フレックスタイム制がある企業の割合は、2015年の4.3%から2025年の8.3%へ上がった。11年で4.0ポイント。厚生労働省の就労条件総合調査が毎年1月1日現在で集計している数値で、対象は常用労働者30人以上の民営企業である。ただし年ごとに追うと、上がり続けた形にはなっていない。2022年の8.2%から2023年は6.8%へ下がり、そこから2年かけて8.3%に戻った。
フレックスタイム制の推移、11年で4.0ポイント
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11年分を並べると、4.3%から8.3%
各年の「フレックスタイム制がある企業」の割合。調査年の1月1日現在で、変形労働時間制の種類別(複数回答)の内訳として公表されている値である。
| 調査年 | フレックスタイム制がある企業の割合 |
|---|---|
| 2015年 | 4.3% |
| 2016年 | 4.6% |
| 2017年 | 5.4% |
| 2018年 | 5.6% |
| 2019年 | 5.0% |
| 2020年 | 6.1% |
| 2021年 | 6.5% |
| 2022年 | 8.2% |
| 2023年 | 6.8% |
| 2024年 | 7.2% |
| 2025年 | 8.3% |
11年で約2倍。もっとも、増えた幅は4.0ポイントしかない。制度がある企業は、2025年でも12社に1社ほど。
さらに前を見ると、2010年(平成22年調査)は5.9%だった。2015年の4.3%より高い。つまり2010年代の前半は、いまより高い水準から下がっていた時期を含む。
下がった年が2回ある
2019年は前年の5.6%から5.0%へ、2023年は前年の8.2%から6.8%へ下がった。後者は1.4ポイントの下落で、2021年から2022年にかけての上げ幅1.7ポイントとほぼ釣り合う大きさ。
この調査は標本調査で、2022年調査は6,387社に調査票を送って3,757社から回答を得ている(有効回答率58.8%)。年ごとに回答した企業の顔ぶれが入れ替わるため、1ポイント前後の上下を制度の増減としてそのまま読むことはできない。下落が実際に起きたのか、標本の入れ替わりが出たのかは、この表からは分けられない。ここは推定。
伸びているのは1か月単位のほう
同じ表には、変形労働時間制の他の種類も並んでいる。2015年と2025年を比べる。
| 種類 | 2015年 | 2025年 |
|---|---|---|
| 1年単位の変形労働時間制 | 30.6% | 30.3% |
| 1か月単位の変形労働時間制 | 20.3% | 26.4% |
| フレックスタイム制 | 4.3% | 8.3% |
1年単位は11年でほぼ動いていない。1か月単位は6.1ポイント増えていて、フレックスタイム制の4.0ポイントより大きい。割合でみればフレックスタイム制のほうが伸び率は高く、社数でみれば1か月単位のほうが増えている。どちらを「普及した」と呼ぶかで、話が変わる。
複数回答なので、1つの企業が1年単位とフレックスタイム制の両方を採用していれば、両方の列に数えられている。
2019年4月に、清算期間の上限が3か月になった
フレックスタイム制は、1日の始業と終業の時刻を働く人が決める制度で、清算期間と呼ばれる区切りのなかで総労働時間を満たす形をとる。働き方改革関連法により、その清算期間の上限が1か月から3か月に延びた。施行は2019年4月。
調査は各年1月1日現在なので、2019年調査は改正前の状態を、2020年調査が改正後最初の状態を写している。改正をまたいだ2019年の5.0%と2020年の6.1%の差は1.1ポイント。その後も8.3%までで、制度が使いやすくなった年に跳ねた形は出ていない。
遡れるのは平成20年まで
この系列をもっと前まで伸ばすことはできない。平成19年以前の調査は「本社の常用労働者が30人以上の民営企業」を対象にしていて、平成20年から「常用労働者30人以上の民営企業」へ範囲が広がった。概況にも、19年以前の結果と時系列で比較する場合の注が付いている。
数えている企業の集合が違うので、2007年以前の数値と並べると、制度の増減と対象の拡大が混ざる。
回答した企業も入れ替わっている
有効回答率は、2015年調査が70.3%(6,302社中4,432社)、2022年調査が58.8%、2025年調査が59.2%(6,448社中3,820社)。11年で11ポイント下がった。
答えなかった企業が、制度のある側に寄っているのか、ない側に寄っているのかは公表されていないため、回答率が10ポイント下がったあいだに、答える企業の性質そのものが動いていた場合は、系列の傾きが実際より急に見えることも、ゆるく見えることもありえる。幅があるという意味。
この推移で言えないこと
制度があるかどうかしか聞いていないので、使われているかは分からない。制度を就業規則に書いた企業と、全社員が実際に始業時刻を選んでいる企業と、一部の職種にだけ適用して残りは固定の時刻で働いている企業は、この表のうえでは同じ1社として8.3%の内側に入る。コアタイムの長さ、対象になる職種の範囲、申請の手順も、この数値には入っていない。
企業の数で数えた割合であることにも注意がいる。2025年の数値を労働者の数で数えると11.1%。企業の数と人の数の違いはフレックスタイム制の導入率は8.3%に、規模ごとの差はフレックスタイム制、企業規模別の差に書いた。
30人未満の企業は、そもそも調査の対象に入っていない。
11年の系列と、自分の職場
4.0ポイントという11年分の動きは、1年あたり0.4ポイント弱。この速さだと、制度のない職場にいる人が待つ時間は長い。
自分の職場で数えられるのは別のこと。始業時刻を自分で決められた日が、直近4週で何日あったか。遅れる連絡を何分前に入れる決まりか。中抜けが認められているか。制度の名前が付いていなくても、この3つは記録できる。
4週ぶん貯まると、制度の有無とは別の、実際の裁量の幅が見える。
出典
- 令和7(2025)年就労条件総合調査の概況/厚生労働省/2025年1月1日現在・6,448社中3,820社が回答(有効回答率59.2%)/第8表
- 令和6(2024)年就労条件総合調査の概況/厚生労働省/第8表
- 令和5(2023)年就労条件総合調査の概況/厚生労働省/第8表
- 令和4(2022)年就労条件総合調査の概況/厚生労働省/6,387社中3,757社が回答(有効回答率58.8%)/第8表
- 令和3(2021)年就労条件総合調査の概況/厚生労働省/第8表
- 令和2(2020)年就労条件総合調査の概況/厚生労働省/第8表
- 令和元(2019)年就労条件総合調査の概況/厚生労働省/第8表
- 平成30(2018)年就労条件総合調査の概況/厚生労働省/第8表
- 平成29(2017)年就労条件総合調査の概況/厚生労働省/第9表
- 平成28(2016)年就労条件総合調査の概況/厚生労働省/第7表
- 平成27(2015)年就労条件総合調査の概況/厚生労働省/6,302社中4,432社が回答(有効回答率70.3%)/第7表
- 平成22(2010)年就労条件総合調査の概況/厚生労働省/第6表・調査対象の変更に関する注記





