションあり(983社) ない(855社)
1年 14.4% 11.2%
3年 36.5% 18.5%
5年 18.1% 19.4%
6〜10年未満 9.5% 20.7%
10年以上 0.6% 12.0%

ローテーションがある会社で10年以上は0.6%まで落ち、ない会社では12.0%。20倍の開き。自分がどちら側にいるかは、過去5年ぶんの組織発表をさかのぼって、部署名の新設と廃止が毎年並んでいるか、それとも数年おきに一度だけ大きく並んでいるかを見れば判別できる。前者ならローテーションのある側、後者ならない側。

規模が大きい会社ほど3年に寄る

ローテーションがある企業の割合は、正社員300人未満で37.3%、1,000人以上で70.3%。頻度3年の割合も、300人未満の21.9%から1,000人以上の35.5%まで上がる。逆に10年以上は、300人未満が11.3%、1,000人以上が1.7%。

自分の会社の正社員数から、次の変更までの見積もりは動く。1,000人を超える規模なら3年前後、300人未満なら5年以上の間隔も珍しくない。

引き継ぎに使える時間は、告げられてから2週間から1か月

同じ調査は、転勤の打診を何日前までに行うかも聞いている。国内転勤では「2週間超〜1か月前」が34.9%で最多、「1か月超〜2か月前」が32.5%、「1週間超〜2週間前」が13.3%。そして転勤に関するルールを「定めていない」企業が76.4%。

予告は2週間から1か月、その運用は明文化されていない。この2つが重なると、引き継ぎは毎回その場の段取りになる。異動の内示が出てから引き継ぎ資料を作り始めると、通常業務と並走で2週間から1か月ということ。

なお、その異動に自分の希望がどれだけ反映されるかは別の数字がある。異動の本人希望、反映は約1割にまとめた。

やり直しになる作業は3種類に分かれる

体制が変わったあとに発生する作業は、全部が同じ重さではない。分けると3つ。

  1. 宛先だけが変わるもの — 承認経路、定例の報告先、共有フォルダの権限
  2. 前提が変わるもの — 目標の数字、担当範囲の線、他部署との分担
  3. 消えるもの — 進行中の施策、途中まで作った資料

1は作業量が読めるうえ、次の変更でも同じ形で発生するので、承認経路の申請先と定例の宛先をまとめた手順を一度書いておけば、2回目以降にかかる時間はそのぶん減る。2は判断が入る。上司が代わった直後に担当範囲の線を確認しておかないと、数週間あとに手戻りが来る。3は、時間を返してもらう方法がない。記録は残る。

次の変更の前に、4つだけ残す

体制が変わる周期は会社の属性で、自分では動かせない。動かせるのは、変わったときに手元に何が残っているか。

  • 決定の経路 — 誰の承認で何が決まっていたか。新しい上司に説明する材料になる
  • 引き継いだ作業と所要時間 — 件数と時間。次の引き継ぎの見積もりに使う
  • 自分の裁量の範囲 — どこまで自分で決めていたか。体制変更で最初に動く線
  • やり直しに使った時間 — 変更1回あたり何時間だったか

この4つは、体制が変わった直後には思い出せない。変わる前の平常時に書いておくもの。

方針そのものが変わったときに何を見るかは、会社の方針が変わるとき、何を数えるかで扱っている。

周期は会社の属性、記録は自分の持ち物

3年が27.9%という数字は、あなたの会社の周期ではない。自分の周期は、報告先が変わった回数を数えれば出る。そのうえで、変更のたびに何時間を使い、裁量の線がどちら側に動いたかを記録しておくと、3回目の変更では見積もりができる。

出典

  1. 企業の転勤の実態に関する調査(労働政策研究・研修機構、2016年8〜9月調査、調査シリーズNo.174、企業1,852社)
  2. 調査シリーズNo.174『企業の転勤の実態に関する調査』概要(労働政策研究・研修機構、2017年公表)