時短勤務とは、原則6時間への短縮

時短勤務は、育児・介護休業法が事業主に義務づけている所定労働時間の短縮措置を指す。1日の所定労働時間を原則6時間にする制度で、対象は3歳に満たない子を養育する労働者。働く時間が短くなった分の賃金は、無給とする事業所が79.4%を占める。厚生労働省の令和5年度雇用均等基本調査では、この制度の規定がある事業所は61.0%だった。

定義は「1日の所定労働時間を原則6時間」

法律の根拠は育児・介護休業法第23条第1項。3歳に満たない子を養育する労働者が希望したときに利用できる短時間勤務制度を、事業主は講じなければならない。その中身について、育児・介護休業法施行規則第74条第1項が「1日の所定労働時間を原則として6時間とする措置を含むもの」と定めている。

この「原則6時間」には幅がある。厚生労働省の『育児・介護休業法のあらまし』は、通常の所定労働時間が7時間45分の事業所で短縮後を5時間45分とする場合などを勘案して、1日5時間45分から6時間までを許容する趣旨だと説明している。6時間を含む措置であることが条件で、そのうえで5時間や7時間の措置、週休3日とする措置を加えることは望ましいものとされる。

もうひとつ。「措置を講じている」とは、短時間勤務制度が就業規則等に規定されて制度化された状態を指す。運用で行われているだけでは足りない。

対象になる人、外れる人

対象は、次のすべてに当てはまる労働者。

  • 1日の所定労働時間が6時間を超えている
  • 日々雇用される者でないこと
  • その期間に育児休業(産後パパ育休を含む)をしていない
  • 労使協定による適用除外に当たらない人

労使協定で除外できるのは3種類に限られている。その事業主に継続して雇用された期間が1年に満たない人、1週間の所定労働日数が2日以下の人、業務の性質または業務の実施体制に照らして短時間勤務制度を講ずることが困難と認められる業務に従事する人。3つ目については、客観的にみて困難と認められない業務を対象外にすることはできないと、あらましが注意している。

雇用形態による線引きはない。1日の所定労働時間が6時間を超えていれば、契約社員でもパートタイムでも対象になる。変形労働時間制が適用されている人の「6時間以下」は、すべての労働日の所定労働時間が6時間であることをいい、期間を平均した1日あたりの時間で判断しない。

いつまで使えるかは、3歳で切れ目がある

法が義務づけているのは、子が3歳に達するまで。そこから先は、別の仕組みに変わる。

令和7(2025)年10月1日から、3歳から小学校就学前までの子を養育する労働者に対して、事業主は次の5つから2つ以上を選んで講じることになった。始業時刻等の変更、テレワーク等(月10日以上)、保育施設の設置運営等、養育両立支援休暇の付与(年10日以上)、短時間勤務制度。労働者は、事業主が選んだ措置の中から1つを選んで利用できる。

つまり3歳を過ぎてから時短勤務を続けられるかは、会社が選んだ2つ以上の中に短時間勤務制度が入っているかで決まる。入っていなければ、始業時刻の変更やテレワークが選択肢になる。会社が何を選んだかは、過半数組合等からの意見聴取を経て決まっている。

制度がある事業所の最長利用可能期間を見ると、「3歳未満」が48.8%、「小学校就学の始期に達するまで」が14.1%(令和5年度雇用均等基本調査、制度ありと答えた事業所について)。法の下限で止めている事業所が半分近い。

介護のほうは期間の数え方が違う。要介護状態にある対象家族1人につき、利用開始の日から3年以上の間で2回以上利用できる措置を、事業主が講じる義務がある(第23条第3項)。

給与は、短縮した分だけ下がる

短縮した時間分の賃金の扱いは、事業所によって分かれる。令和5年度雇用均等基本調査では、無給が79.4%、一部有給が11.4%、有給が9.1%だった。8割の事業所で、働かなかった2時間分は支払われない。

2025年4月1日に、雇用保険から出る育児時短就業給付金が創設された。2歳未満の子を養育するために所定労働時間を短縮して就業し、賃金が下がるなどの要件を満たすと、各月に支払われた賃金の10%が支給される。支払われた賃金が開始時の賃金月額の90%を超えて同額までの範囲にあるときは、開始時の水準を超えないよう支給率が調整される。

賞与や退職金の算定に短縮期間がどう反映されるかは、各社の規定で決まる。短時間勤務を申し出たこと自体を理由にした不利益な取扱いは、法で禁じられている。

測り方は、制度の有無だけではない

公表されている測り方は、厚生労働省の雇用均等基本調査が使っている3つ。制度の規定があるか、最長でいつまで使えるか、短縮分の賃金をどう扱うか。令和5年度の数値では、育児のための所定労働時間の短縮措置等の導入状況(複数回答)は「短時間勤務制度」61.0%で、前年度の71.6%から10.6ポイント下がっている。「所定外労働の制限」が55.4%、「始業・終業時刻の繰上げ・繰下げ」が36.8%。

自分の職場を測るなら、就業規則の同じ3点を読む。短縮後の所定労働時間が何時間か。最長でいつまでか。短縮分の賃金が無給か一部有給か。加えて、申出の期限がどう書かれているか。法律は申出の期限を一律に定めていないので、ここは会社の規定を見るしかない。

似た制度との境目

フレックスタイム制は、総労働時間を変えずに始業と終業の時刻を動かす制度で、労働時間そのものは短くならない。時短勤務は所定労働時間を減らす。制度がある企業の割合はフレックスタイム制の導入率は8.3%に書いた。

所定外労働の制限は、残業を免除する措置で、こちらも所定労働時間は変わらない。3歳未満の子を養育する労働者が請求できる。短時間勤務制度と所定外労働の制限は別の制度で、両方を使うこともできる。

6時間が合うかどうかは人による

法が原則としている6時間は、下限でも目標でもない。保育園の送りと迎えで前後1時間ずつを使う人には6時間が合い、迎えだけを担当する人には7時間と中抜けのほうが合うこともある。あらましが、6時間の措置に加えて5時間や7時間の措置、曜日を固定して短縮する措置を設けることを望ましいとしているのは、そのためだ。

決まった正解の時間数は無い。自分の1日のどこに時間が要るかで、合う形が変わる。

自分の職場で数えられること

就業規則を読む前に、記録しておくと比べやすくなる数字が3つある。1日のうち、業務以外に動かせない時間が何時間あるか。その時間が入る時刻帯。1週間のうち、その制約が出る曜日の数。

この3つが分かると、6時間に減らすのか、始業を1時間遅らせるのか、週のうち2日だけ短くするのかの判断が変わる。4週ぶん貯まると、制度の名前ではなく自分の時間の形として並べられる。

出典

  1. 育児・介護休業法のあらまし(令和7年4月1日、10月1日施行対応)/厚生労働省/第23条第1項・施行規則第74条第1項の解釈
  2. 令和5年度雇用均等基本調査 事業所調査結果概要/厚生労働省/育児のための所定労働時間の短縮措置等の導入状況・短縮時間分賃金の取扱い
  3. 育児休業等給付・育児時短就業給付の概要と実務対応(2025年9月17日)/厚生労働省 働き方・休み方改善ポータル/育児時短就業給付金の支給額
  4. 令和7年4月1日から創設される育児休業等給付について/厚生労働省 沖縄労働局/育児時短就業給付金の対象