ジョブローテーションとは、定期の人事異動

ジョブローテーションは、同じ人を定期的に別の部署や職務へ移していく人事の運用を指す。1回ごとの配置変更を指す人事異動と重なるが、周期を前提に繰り返すところが違う。労働政策研究・研修機構が企業1,852社に聞いた調査では、ジョブ・ローテーション(定期的な人事異動)が「ある」と答えた企業は53.1%で、正社員1,000人以上の企業では70.3%にのぼる。周期は3年がいちばん多い。

定義は「定期的な人事異動」

この言葉を公的な調査で確かめると、定義は短い。労働政策研究・研修機構の「企業の転勤の実態に関する調査」は、企業に「ジョブ・ローテーション(定期的な人事異動)」の有無を聞いている。定期的であること、そして人事が決めて動かすこと。この2つが条件になる。

含まないものを並べておくと、輪郭がはっきりする。欠員が出たために1回だけ動かす配置変更は入らず、昇進や降格にともなう職位の変更も、周期を前提にしていないかぎりこの言葉では呼ばれない。本人が手を挙げて応募する社内公募制度は、動く方向を決めるのが本人なので別の仕組みである。転勤は居住地の変更をともなう異動を指す言葉で、ジョブローテーションの一部が転勤になることはあっても、2つは同じものを指していない。

制度があるのは53.1%、規模で19ポイント差

正社員規模 ジョブ・ローテーションが「ある」 回答企業数
300〜500人未満 51.3% 598社
500〜1,000人未満 57.2% 460社
1,000人以上 70.3% 344社
全体 53.1% 1,852社

300〜500人未満の51.3%と1,000人以上の70.3%で、19.0ポイントの差がある。規模が大きくなるほど割合が高い。

「ある」と答えた企業が半分あるということは、半分弱の企業には定期的に回す仕組みが無いということでもある。自分の職場に周期があるかどうかは、全国の割合では決まらない。

3年が最多、ただし制度の有無で分布が変わる

人事異動の頻度が何年ごとになることが多いかを聞いた結果を、制度の有無で分けて並べる。

周期 制度がある(983社) 制度がない(855社)
1年未満 7.8% 5.1%
1年 14.4% 11.2%
2年 5.6% 4.4%
3年 36.5% 18.5%
4年 6.5% 3.6%
5年 18.1% 19.4%
6〜10年 9.5% 20.7%
10年以上 0.6% 12.0%

制度がある企業では3年が36.5%で、2番目の5年18.1%の2倍ある。制度がない企業の3年は18.5%にとどまり、代わりに6〜10年が20.7%、10年以上が12.0%に積み上がる。同じ「3年」という答えの出やすさが、制度の有無で約2倍違う。

全体で見ると3年が27.9%、5年が18.8%、6〜10年が14.6%、10年以上が5.9%。「3年から5年で回る」という言い方の根拠はこの分布にあるが、3年と5年を足しても46.7%で、半分には届かない。残りはもっと短いか、もっと長い。異動の周期そのものの分布は体制が変わるのは何年ごとかで詳しく追った。

会社の側が何のために動かすか

同じ調査で、企業は転勤の目的を複数回答で答えている。「社員の人材育成」が66.4%でいちばん多く、「社員の処遇・適材適所」が57.1%、「組織運営上の人事ローテーションの結果」が53.4%、「組織の活性化・社員への刺激」が50.6%、「幹部の選抜・育成」が41.2%と続く。

これは転勤について聞いた数値で、転勤をともなわない異動の目的を直接示したものではない。ただ、育成を目的に挙げた企業が3分の2を占めるという事実は、定期的に動かす運用の性格を映している。人を育てるために動かす、と会社が説明する以上、動いた先で何を覚えたかは評価の材料になる。

本人の側から測る3つの数字

制度の有無は人事に聞かないと分からないが、自分の手元で数えられるものはある。

1つ目は、いまの部署の在籍月数。3年を36か月として、自分が何か月目にいるのかを数える。2つ目は、勤続年数あたりの異動回数。入社8年で3回なら2.7年に1回のペースで、全国の最多区分とほぼ同じ速さで動いていることになる。3つ目は、打診から発令までの日数で、前回の異動が何日前に知らされたかを覚えていれば、次も同じくらいの猶予があるものとして、引き継ぎの段取りや私生活の予定を先に置いておける。

同じ部署の人の在籍年数を並べてみるのも早い。5人いて、最長が7年、最短が8か月、中央が3年なら、その部署の実際の周期は3年前後だと読める。制度があるかどうかではなく、実際に何年で入れ替わっているか。それが自分に効く数字である。

希望を出せば通るのかは、別の問題になる。本人の手挙げで決まる異動は1年間の異動のうち1割程度という調査があり、異動の本人希望、反映は約1割にまとめた。

速さの合う周期は、人によって違う

3年で動くことが合う人と、合わない人がいる。これは制度の出来とは別の話で、どれくらいの速さで持ち場が変わると力を出しやすいかという、個人の側の条件である。

短い周期が合う人は、新しい手順を覚える時期に伸びる。長い周期が合う人は、同じ領域で深さが出てくるまでの時間を必要とする。1つの職場に両方の人がいるのに適用される周期は同じ3年で、異動の直後に成果が落ちることも、落ちた状態が何か月続くかも、人によって幅がある。合う速さに名前はついていない。

自分がどちらに寄っているかを言葉にしておくと、面談で希望を伝えるときの材料になる。変化の速さについては職場の変化が速すぎると感じたら、仕事の内容が変わらない側の話は仕事が変わらない毎日を4つに割るに書いた。学ぶ量や裁量の範囲の測り方は裁量権とは、何を自分で決められるかにある。

次の異動を待つあいだに、数えておくもの

在籍月数、同じ部署の人の在籍年数、前回の打診から発令までの日数。この3つを書き出すと、次がいつ来そうかの見込みが立つ。

見込みが立てば、いまの部署で終わらせておく仕事と、持ち越しても構わない仕事を分けられる。3年目の秋に動く可能性が高いと分かっているなら、引き継ぎの書類を作る時期も決まる。周期は会社が決めるが、準備の時期は自分で決められる。

出典

  1. 企業の転勤の実態に関する調査(調査シリーズNo.174。ジョブ・ローテーションの有無53.1%、人事異動の頻度、転勤の目的)/労働政策研究・研修機構/2016年8〜9月調査・企業1,852社
  2. 同 調査シリーズNo.174 概要(2017年公表)/労働政策研究・研修機構