1on1が苦痛なとき、何が苦痛か

1on1が苦痛なとき、出どころは2つに分かれる。面談の形から来るものと、相手との関係から来るもの。前者は頻度や1回の長さや議題を誰が決めるかという条件の集まりなので、どれか1つが変わるだけで軽くなることがある。後者は、面談を30分から15分にしても残る。

先に分けておくと、次に誰へ持ちかけるかが変わる。形の話なら相手は制度、関係の話なら経路そのものが別になる。

1on1の苦痛を数えた統計は、見つからない

面談そのものの苦痛を測った公的統計は無い。近いところにあるのは、仕事のストレスの原因を聞いた調査だ。

厚生労働省の令和7年労働安全衛生調査(実態調査)は、常用労働者10人以上の民営事業所で働く労働者から無作為に抽出した18,553人を対象に行われ、8,393人が答えている。有効回答率45.2%。調査の時点は2025年10月31日。

現在の仕事や職業生活に関することで強い不安、悩み、ストレスと感じる事柄がある労働者は67.5%。前年の68.3%からわずかに下がった。3人に2人は、何かしら抱えている。

原因の上位は、3つが接近している

強いストレスと感じる事柄がある人に、その内容を主なもの3つ以内で聞いた結果がこうなる。

仕事の量が39.5%、仕事の失敗・責任の発生等が39.5%で同率の1位に並び、次が対人関係(セクハラ・パワハラを含む)の32.9%、続いて仕事の質が30.7%、役割・地位の変化等(昇進・昇格、配置転換等)が17.7%となっている。上位3つの差は7ポイントに収まる。

動いたのは対人関係だった。前年の26.1%から6.8ポイント上がっていて、この年の項目の中で振れ幅が最も大きい。

ここで1つ線を引いておきたい。1on1の苦痛が対人関係の項目に入るとは限らない。面談で仕事の量を問われるのが重いなら、苦痛の中身は量のほうだ。面談は、別のところにある苦痛が表に出てくる場所でもある。

対人関係を挙げる人は、30代と40代で多い

年齢階級で分けると、山の位置がはっきりする。

30〜39歳が37.1%、40〜49歳が36.8%と高く、そこから50〜59歳は31.5%、20〜29歳は26.1%、20歳未満は22.5%まで下がる。若いほど高いという形ではない。任される範囲が広がって、調整する相手が増える時期に上がっている。

1on1が始まるのも、たいていこの時期と重なる。

苦痛を2つに割る見分け方

質問を1つ自分に向ける。面談の相手が別の上司に変わったら、軽くなるか。

軽くなると思うなら、苦痛は関係の側にある。変わらないと思うなら、形の側だ。形の側なら、動かせる条件は4つある。頻度、1回の長さ、議題を誰が決めるか、話した内容の共有範囲。この4つをどう持ちかけるかは1on1をやめてほしいと感じたらに書いた。

関係の側だった場合、条件を削っても苦痛の量は変わらない。月1回30分を隔月15分にしても、その15分は同じ重さで来る。

面談が業務報告会になっている、上司が話しすぎている、数字の追及で終わる。1on1の失敗として並べられるこの3つは、どれも形の側の話で、直せるのは面談を設計する側であって、呼ばれる側が今週どうにかできるものではない。だから見分けが先に来る。

部下が受ける1on1の満足度や困りごとの順位は1on1の実態、満足した部下は52.7%にある。

相談先として上司を挙げる人は63.8%

同じ調査は、相談の状況も聞いている。

ストレスについて相談できる人がいる労働者は94.8%。相談できる相手を複数回答で聞くと、家族・友人が74.8%で最も多く、次が上司の63.8%、同僚が62.5%で、実際に相談したことがある人は相談できる人がいる労働者の71.2%、その相手は家族・友人68.3%と上司56.6%だった。

数字の並びを見ると、職場の中の相談先として上司が大きな位置を占めている。ところが1on1の苦痛が上司との関係から来ている場合、この経路は使えない。上位にある2つのうち1つが、苦痛の相手と同じ人になる。

残るのは家族・友人、同僚、そして事業所の外側。社内に相談窓口があるかどうかは、ストレスチェックの結果の活用内容として事業所に聞かれている項目でもある。自分の職場にあるのかは、衛生委員会の議事録か就業規則で確かめられる。

記録するのは、面談の前後に使った時間

苦痛の大きさは、面談の30分では測れない。測るなら前後を足す。

前日から準備に使った時間と、終わったあとに引きずった時間。この2つを4週ぶん書き出す。30分の面談のために前後で3時間使っているなら、重いのは面談ではなく、その周りに広がっている時間のほうだ。

話題も1行でいい。仕事の量の話だったか、失敗や責任の話だったか、関係の話だったか。調査の選択肢と同じ分類で書いておくと、自分の苦痛が全国の分布のどこに当たるかが見える。

今週やること

次の1on1の前後に、時間と話題を1行ずつ書く。それだけでいい。

4週ぶん貯まると、苦痛が形から来ているのか関係から来ているのかが、行数で分かる。形の側なら条件を1つに絞って持ちかける。関係の側なら、面談の外に経路を作る。

職場の条件を測る設問に答えておくと、面談の頻度や確認の頻度について、自分が合うと感じる水準も記録に残る。いま重いと感じている頻度が、自分の水準からどれだけ離れているか。そこまで出てくると、話は好みの問題から条件の差に変わる。

出典

  1. 令和7年 労働安全衛生調査(実態調査)結果の概況(厚生労働省、2025年10月31日現在。個人調査 対象18,553人・有効回答8,393人。ストレスの内容はp.16、相談状況はp.18)
  2. 令和7年 労働安全衛生調査(実態調査)調査の概要(厚生労働省)