ワーク・エンゲイジメント・スコアは、29歳以下の3.29から60歳以上の3.70まで、年齢階級が上がるほど高くなる。差は0.41ポイント。厚生労働省が令和元年版の労働経済の分析で、労働政策研究・研修機構の正社員調査(2019年3月実施、有効回収16,752件)の個票を集計した値である。ただし29歳以下から50歳台までの差は0.14しかなく、段差のほとんどは60歳以上で付いている。
エンゲージメント、年代差は0.41
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5つの年齢階級と、活力・熱意・没頭
スコアは0〜6の範囲で、「活力」「熱意」「没頭」の3つを平均したもの。区分ごとに並べる。
| 年齢 | スコア | 活力 | 熱意 | 没頭 |
|---|---|---|---|---|
| 29歳以下 | 3.29 | 2.66 | 3.85 | 3.37 |
| 30歳台 | 3.38 | 2.73 | 3.90 | 3.51 |
| 40歳台 | 3.42 | 2.76 | 3.94 | 3.55 |
| 50歳台 | 3.44 | 2.78 | 3.94 | 3.59 |
| 60歳以上 | 3.70 | 3.19 | 4.08 | 3.82 |
| 全体 | 3.42 | 2.78 | 3.92 | 3.55 |
29歳以下から50歳台までは、0.1以下の小さな上がり方が続く。そこから60歳以上で0.26上がる。就業形態や勤務時間が変わる年齢帯なので、この段差を年齢そのものの効果として読むのは無理がある。
3つの内訳を見ると、幅がそろっていない。活力は29歳以下の2.66から60歳以上の3.19まで0.53、没頭は3.37から3.82まで0.45。熱意は3.85から4.08までの0.23で、いちばん狭い。仕事への熱意は年代でそれほど変わらず、活力のほうが大きく分かれている。
言葉の中身と、3つの下位尺度が何を聞いているかはワークエンゲージメントとは何の状態かにある。
年代の差は、役職の差と重なっている
同じ集計には役職別の値も載っている。役職なし3.33、係長・主任相当職3.40、課長相当職3.45、部長相当職以上3.76。上下の差は0.42で、年代の差0.41とほぼ同じ大きさ。
年齢が上がれば役職が付く人の割合も上がるので、年代別の表と役職別の表は、同じ人たちを違う切り口で並べ直したものになっていて、どちらがどれだけ効いているかは分けられていない。29歳以下のスコアが低いことの一部は、そこに役職なしが多いという構成の違いで説明できる。
企業規模で見ると、向きが逆になる。20人以下3.40、20超〜50人以下3.47、50超〜100人以下3.39、100超〜300人以下3.35、300超〜1,000人以下3.36、そして1,000人以上が3.27でいちばん低い。年代とは別の軸として、大きい会社のほうがスコアが低い。性別では男性3.39、女性3.45。
39歳以下では年収とともに上がる
白書は、年齢階級と役職を組み合わせて、年収別のスコアも出している(第2-(3)-5図)。39歳以下の非役職者では、300万円未満3.25、300〜400万円未満3.31、400〜500万円未満3.40、500万円以上3.58。年収が上がるにつれて0.33ポイント上がる。
同じ非役職者でも、40歳台になるとこの形は消える。300万円未満3.32、300〜400万円未満3.28、400〜500万円未満3.38、500万円以上3.37。50歳以上では3.39、3.50、3.32、3.43で、順番も揃わない。
39歳以下では年収の増加に伴う上昇が見えるのに、40歳台と50歳以上ではその傾向が出ない。処遇の変化がスコアに乗る年代と、乗らない年代がある。
この集計で言えないこと
断面の調査である。同じ人を追いかけた結果ではないので、「30代になるとスコアが下がる」という時間の中の変化は、この表からは出てこない。2019年3月というひとつの時点で、いま30歳台の人と、いま60歳以上の人という別々の集団を横に並べて比べた値だと読むほうが正確だ。
対象は正社員のみ。パートタイムや契約社員は入っていない。調査時点は在宅勤務が広がる前で、その後の働き方の変化は反映されていない。
そして、年齢と役職と年収と企業規模は、互いに絡んでいる。この表はそれぞれを単独で並べたものなので、どれがどれだけ効いているかは分からない。白書は別の節で、これらを同時に入れた計量分析も行っている。
エンゲージメントが低い側と高い側で何が違うかはエンゲージメントが低い理由、差は成長実感に、業種による差は業種別エンゲージメント、差は0.55にまとめた。
自分の年代の平均と、自分を比べる
年代の平均と自分の距離を見たいなら、比べる相手を年代だけにしないほうがいい。役職の有無、会社の規模、年収の帯。この4つを揃えた欄はこの表には無いが、近い条件の値を拾って並べることはできる。
たとえば30歳台で役職なし、500万円未満、従業員1,000人以上の会社にいる人は、年代の平均3.38より低い側の条件を3つ持っている。自分のスコアがそれを下回っていたら、年代の問題として片付ける前に、いまの職場の条件のほうを数えてみる価値がある。活力が低いなら睡眠と労働時間、熱意が低いなら仕事の内容、没頭が低いなら中断の回数。どこが落ちているかで、見る場所が変わる。
出典
- 令和元年版 労働経済の分析 第2-(3)-3図 ワーク・エンゲイジメント・スコア(活力・熱意・没頭)の概況(バックデータ。年齢・性別・役職・企業規模別)/厚生労働省/労働政策研究・研修機構「人手不足等をめぐる現状と働き方等に関する調査(正社員調査票)」2019年の個票を独自集計
- 同 第2-(3)-5図 年齢階級・役職別にみたワーク・エンゲイジメント・スコアと年収の関係(バックデータ)/厚生労働省
- 同 本文 第2部第3章第2節(ワーク・エンゲイジメントの概況と測定の説明)/厚生労働省/2019年9月公表
- 調査シリーズNo.193『人手不足等をめぐる現状と働き方等に関する調査(企業調査・労働者調査)』/労働政策研究・研修機構/2019年3月実施・正社員調査の有効回収16,752件(回収率16.4%)





