企業規模10〜99人の会社で働く一般労働者の残業は、2025年6月に月9時間だった。1,000人以上の企業は13時間。厚生労働省が令和7年賃金構造基本統計調査で集計した、企業全体の常用労働者数で切った3つの階級のうち、いちばん小さい階級の値である。ただし、この調査に「中小企業」という区分は無い。
中小企業の残業時間は月9時間
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「中小企業」に近い階級は10〜99人
中小企業基本法の中小企業は、業種ごとに資本金の額と従業員の数で決められていて、製造業なら資本金3億円以下または従業員300人以下、小売業なら5,000万円以下または50人以下という線が引かれている。この調査が切っているのは、そこではない。企業全体の常用労働者数を1,000人以上・100〜999人・10〜99人の3つに分けたうえで、階級ごとに労働時間を集計している。
だから「中小企業の残業時間」を引くときは、3つのうちどれを指すのかを先に決めることになる。従業員300人の製造業は中小企業基本法では中小企業にあたるが、この表では真ん中の100〜999人に入り、11時間の側で数えられている。10人未満の事業所は、集計の外。
9時間の裏側に、所定内166時間がある
| 企業規模 | 所定内実労働時間 | 超過実労働時間 | 合計 | 労働者数 |
|---|---|---|---|---|
| 1,000人以上 | 157時間 | 13時間 | 170時間 | 999万人 |
| 100〜999人 | 162時間 | 11時間 | 173時間 | 1,052万人 |
| 10〜99人 | 166時間 | 9時間 | 175時間 | 842万人 |
| 企業規模計(10人以上) | 162時間 | 11時間 | 173時間 | 2,892万人 |
残業の欄を縦に見ると、規模が小さいほど短い。9時間と13時間で、差は4時間。ところが所定内労働時間のほうは逆を向いていて、10〜99人の166時間が3つの階級でいちばん長く、足した合計は175時間になって、1,000人以上の170時間を5時間上回る。
10〜99人の職場は、残業が短いぶんだけ所定内が長い。9時間という値を、時間の総量が少ないことの証拠として読むと、この5時間ぶんが落ちる。
年齢階級で切ると、幅は7〜10時間
| 年齢階級 | 10〜99人 | 1,000人以上 |
|---|---|---|
| 20〜24歳 | 8時間 | 13時間 |
| 25〜29歳 | 10時間 | 17時間 |
| 30〜34歳 | 9時間 | 17時間 |
| 35〜39歳 | 10時間 | 16時間 |
| 40〜44歳 | 9時間 | 14時間 |
| 45〜49歳 | 9時間 | 12時間 |
| 50〜54歳 | 9時間 | 11時間 |
| 55〜59歳 | 8時間 | 10時間 |
| 60〜64歳 | 7時間 | 9時間 |
10〜99人では、どの年齢階級も7時間から10時間の幅に収まっている。1,000人以上は9時間から17時間まで散らばり、山は25〜34歳。規模の差がいちばん開くのも30〜34歳で、10〜99人の9時間に対して1,000人以上は17時間、その差は8時間になる。
月45時間まで、残りは36時間ぶん
労働基準法36条の上限規制で、時間外労働は原則として月45時間・年360時間までと決まっている。中小企業に適用されたのは2020年4月から。大企業より1年遅れた。
10〜99人の9時間は、45時間の5分の1にあたる。ただし9時間は階級の平均であって、この階級の誰が45時間に近いところで働いているのかは表から出てこないし、平均が9時間の集団のなかに月40時間の人と0時間の人が同時にいる状態は、数字の上で矛盾しない。
この9時間で言えないこと
集計されたのは2025年6月分の1か月だけである。決算期や繁忙期が別の月にある職場では、6月の記録が年間の代表値にならない。
超過実労働時間数は、所定の労働時間を超えて働いた時間として事業所が記録した数値で、記録に乗らなかった時間は、持ち帰りの作業でも始業前の準備でも、この集計には現れない。
対象は一般労働者、つまり短時間労働者を除いた人たちである。パートやアルバイトとして働く人の時間は、この9時間に入っていない。
調査対象は79,321事業所、有効回答は59,836事業所で回答率は75.4%。このうち10人以上の常用労働者を雇う民営事業所52,242件を集計した数値で、時間の欄は整数で公表されるため、9時間と書かれた値は8.5時間から9.5時間の幅を持つ。
9時間と、自分の先月
給与明細の時間外の欄を見れば、自分の先月の残業が何時間だったかは分かる。9時間より長ければ、10〜99人の階級の平均より長い。それだけの意味しかない値でもある。
残業の時間数のほかに、手元で数えられるものが3つある。残業を頼まれたのが何日前だったか。断れた回数。定時に帰った日に何か言われた回数。
どれも統計には出てこない。何が労働時間に入るのかの線引きは実労働時間とは何を数えた時間かのほうに書いた。記録が4週ぶん貯まると、平均との差ではなく自分の職場の形が見えてくる。





