従業員満足度の平均、近い数字は4.92点

従業員満足度(ES)の全国平均という数字は、公表されていない。会社ごとに設問も尺度も違うものを集計した統計が無いからで、「平均3.5点が目安」のような数字はたいてい出典が示されていない。いちばん近い公的な数字は、内閣府の調査で聞いている「雇用環境と賃金」の満足度、10点満点の平均4.92点(2025年3月調査、10,633人)。総合的な生活満足度の平均は5.79点だった。

会社が測るESと、この調査が測っているもの

ESは会社が自社の従業員だけに聞くもので、母集団はその会社の社員に限られ、尺度は5段階が多く、設問文も会社ごとに作る。内閣府の調査は、全国の個人に生活の13分野について0〜10点で自己評価してもらう形式。相手も幅も違う。

だから社内のスコアと全国平均を並べて上下を言うことはできない。できるのは、働くことに関わる満足度が全国ではどのくらいの水準に落ち着いているかを知って、社内の点数の動きを読む背景にすること。

満足度と近い語で測られるワークエンゲージメントについては、ワークエンゲージメントとは何の状態かで定義と尺度を書いた。満足度は状態への評価、エンゲージメントは仕事への没入と活力を指す別の変数。

調査は全国10,633人、2025年3月

内閣府「満足度・生活の質に関する調査報告書2025」。2025年3月14日から3月31日にインターネットで実施し、全国10,633人(男性5,281人、女性5,352人)が答えた。対象は15〜89歳で、都道府県ごとに200人台の配分がある。2019年から7回目。

回答者のうち5,433人は今回が初回で、残りは過去の調査から続けて答えている人。継続して答えている4,029人については、個人ごとの点数の変化も取れる。

働くことに関わる満足度は4.92点

分野 2019年 2022年 2024年 2025年
総合的な生活満足度 5.78 5.76 5.89 5.79
雇用環境と賃金 4.65 4.84 4.84 4.92
仕事と生活(ワークライフバランス) 5.25 5.36 5.43 5.46

雇用環境と賃金の満足度は、7年間で4.65から4.92へ0.27ポイント上がった。仕事と生活の両立についても5.25から5.46へ上がっている。一方で総合的な生活満足度は5.79で、前回の5.89から0.10ポイント下がり、2023年と同じ水準に戻った。

13分野の中では低い側。政治・行政・裁判所への信頼性が4.37、介護のしやすさ・されやすさが4.82、住宅が5.69、身の回りの安全が5.80という並びの中で、雇用環境と賃金の4.92は下から3番目にあたり、仕事に関わる2つの分野はどちらも住宅や安全より点が低い。

平均の1点差より、分布のほうが情報がある

生活満足度の点数分布を見ると、最頻値は8点で17.8%、次が7点の17.4%、その次が5点の16.9%。5点から8点のあいだに全体の約66%が入る。

平均5.79という数字は、この厚い塊のやや下に線を引いたもの。自分が6点だったとして、平均より上か下かを気にする意味は薄い。同じ塊の中にいる。

雇用形態で平均が0.23点違う

就業者を雇用形態で分けると、生活満足度の平均は正規雇用5.76点、非正規雇用5.53点。前回調査からの変化は正規が0.09ポイント、非正規が0.14ポイントの低下で、どちらも統計上有意な差が認められている。

社内のスコアを何かと比べたいなら、比べる相手の属性をまず揃える。雇用形態で0.23点動くものを、属性を無視して平均と並べても読めない。

この数字の限界は3つ

1つ目は調査方法。インターネットのモニター調査で、都道府県・年齢の配分を決めて集めている。無作為抽出の郵送調査とは回答者の性質が違う。

2つ目は測っているものの範囲。「雇用環境と賃金」は自分の雇用の安定や賃金への満足を含む分野で、上司との関係や仕事の裁量は別の設問。ESの総合満足度と中身が一致しない。

3つ目は主観であること。同じ職場に5年いても、点数は基準の置き方で動く。前回調査(2024年2月)から今回(2025年3月)で0.10ポイント下がった変化も、職場が変わった結果とは限らない。

平均と比べるより、自分の点数を並べる

全国平均は、自分の満足度の位置を決める基準にはならない。使えるのは、同じ設問・同じ尺度で、自分の点数を時間をおいて取ったときの差。

年に1回でも、10点満点で今の職場への満足を記録しておく。そのとき何が変わっていたかも一緒に書いておくと、次に点が動いたときに動かした要因を候補から選べる。異動、上司の交代、担当の範囲。平均の4.92点より、自分の1回目と2回目の差のほうが読める。

出典

  1. 満足度・生活の質に関する調査報告書2025(内閣府、2025年3月調査、10,633人)
  2. 満足度・生活の質に関する調査(内閣府、調査一覧)