フレックスタイム制がある企業は8.3%。厚生労働省の令和7(2025)年就労条件総合調査の数値で、常用労働者30人以上の民営企業6,448社に調査票を送り、3,820社から回答を得た(有効回答率59.2%)。前年の調査では7.2%、5年前の令和2(2020)年調査では6.1%だった。ただし「導入率」として並んでいる数字には、企業の数で数えたものと働いている人の数で数えたものの2種類があり、後者は11.1%。どちらを見ているかで3ポイント近く動く。
フレックスタイム制の導入率は8.3%
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企業の数では8.3%、人の数では11.1%
就労条件総合調査は、2つの数え方でフレックスタイム制を聞いている。ひとつは制度がある企業の割合、もうひとつは実際に適用を受けている労働者の割合。令和7年調査でそれぞれ8.3%と11.1%。
企業の数で数えると割合が下がるのは、制度を持つ企業が規模の大きい側に偏っているから。1社を1と数えれば小さい企業の数が効き、1人を1と数えれば大きい企業に勤める人の数が効く。規模ごとの内訳はフレックスタイム制、企業規模別の差に分けた。
記事や資料で「導入率」と書かれているとき、どちらの数字かが示されていないことがある。同じ調査の同じ年でも、数え方の違いで2.8ポイント離れる。
推移は3年で1.5ポイント
| 調査年 | 制度がある企業の割合 | 適用を受ける労働者の割合 |
|---|---|---|
| 令和2(2020)年 | 6.1% | — |
| 令和5(2023)年 | 6.8% | 10.6% |
| 令和6(2024)年 | 7.2% | 11.5% |
| 令和7(2025)年 | 8.3% | 11.1% |
企業の割合は令和5年から令和7年で1.5ポイント上がった。令和2年からの5年で見ると2.2ポイント。上がり方は一定でない。令和2年から令和5年までの3年間で動いたのが0.7ポイントだったのに対し、令和6年から令和7年の1年だけで1.1ポイント動いているので、直近に寄っている。
労働者の割合は同じ形をしていない。令和5年の10.6%から令和6年は11.5%へ0.9ポイント上がり、令和7年は11.1%に0.4ポイント下がった。企業の側が増えた年に、適用されている人の側が減っている。
この食い違いから読めるのは、新しく制度を入れた企業で対象になった人数が、全体の人数の動きを上回らなかったということ。理由までは調査から出ない。適用対象を一部の職種に絞った導入が増えたのか、大きい企業で対象を縮めたのか、このどちらなのかを分ける材料が、公表されている表には無い。
「フレックスタイム制がある」が指す状態
分かるのは有無だけ。この調査は、制度が使われている程度を聞いていない。フレックスタイム制は、労使協定で定めた清算期間の総労働時間を働く前提で、始業と終業の時刻を働く人が決める制度。清算期間の上限は2019年4月の改正で1か月から3か月に延びた。
勤務が義務づけられる時間帯(コアタイム)と、自分で決められる時間帯(フレキシブルタイム)を分けて設ける形が多い。コアタイムを置かない形も制度としては成り立つ。就労条件総合調査はこの違いを区別していないので、コアタイムが10時から16時まで置かれていて動かせる幅が実質1時間しかない企業と、コアタイムのない企業が、同じ1件として8.3%の中に並んでいる。
また、この調査ではフレックスタイム制を変形労働時間制の一種として集計している。変形労働時間制がある企業は60.2%で、その内訳は1年単位が30.3%、1か月単位が26.4%、1週間単位の非定型的が1.1%、フレックスタイム制が8.3%(複数回答)。始業と終業の時刻を働く人の側が決めるのは、このうちフレックスタイム制だけ。
調査の範囲
対象は日本標準産業分類の16大産業で、常用労働者30人以上を雇用する民営企業。産業と企業規模で層化して無作為に抽出し、復元倍率を用いて集計している。時点は令和7(2025)年1月1日現在。
30人未満の企業は入っていない。8.3%は「日本の全事業者のうち8.3%」ではなく、30人以上の民営企業を母集団とした推計値。小さい事業所を含めた割合を知りたい場合、この調査では出せない。
この数字で分からないこと
3つ挙げておく。ひとつ、制度があっても自分が対象かどうか。適用を受ける労働者の割合が11.1%にとどまる以上、制度のある企業の中に対象外の人がいる。
ふたつ、コアタイムの長さ。時刻を動かせる幅が1時間なのか5時間なのかで、朝の使い方は変わる。調査は分けていない。
みっつ、実際に時刻をずらせているか。制度があっても、毎朝9時30分からの定例会議が動かないのであれば、始業を遅らせる選択は手元に残らない。ここから先は統計を離れ、記録の話になる。
次に見る場所
求人票と就業規則では、確かめる欄が決まっている。清算期間の長さ、コアタイムの時刻、対象となる職種または部門、標準となる1日の労働時間。このうち書かれていないものがあれば、それがそのまま面談で聞く項目になり、返ってきた答えは口約束のまま置かずに日付と一緒に書き留めておくと、入ってから実際の運用と照らせる。
いま働いている職場なら、2週間ぶん勤務開始の時刻を書き出すのが早い。制度の名前と関係なく、実際に動かせている幅が分になって出る。毎日9時前後に収まっているのか、30分ずらせているのか。自分にとって必要な幅が何分なのかも、同じ記録から見当がつく。





