仕事にエンゲージしていると答えた日本の働き手は8%。同じ2025年の調査で、世界の平均は20%、東アジアは18%、米国・カナダは31%、ヨーロッパは12%だった。米ギャラップが140以上の国と地域で続けている World Poll の値で、2025年は263,810人(うち就業者141,444人)に聞いている。
日本のエンゲージメント8%、欧州は12%
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8%と20%のあいだに、12%がある
| 国・地域 | エンゲージしている |
|---|---|
| 米国・カナダ | 31% |
| 世界(全体) | 20% |
| 東アジア | 18% |
| ヨーロッパ | 12% |
| 日本 | 8% |
日本の8%は、世界平均から12ポイント下。ただし、いちばん近い比較対象はヨーロッパの12%で、差は4ポイントしかない。同じ表のなかで米国・カナダの31%とヨーロッパの12%のあいだには19ポイントの開きがあって、日本とヨーロッパの距離より、先進国とされる地域どうしの距離のほうがずっと大きいことになる。
同じ質問票を訳して世界中で使っている調査なので、数字はそろっている。そろっているのは質問の文言であって、その文言が各国でどう受け取られるかまでは同じにならない。
残りの92%は、二つに割れている
日本の内訳は、エンゲージしているが8%、していないが71%、積極的にしていないが21%。
この71%が何を指すかで、8%という数字の読み方は変わる。ギャラップの区分で「していない」とされるのは、日々の仕事はこなしながら心理的には離れている状態のことで、職場に不満をぶつけている状態は「積極的にしていない」という別の区分に置かれている。後者が21%。真ん中の層がいちばん厚い。
8%を「9割が仕事を嫌っている」と読み替えると、この区分を踏み外す。8%が低いことと、21%が特別に大きいことは、別の話。
順位よりも、値のほうが使える
この調査を伝える記事の多くは「日本は世界最下位」と書く。順位そのものは、この記事では出さない。国別の値は国ごとのページに分かれて公表されていて、同じ年でそろえた一覧を出典として確定できないからだ。
順位で見ると、1ポイントの差と10ポイントの差が、どちらも同じ「1つ下」として並んでしまう。日本の8%とヨーロッパの12%がどれだけ離れているのかという問いに、順位表は答えない。答えるのは値のほう。
日本の値が年によってどう動いてきたかはエンゲージメント推移、日本は8%に、そもそも何を測っている言葉なのかはワークエンゲージメントとは何の状態かにまとめた。
同じ調査の別の指標では、日本は世界平均の下にいない
| 指標 | 日本 | 東アジア | 世界 |
|---|---|---|---|
| 前日にストレスを感じた | 39% | 46% | 40% |
| 前日に怒りを感じた | 13% | 20% | 22% |
| 前日に悲しみを感じた | 9% | 17% | 23% |
| 前日に孤独を感じた | 11% | 23% | 22% |
| 生活を thriving と評価 | 31% | 32% | 34% |
| いま仕事を見つけるのに良い時期 | 57% | 58% | 52% |
怒り13%、悲しみ9%、孤独11%は、いずれも世界平均の半分前後にとどまる。ストレスの39%は世界平均の40%とほぼ同じで、東アジアの46%よりは7ポイント下。仕事を見つけるのに良い時期かという問いには57%が肯定していて、世界平均を5ポイント上回っている。
つまり、エンゲージメントの8%だけを取り出すと日本は世界の端にいるが、同じ人たちに同じ日に聞いた感情の指標では、世界平均より下に振れている項目のほうが少ない。1つの指標で職場の状態を代表させると、この食い違いが見えなくなる。
どちらが本当かという問いには、この調査は答えない。答えているのは、エンゲージメントという1つのものさしで測ると8%になり、別のものさしで測ると違う位置に来る、ということだけ。
1国あたりおよそ1,000人が答えている
World Poll は各国で無作為に選んだ15歳以上の住民に聞き、1国あたりの回答はおよそ1,000人。そこから就業者を抜き出して集計するので、日本の8%を支えている人数はさらに小さくなる。国の比較として読む値であって、業種や職種ごとの値としては使えない。
日本国内での業種差や年代差は、別の調査のほうが細かく出る。業種別エンゲージメント、差は0.55とエンゲージメントが低い理由、差は成長実感に、国内の集計を置いた。
この比較が答えないこと
国の平均であって、会社の値ではない。日本の8%という値から、自分の職場が8%に近いかどうかは出てこない。同じ国のなかの分布は、この数字には入っていない。
年をまたいだ比較にも注意がいる。ギャラップは推移を3年移動平均で描いており、単年の値をそのまま前年と引き算すると、動きを大きく見積もることになる。
国ごとの差が、働き方の差なのか、質問への答え方の差なのかも切り分けられない。自己評価を高くつけにくい文化では、同じ状態でも低い数字が出る。この調査はその補正をしていない。
20%と、自分の職場
世界平均が20%でも、自分の職場でそれが何に相当するかは、この表からは出てこない。出てくるのは、エンゲージメントという1つの数字に、職場の状態のうちどれだけが乗っているのかという問いのほうだ。
上司と話した回数、任される範囲、評価の伝わり方。国の平均に押し込まれているものを、測れる単位に割って記録していくと、8%という数字の代わりに使えるものが手元に残る。





