システムの設計にあたる人の超過実労働時間数は、月11時間だった。令和7年賃金構造基本統計調査で「システムコンサルタント・設計者」として集計された一般労働者174,140人の値で、2025年6月の1か月ぶん。同じ調査で「ソフトウェア作成者」は12時間、「その他の情報処理・通信技術者」も12時間となっている。
SEの残業時間、平均は月11時間
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情報処理の3職種は、11時間から12時間に並ぶ
| 職種 | 所定内実労働時間 | 超過実労働時間 | 平均年齢 | 労働者数 |
|---|---|---|---|---|
| システムコンサルタント・設計者 | 173時間 | 11時間 | 38.3歳 | 174,140人 |
| ソフトウェア作成者 | 159時間 | 12時間 | 37.1歳 | 817,860人 |
| その他の情報処理・通信技術者 | 160時間 | 12時間 | 42.2歳 | 214,820人 |
| 電気・電子・電気通信技術者 | 159時間 | 16時間 | 42.1歳 | 334,680人 |
| 機械技術者 | 162時間 | 16時間 | 42.3歳 | 395,820人 |
| 建築技術者 | 166時間 | 17時間 | 43.4歳 | 373,320人 |
| 土木技術者 | 162時間 | 12時間 | 46.0歳 | 308,050人 |
同じ表に並ぶ技術者のなかで見ると、情報処理の3職種は下のほうにいる。建築技術者の17時間、機械技術者と電気・電子・電気通信技術者の16時間に対して、11時間から12時間。差は5時間前後。
いちばん人数が多いのはソフトウェア作成者で、817,860人。システムコンサルタント・設計者の174,140人の4.7倍。どちらを「SE」と呼ぶかは職場によって違うから、肩書きで行を選ぶより、自分の月のうち要件定義や設計に使っている時間と実装に使っている時間のどちらが長いかで、見る行を決めたほうが値の意味が合う。
企業規模で、向きが逆になる
| 企業規模 | システムコンサルタント・設計者 | ソフトウェア作成者 |
|---|---|---|
| 1,000人以上 | 12時間 | 16時間 |
| 100〜999人 | 9時間 | 12時間 |
| 10〜99人 | 11時間 | 6時間 |
ソフトウェア作成者は、規模が大きいほど超過実労働時間数が長い。1,000人以上の16時間に対して、10〜99人は6時間。10時間の開きがある。
システムコンサルタント・設計者のほうは、そうならない。100〜999人の9時間がいちばん短く、1,000人以上の12時間と10〜99人の11時間がその上に来る。真ん中がへこむ形。
「規模が大きいほど残業が長い」とも「小さいほど長い」とも、この表からは言えない。言えるのは、同じ情報処理の仕事でも設計に寄った職種と実装に寄った職種とで規模との関係が逆を向いていて、規模だけを手がかりに自分の残業量を見積もることはできない、というところまで。
残業より、所定内労働時間のほうが開いている
超過の欄だけを追うと、大きいほうの差を見落とす。システムコンサルタント・設計者の所定内実労働時間は、10〜99人で180時間、100〜999人で162時間。18時間ちがう。
所定内と超過を足した実労働時間で並べ直すと、10〜99人が191時間、1,000人以上が187時間、100〜999人が171時間になる。残業の欄では11時間と9時間、わずか2時間しか違わなかった組み合わせが、実際に働いた時間の合計で比べると20時間の差として現れてくるわけで、これは所定労働時間そのものの設定が職場ごとに違うから起きる。残業だけでは測れない。
ソフトウェア作成者も同じ計算をすると、1,000人以上が170時間、100〜999人が176時間、10〜99人が168時間。残業の欄で16時間と6時間だった差は、合計では2時間に縮む。残業が短い職場が、働いている時間の合計まで短いとは限らない。
検索して出てくる数字が、そろわない理由
この職種の残業時間として、14時間、16時間、21時間といった値が並ぶ。どれかが間違っているという話ではない。数えている人の範囲と、数えた期間が、調査ごとに違っている。
賃金構造基本統計調査の超過実労働時間数は、事業所が報告した6月1か月ぶんの所定外の実労働時間である。対象は常用労働者10人以上の民営事業所などに雇われる一般労働者で、短時間労働者は別集計。自社の利用者に聞いたアンケートや、業界団体の調査とは、母集団も期間も違う。
産業の側から見た値はITの残業時間、平均は15.8時間にまとめた。あちらは毎月勤労統計調査の年平均で、勤め先が情報通信業かどうかで数える。職種で数えるこの表とは、切り口がそもそも別。
この数字が答えないこと
6月の1か月ぶんである。年度末やリリース前に残業が寄る職場では、6月の値は年間の平均より低く出る。逆に6月が繁忙期なら高く出る。1年をならした値ではない。
平均であって、分布ではない。11時間という値の内側に、月60時間の人と月0時間の人が同時にいても矛盾しない。何割が月45時間を超えたかは、この表からは出てこない。
数えられているのは、事業所が報告した実労働時間。記録に乗らなかった時間はどの職種の平均にも入らない。裁量労働制やみなし労働時間制が適用されている人の時間をどう報告するかも、事業所の運用による。何が労働時間に数えられるかの線引きは実労働時間とは何を数えた時間かに整理してある。
職種は、名刺の肩書きではなく実際に従事している仕事の内容で分類される。同じ「SE」という呼び名でも、要件定義が中心ならシステムコンサルタント・設計者、実装が中心ならソフトウェア作成者に入る。自分がどちらに数えられているかは、自分では決められない。
11時間と、自分の先月
給与明細の時間外の欄を見る。そこに載っている時間数を11時間や12時間と並べる前に、所定労働時間が1日何時間の契約になっているかを就業規則で確かめておくと、比べる土台がそろう。所定が8時間の職場と7時間45分の職場では、同じ残業20時間でも月の実労働時間が5時間ちがう。
職種の平均が答えないことは3つある。残業が特定の週に寄っているかどうか。前日までに予定できた残業の割合。定時で終わった日の数。全体の水準との関係は残業時間の平均は月9.8時間に置いた。
11時間は、同じ職種の17万人をならした1つの値。自分の月がそこからどれだけ離れているかは、手元の記録が4週ぶん貯まったところで形になる。





