フィードバックの頻度とは、自分の仕事の出来についての情報が、どれくらいの間隔で返ってくるかのことです。週に何回か、月に1回か、年に1回の評価面談だけか。数えられるのは、この間隔。
もとになった概念のほうは、間隔ではなく「どの程度あるか」を測る形で定義されています。ハックマンとオルダムが職務特性モデルで置いた5つの中核的職務特性のうちの1つ、Feedback がそれにあたります。
公開 約 5 分

フィードバックの頻度とは、自分の仕事の出来についての情報が、どれくらいの間隔で返ってくるかのことです。週に何回か、月に1回か、年に1回の評価面談だけか。数えられるのは、この間隔。
もとになった概念のほうは、間隔ではなく「どの程度あるか」を測る形で定義されています。ハックマンとオルダムが職務特性モデルで置いた5つの中核的職務特性のうちの1つ、Feedback がそれにあたります。
原典の定義はこうです。「職務が求める仕事の活動を遂行することによって、その人が自分の遂行の有効性についての直接ではっきりした情報を得る程度」(Hackman & Oldham, 1974)。
3つの条件が畳み込まれています。情報が直接届くこと、はっきりしていること、そして自分の遂行の有効性についてであること。 誰かの要約を何段か経由してから届くもの、何がどう効いたのかを特定できないまま印象だけで終わるもの、仕事の結果から離れて人柄への言及にすり替わっているものは、どれもこの定義から外れます。
フィードフォワードとの線引きも、この定義で付きます。すでに起きたことの結果についての情報がフィードバックで、これからどうするかの提案はその外側。
原典は、フィードバックを出どころで分けています。
1つは、仕事そのものから返ってくるもの。作ったものが動く、数字が出る、顧客の反応が直接見える。誰かが伝えてくれなくても、仕事をした結果として情報が届く形です。
もう1つが、人から返ってくるもの。上司や同僚から自分の遂行についてのはっきりした情報を受け取る程度を指し、原典では Feedback from Agents と呼ばれます。こちらは中核的職務特性の5つには入っていません。人が何を言うかは職務そのものの性質とは別だという整理で、仕事そのものからのフィードバックを補う情報として、5つの外側に別枠で置かれ、同じ調査票の中で測られています。
自分の職場で反応が少ないと感じているとき、2つのうちどちらが欠けているのかを先に分けると、次に動かす先が変わります。数字が見えないのか、人が何も言わないのか。
職務診断調査(Job Diagnostic Survey, JDS)は、フィードバックを3つの項目・7段階で測ります。聞いているのは量で、1週間あたり何回かは聞きません。
報告されている内的整合性の係数は、仕事そのものからのフィードバックが.71、人からのフィードバックが.73(Hackman & Oldham, 1974)。同じ調査のタスク重要性.66、自律性.66より高い値です。
もう1つ、原典が報告していることがあります。本人・上司・観察者の3者に同じ職務を評価してもらうと、全体としては中程度に一致するものの、人からのフィードバックのように2つのグループ間の相関がかなり低くなる次元もある、と。上司は伝えたつもりで、本人は受け取っていない。この食い違いが、尺度の上で数字として出ているわけです。
だから、量として聞くだけでは埋まらない部分が残ります。間隔を数えるのは、そこを別の物差しで押さえるためです。
環境の診断(第2章)の「いまの職場」では、人からの反応をこの設問で測っています。
自分の仕事の出来について、人からの反応(上司や同僚の言葉、顧客の声など)は、どのくらいの頻度で返ってきますか
- 週1回以上
- 月1回程度
- 四半期に1回
- 年1回以下
4つの選択肢は、そのまま間隔の物差しになっています。JDS が「どの程度あるか」を7段階で評価してもらうのに対して、こちらは先月を思い出して数えれば答えられる形。
いつ返すのが良いかを、職務特性モデルは規定していません。条件として置かれているのは、直接であること、はっきりしていること、自分の遂行の有効性についてであることの3つだけ。
間隔が空くほど何が起きるかについては、原典に記述がありません。推定として言えるのは、間隔が長いほど、返ってきた情報と自分のどの行動が結びついているのかを思い出しにくくなり、次に直す先を特定する手がかりが薄くなる、というところまでです。半年前の案件について指摘を受けても、当時どんな判断をしたのかを再現できる人は多くありません。
職場で反応が返ってくる場を制度として持っているかは、1on1実施率55.7%は誰の数字かに調査の数値をまとめてあります。面談の場があっても情報が返ってこないときは、フィードバックのもらい方を分解するのほうへ。
週1回以上の反応がある職場で力を出す人がいます。同じ頻度を、作業を止められていると受け取る人もいます。
頻度の最適点は人によって違う変数です。年1回では材料が足りないと感じる人がいる一方で、月1回で十分という人もいる。どちらが正しいかを決める基準は、この概念の側には用意されていません。
だから診断では、この変数を高い低いで評価しません。測るのは、いまの職場で返ってくる間隔と、自分に合う間隔との距離です。
先月、自分の仕事の出来について人から言葉が返ってきた回数を数えてみてください。数えるのは、自分がやった仕事の結果に向けられた言葉だけ。世間話は外します。
4回以上あれば週1回以上、1回なら月1回程度。0回の月が3か月続いたら、年1回以下の側で働いていることになります。
1か月ぶんでは、その月がたまたま静かだっただけかもしれません。仕事の中身の側もあわせて見るなら、タスク完結性とは、始まりと終わりの有無が同じモデルの別の特性を扱っています。
いまの職場を記録する
記録する