人手不足の業種別、金融が67.1%

正社員が足りないと答えた企業の割合は、業種別で金融の67.1%が最も高い。民間調査会社の帝国データバンクが2026年7月に実施した「人手不足に対する企業の動向調査」の数字で、全業種では51.3%。建設が66.0%、運輸・倉庫が65.6%と続き、6割を超えた業種は6つあった。

非正社員に目を移すと、順位が入れ替わる。トップは飲食店の57.7%で、金融は45.3%まで下がる。同じ業種でも、どの雇用形態を聞かれたかで20ポイント以上ずれる。

全体では正社員51.3%、非正社員28.8%

調査は2026年7月17日から31日にかけて、全国2万2,350社を対象にインターネットで行われた。有効回答は1万518社、回答率47.1%。業界の区分は10業界51業種で、業種別の集計に入るのは母数が20社以上の業種に限られる。

正社員の51.3%は、7月としては4年連続で5割を超えた値。前年同月の50.8%から0.5ポイント上がっている。非正社員は28.8%で、前年同月比では0.1ポイントの上昇にとどまり、2025年4月以降はどの月も3割を下回ったままなので、正社員と非正社員のあいだの差はこの1年でさらに開いた形になる。差は22.5ポイント。

不足しているかどうかを判定しているのは、企業自身。欠員が何人いるかを数えた統計ではない。「不足を感じているか」への回答を集めたものなので、必要な人員を多めに見積もっている会社と、いまの人数で回ると考えている会社が、同じ51.3%のなかに混ざって入っている。

正社員で6割を超えたのは6業種

順位 業種 2026年7月 2025年7月 2024年7月
1 金融 67.1% 60.7% 61.2%
2 建設 66.0% 68.1% 69.5%
3 運輸・倉庫 65.6% 63.9% 63.4%
4 メンテナンス・警備・検査 63.8% 66.7% 65.9%
5 放送 61.9% 63.2% 76.5%
5 情報サービス 61.9% 67.6% 71.9%
7 リース・賃貸 59.8% 55.1% 60.2%
8 輸送用機械・器具製造 59.1% 45.8% 46.6%
9 娯楽サービス 57.3% 51.1% 52.2%
10 家電・情報機器小売 56.0% 59.7% 52.8%

上がった業種と下がった業種が混ざっている。金融は前年同月から6.4ポイント上昇してトップに立ったが、3年前の順位表では建設と情報サービスの下にいた。輸送用機械・器具製造の13.3ポイント上昇が、この10業種のなかでは最も大きい動き。

下がったほうも見ておく。前年同月比でいえば建設が2.1ポイント、情報サービスが5.7ポイントのマイナスで、放送にいたっては2024年7月の76.5%から3年かけて14.6ポイント下げ、いまは6割すれすれに落ちてきている。高い水準のまま横ばい、という業種ばかりではない。

非正社員では飲食店がトップ

順位 業種 2026年7月 2025年7月 2024年7月
1 飲食店 57.7% 61.8% 67.5%
2 メンテナンス・警備・検査 56.8% 55.1% 55.3%
2 人材派遣・紹介 56.8% 63.3% 58.6%
4 娯楽サービス 54.1% 47.1% 40.5%
5 繊維・繊維製品・服飾品小売 46.6% 40.8% 37.1%
6 飲食料品小売 45.9% 42.7% 53.8%
7 金融 45.3% 35.5% 44.1%
8 各種商品小売 41.1% 59.7% 65.1%
9 運輸・倉庫 39.5% 40.4% 37.8%
10 専門商品小売 36.4% 36.1% 37.6%

飲食店は2年で9.8ポイント下がり、4か月続けて6割を割っている。総合スーパーなどの各種商品小売は、前年同月から18.6ポイントの低下。この表でいちばん大きく動いた数字になる。

反対に上がったのは、娯楽サービス(前年同月比+7.0ポイント)、金融(+9.8ポイント)、繊維・繊維製品・服飾品小売(+5.8ポイント)。メンテナンス・警備・検査は正社員でも非正社員でも6割前後にいて、両方の表の上位に名前が出てくる数少ない業種になっている。

同じ業種でも、雇用形態で見え方が変わる

金融は正社員67.1%に対して非正社員45.3%。差は21.8ポイント。飲食店は非正社員57.7%が1位だが、正社員側の上位10には入っていない。

自分の職場で欠員が埋まらないとき、足りていないのがどの雇用形態なのかで、業種のなかでの位置は変わる。正社員の補充が止まっているのか、シフトを埋める人が集まらないのか。先に分けておく。そのうえで該当する側の表を見ると、同じ業種の他社でも同じことが起きているのか、自分の勤め先だけで起きているのかの見当がつく。

人手不足を理由とする倒産は、2026年の上半期(1〜6月)で227件。上半期としては5年連続で前年を上回った。業種別では建設業が65件で最も多く、サービス業が59件、運輸・通信業が38件と続いている。

この数字で言えないこと

不足の深さは出てこない。1人足りない会社と10人足りない会社が、同じ「不足」として1票ずつ数えられている。

回答率は47.1%。回答しなかった1万1,832社が、答えた会社と同じ割合で不足を感じているかどうかは分からない。インターネットによる調査なので、そもそも回答する余裕のあった会社に寄る可能性も残る。

業種の区分は調査会社の分類で、日本標準産業分類とは別のもの。公的統計の産業別集計と並べて比べられる数字ではない。厚生労働省の調査による産業別の割合は人手不足の割合、正社員は49%にまとめてあり、そちらは事業所を単位にした調査になる。時系列の動きは人手不足の推移、過剰超過は2009年だけのほうに並べた。

人が足りない業種が、そのまま人の入れ替わりが激しい業種とは限らない。業種ごとの離職の数字は離職率、業種別で見るにある。

出典

  1. 人手不足に対する企業の動向調査(2026年7月)/帝国データバンク/2026年7月17日〜31日・全国22,350社対象・有効回答10,518社・回答率47.1%
  2. 同レポート本文PDF(業種別人手不足割合の表、人手不足倒産227件)/帝国データバンク