年次評価とは、1年で何を測るか

年次評価は、1年をひとつの区切りとして、その期間に発揮された能力や挙げた業績を測る評価のこと。四半期評価なら3か月、半期評価なら6か月が区切りになる。区切りの長さが変われば、その期間で測れるものも変わるので、年次と四半期は回数が違うだけの制度ではない。

評価期間という言葉が指すのは、評価の対象になる期間だけ。結果を給与や賞与に反映する時期、上司と話す面談の頻度は、それぞれ別に決まっている。3つを1つとして読むと、自分の会社の仕組みが分からなくなる。

評価の対象になる期間と、処遇に反映する時期は別

人事評価そのものの定義は、国家公務員法第18条の2第1項に置かれている。「任用、給与、分限その他の人事管理の基礎とするために、職員がその職務を遂行するに当たり発揮した能力及び挙げた業績を把握した上で行われる勤務成績の評価」。能力と業績の両方を把握する行為を指していて、期間の長さはこの定義に含まれない。

期間は別に決められる。そして、期間の決め方には理由が書かれている場合がある。

能力は1年、業績は半年で測る例

国家公務員の人事評価は、能力評価と業績評価の2つでできている。評価期間はそれぞれ違う。

評価 評価期間 回数
能力評価 10月1日〜翌年9月30日 年1回
業績評価 10月1日〜翌年3月31日、4月1日〜9月30日 年2回

内閣人事局と人事院の人事評価マニュアルは、業績評価を半年にした理由を2つ挙げている。目標の達成度を評価するので「1年先では不確定要素も大きく、半年程度の評価期間が適当であること」。もうひとつが「その結果を半年ごとの勤勉手当へ活用することも念頭に置いて半年としたもの」という説明。

処遇に反映する周期が、評価期間の長さを決める側に回っている。賞与が半年ごとに出る会社で評価期間も半年になっているなら、順序としては同じ形。

短い区切りと長い区切りで、測れるものが違う

同じマニュアルは、2つの評価の違いをこう書き分けている。能力評価は「評価期間を通じて当該職位に求められる職務行動がとれていたか」を見て、その結果の推移を中期的に見ることで能力の伸び方を評価するもの。業績評価は「評価期間ごとに変動し得る業務の実施結果」を達成度から評価するもの。

区切り 測りやすいもの 測りにくいもの
1か月〜四半期 目標の達成度、行動の量 能力の伸び、期をまたぐ仕事
半期 達成度と、賞与への反映 数年かかる仕事の成果
年次 職務行動が安定してとられているか 直近3か月の変化

四半期ごとに評価される職場で成長が見えないと感じるとき、達成度は3か月ごとに記録されていても、能力の伸び方を推移として見る区切りのほうは用意されていない、という説明が成り立つ。年1回だけの職場では、期の途中で軌道を変える機会が評価の外に置かれる。その穴を埋めるために面談を別に置く会社もあり、そこで使われる形のひとつが1on1とは何を指すのかで書いた面談。

会社ごとに期間が違う理由

事業の周期が違う。売上が年単位で動く仕事と月単位で動く仕事では、目標として置ける単位そのものが変わるので、同じ「四半期評価」という名前でも、中で測っているものは業種によってかなり違う。

賞与の回数も効く。処遇に反映する時期が先に決まっていれば、評価期間はそれに合わせやすい。

仮説として、同じ会社の中で等級によって期間が違う場合、上の等級ほど長い区切りになりやすい。役割が長い時間軸で測られるため。ここは公開資料で確かめていないので、推定として書いておく。

自分の職場の区切りを記録する

workprevu の診断では、「結果が見えるまで」という変数で、成果が測られる期間を記録する。第2章、いまの職場について答える節の設問はこれ。

成果は、どのくらいの期間で測られますか

  • 月
  • 四半期
  • 半期
  • 年以上

評価シートに書いてある期間と、実際に上司が見ている期間はずれる。制度としては年次の評価でも、毎月の数字を持ち出して話が進み、月末ごとに達成度を詰められているなら、働いている側の体感としての区切りは月のほうになる。答えるのは体感のほう。

長いほうが合う人、短いほうが合う人

区切りの長さに、誰にとっても同じ最適点はない。3か月ごとに結果が返ってくると走りやすい人もいれば、1年かけて積むほうが力を出せる人もいる。

分かれ目は2つ。自分の仕事の結果が出るまでにかかる時間と、自分が手応えを必要とする間隔。この2つがずれている職場だと、評価の期間そのものが負担になる。四半期評価が合わないのは、評価が厳しいからではなく、区切りが自分の仕事の長さと合っていないから、という場合がある。

診断では、いまの職場の区切りと、自分が力を出せる区切りの両方を記録して、その距離を見る。評価の期間は、入社してから変えにくい条件のひとつ。先に測っておくと、異動や転職の判断のときに材料になる。

出典

  1. 人事評価と評価結果の活用(人事評価の定義・国家公務員法第18条の2第1項)/人事院
  2. 人事評価マニュアル(令和元年9月、内閣人事局・人事院)p.12〜p.13 能力評価・業績評価の評価期間と理由、政令第5条
  3. 人事評価(制度の概要)/内閣人事局