1on1に満足していると答えた部下は52.7%だった。パーソル総合研究所が2024年6月に行った「部下の成長支援を目的とした1on1ミーティングに関する定量調査」で、直近半年に1on1を受けた部下1,500人に7段階で聞いた結果。内訳は「非常に満足」3.9%、「満足」18.7%、「やや満足」30.2%。残りの47.3%のうち32.4%は「どちらともいえない」で、はっきり不満と答えた層(「非常に不満」4.7%、「不満」4.0%、「やや不満」6.2%)は合わせて14.9%にとどまる。
同じ調査は上司1,500人にも同じ項目を聞いている。だから部下側の実態は、上司側の回答と並べて読める。
ひと月あたり0.8回、義務で行う場合は0.5回
部下が答えた1on1の実施回数は、ひと月あたり平均0.8回。月1回に届いていない。
実施のきっかけ別に見ると、差がはっきり出る。
| 実施のきっかけ |
ひと月あたりの平均実施回数 |
| 部下が上司に提案して実施 |
2.8回 |
| 上司が部下に提案して実施 |
1.8回 |
| 会社の方針・義務として実施 |
0.5回 |
自分から提案した場合の2.8回と、会社の方針で行っている場合の0.5回。5倍以上の開きがある。制度として入っている面談のほうが回数が少ないという結果で、枠が決まっていることと、実際に開かれることは別だと分かる。
直近半年に1on1を受けた部下の割合は55.7%(スクリーニング調査 n=5,773)で、この数字の内訳は1on1実施率55.7%は誰の数字かに分けて書いた。
8割以上が対面
| 実施方法 |
割合 |
| 対面(ほとんど73.8%+対面が多い10.5%) |
84.3% |
| オンライン(ほとんど5.1%+オンラインが多い4.9%) |
10.0% |
| 対面とオンラインが同程度 |
5.6% |
オンラインが中心の人は10.0%しかいない。報告書は、この比率が出社に関する社内のルールに左右されると見ていて、同じ機関の2024年のテレワーク調査でテレワーク実施率が約2割だったことを参考値として挙げている。
話しているのはどちらか、で認識が逆になる
同じ面談について、話す割合を上司と部下の両方に聞いた結果が食い違っている。
| 回答者 |
部下の話す割合が高い |
上司の話す割合が高い |
| 上司(n=1,500) |
42.5% |
36.2% |
| 部下(n=1,500) |
31.4% |
36.6% |
上司は部下のほうが話していると見て、部下は上司のほうが話していると答える。どちらの立場でも相手のほうが話していたと受け取る人が多い形になっていて、面談の時間が実際にどう割れていたかを示す記録は、上司の回答にも部下の回答にも残っていない。残りは同程度という回答で、上に出した2つを100から引くと上司側で21.3%、部下側で32.0%。
見え方がここまでずれる。何を話すかを考える前に、どちらが話していたかを面談のあとで書き留めておくと、この食い違いは自分の面談についても確かめられる。
困りごとは、順位が入れ替わる
| 順位 |
部下(n=1,500) |
上司(n=1,500) |
| 1位 |
面談の効果が感じられない 29.7% |
面談について学ぶ仕組みがない 35.4% |
| 2位 |
面談について学ぶ仕組みがない 28.3% |
私が多忙で、面談のスケジュール設定が難しい 35.3% |
| 3位 |
上司が多忙で、面談のスケジュール設定が難しい 26.3% |
面談の効果が感じられない 27.6% |
| 4位 |
面談前に何を準備すればよいかわからない 24.2% |
面談しなければならない部下が多すぎる 26.3% |
| 5位 |
上司からの助言を、どう行動に移せばよいかわからない 20.8% |
部下への以前の助言が部下の行動に反映されていない 25.7% |
複数回答で、それぞれ上位5位までが公表されている。順位だけが入れ替わる。
部下の4位と5位は、準備と、助言を受けたあとの行動に関する項目。上司の5位は、助言が部下の行動に反映されていないという項目。同じ場面を、渡す側と受ける側から別の言葉で挙げている格好。
改善点では、上位3つが一致する
1on1を良くするために必要だと思うことを聞くと、上司と部下の上位3項目が完全に同じだった。
| 順位 |
項目 |
部下 |
上司 |
| 1位 |
「人材育成」を重視する組織風土をつくる |
55.3% |
68.0% |
| 2位 |
上司の主な役割として「部下の育成」を位置づける |
49.5% |
61.4% |
| 3位 |
上司のコーチングスキルをあげる研修 |
47.1% |
60.9% |
割合の水準は上司のほうが高い。組織の側の条件を挙げた人は上司で68.0%、部下で55.3%。面談の技術を上げる研修より前に、人材育成を重視する組織風土をつくることと、上司の役割として部下の育成を位置づけることの2項目が、行う側と受ける側の両方で1位と2位に並んだ。
この1,500人が誰なのか
調査対象は、直近半年間で部下の成長支援を目的とした面談を行った20〜59歳の正社員3,000名(上司1,500名、部下1,500名)。調査期間は2024年6月11日から13日、インターネット調査。
外れている範囲がある。従業員50名未満の企業、第一次産業、公務は最初から対象外。部下として答えたのは一般社員・従業員と係長相当の人で、上司は課長相当以上。年代の構成も偏りがあり、部下1,500人のうち20代は92人、50代は563人。20代の実態をこの数字で代表させると外す。
効果を人事担当者に聞いた別の調査の数字は1on1の効果、人事調査の1位は60.1%にある。1on1という面談の定義そのものは1on1とは何を指すのかに書いた。
平均と比べたあとに残るもの
月0.8回、満足52.7%、対面84.3%。自分の1on1をこの3つと比べると位置は分かるが、自分にとって足りているかは分からない。相談の量をどれだけ必要とするかは人によって違うし、平均の側に寄せる理由もない。
workprevu の診断では、いまの職場の面談の頻度や相談のしやすさを設問で記録して、自分が必要とする条件との距離を見る。平均との距離ではなく、そちらを見るための道具。