エンジニアの残業時間、平均は8〜20時間

技術者と名の付く職種の残業は、月8時間から20時間まで開いていた。令和7年賃金構造基本統計調査の職種小分類で「技術者」に分類される12職種を、超過実労働時間数の長い順に並べた結果で、2025年6月の1か月ぶん、企業規模10人以上の一般労働者の値。最も長い輸送用機器技術者が20時間、最も短い測量技術者が8時間だった。

「エンジニアの平均残業時間は何時間か」に1つの数字で答えると、この12時間ぶんの開きが消える。比べる相手が変わります。

残業の長い順に12職種を並べる

職種 超過実労働時間 所定内実労働時間 平均年齢 労働者数
輸送用機器技術者 20時間 160時間 41.4歳 193,700人
金属技術者 19時間 164時間 43.8歳 36,640人
建築技術者 17時間 166時間 43.4歳 373,320人
電気・電子・電気通信技術者 16時間 159時間 42.1歳 334,680人
機械技術者 16時間 162時間 42.3歳 395,820人
化学技術者 13時間 158時間 41.5歳 71,110人
土木技術者 12時間 162時間 46.0歳 308,050人
ソフトウェア作成者 12時間 159時間 37.1歳 817,860人
その他の情報処理・通信技術者 12時間 160時間 42.2歳 214,820人
システムコンサルタント・設計者 11時間 173時間 38.3歳 174,140人
他に分類されない技術者 11時間 159時間 43.9歳 145,290人
測量技術者 8時間 163時間 46.1歳 30,250人

電気・電子・電気通信技術者は、通信ネットワーク技術者を除いた区分です。労働者数は調査で集計された人数で、その職種の全国の就業者数ではありません。

ものを設計して作る側の5職種(輸送用機器、金属、建築、電気・電子、機械)が上位に固まり、情報処理の3職種は11時間から12時間に収まりました。この並びは2025年6月という1か月の値なので、年間の繁閑はならされていません。

同じ調査の他の職種と比べると、位置が見える

同じ表には技術者以外の職種も載っています。企画事務員は11時間、庶務・人事事務員は9時間、研究者は8時間、看護師は6時間、管理的職業従事者は2時間。医師は19時間で、金属技術者とほぼ並びます。

輸送用機器技術者の20時間は、この表に並ぶ職種の中でも上のほう。ただし小分類に載っていない仕事も多く、同じ調査の中の相対的な位置が分かるだけで、日本のすべての職業を通した順位が出るわけではありません。

開いているのは残業より所定内労働時間のほう

12職種の超過実労働時間は8時間から20時間で、差は12時間。所定内実労働時間のほうは、化学技術者の158時間からシステムコンサルタント・設計者の173時間まで、15時間の差がありました。残業の差より広い。

所定内実労働時間は、就業規則で決めた勤務時間のうち実際に働いた分です。ここが15時間違うということは、残業ゼロで働いても月の拘束時間が15時間違うということ。残業の長短だけを見ると、この差が視界から外れます。

所定内と超過を足すと、順番が入れ替わります。システムコンサルタント・設計者は173時間に11時間を足して184時間で、12職種の中でいちばん長い。輸送用機器技術者は160時間に20時間を足して180時間、建築技術者は166時間に17時間を足して183時間。残業が最も短い測量技術者は163時間に8時間を足して171時間で、ソフトウェア作成者の159時間+12時間=171時間と同じでした。

月45時間の上限は、この平均からは確かめられない

労働基準法36条にもとづく協定で定められる時間外労働の限度は、原則として1か月45時間、1年360時間です。表の数字はどれもその半分以下ですが、45時間を超えた人がいなかったことは意味しません。平均が20時間の集団に、月60時間の人と月0時間の人が同時にいる状態は、数字の上で矛盾しないからです。

分布は公表されていません。自分が平均より長いか短いかは分かる。職種の中で上から何番目かは出てきません。

統計の「技術者」と、名乗りの「エンジニア」はずれる

この12職種は、調査票に記入された仕事の中身で分類されたものです。社内で「インフラエンジニア」「QAエンジニア」と呼ばれている人が、統計では「その他の情報処理・通信技術者」か「他に分類されない技術者」に入っている、ということが起きます。

逆もあります。肩書きにエンジニアが付いていなくても、生産技術や設備保全の仕事は機械技術者に分類されることがある。どの行を見るかは、名刺の肩書きを置いて、先月いちばん時間を使った業務の中身から決めてください。

情報処理の3職種については、企業規模別の内訳まで含めてSEの残業時間を扱った記事にまとめてあります。産業としての情報通信業の値はITの残業時間の記事のほうです。

この数字が答えないこと

調査は事業所が記録している労働時間を集めたものなので、記録されていない労働時間はそもそも母数に入っておらず、持ち帰りの作業や、申告しないまま処理した時間外の分は、どの職種の行を見ても反映されていません。集計の外。

裁量労働制やみなし労働時間制が適用されている人の時間は、制度上のみなし時間で計上される場合があります。システムコンサルタント・設計者の所定内173時間が他より長いのも、そうした制度の適用状況が反映されている可能性がありますが、この表からは確かめられません(推定)。

残業が長い理由も、この調査は聞いていません。人手の不足なのか、受注の波なのか、見積もりの精度なのかは、別の調査の領分です。

20時間と、自分の先月

給与明細の時間外労働の欄を開いて、表の自分の職種の行と並べてみてください。差が5時間以内なら、その職種の真ん中あたり。10時間以上離れているなら、職種そのものの性質よりも、いまの職場に固有の条件——受注の入り方、人の配置、締切の置き方——が効いている可能性が高くなります。

見るのは残業の数字だけではありません。所定内実労働時間、休日の取りやすさ、繁忙期の集中の仕方。4か月ぶん記録すると、平均1つでは見えない自分の分散が出てきます。

出典

  1. 令和7年賃金構造基本統計調査(職種)第1表 職種(小分類)、性別きまって支給する現金給与額等/厚生労働省/2025年6月分・一般労働者・企業規模10人以上
  2. 令和7年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種(統計表の一覧)/厚生労働省・政府統計の総合窓口
  3. 令和7年賃金構造基本統計調査 結果の概況(調査の概要)/厚生労働省