休職とは:欠勤・休業との違い

休職は、働けない事情が本人の側にあるとき、会社に籍を置いたまま働く義務を外してもらう扱いを指す。厚生労働省のモデル就業規則は、これを「業務外での疾病等主に労働者側の個人的事情により相当長期間にわたり就労を期待し得ない場合に、労働者としての身分を保有したまま一定期間就労義務を免除する特別な扱い」と説明している。労働基準法に休職の定義は無い。だから中身は会社ごとに違う。

籍は残り、労務の義務だけが外れる

休職で止まるのは、働く義務と、その対価としての賃金。雇用契約そのものは続くので、社員としての身分、健康保険と厚生年金の被保険者資格、就業規則の適用はそのまま残る。期間の区切りがあることも休職の特徴で、その区切りが来たときに何が起きるかは、後の節で触れる。

似た3語を並べると線引きが見える。欠勤は、労務の義務がある日に働かなかった状態を指し、1日単位で数える。休業は、産前産後休業や育児休業のように法律が労務の義務を外す場合と、会社の都合で働けない場合を指す。休職は、本人側の事情で長期に働けないときに、会社が規程にもとづいて義務を外す。3つのうち、法律に根拠を持たないのは休職だけ。

モデル就業規則の解説も「休職の定義、休職期間の制限、復職等については、労基法に定めはありません」と書いている。会社に休職制度を設ける義務は無い。

制度があるかどうかは会社で分かれる

労働政策研究・研修機構が2022年12月に実施した企業調査では、通常の年次有給休暇以外に、私傷病で連続1か月以上休める制度(慣行を含む)が「ある」と答えた企業は69.5%だった。2017年の同じ調査では65.6%。従業員10人以上の企業20,000社に郵送し、有効回答は4,721社(有効回答率23.6%)。労災による休業の制度は、この設問から除かれている。

裏返すと、30.5%の企業には制度が無い、または答えていない。正社員規模が大きくなるほど「ある」とする割合は高くなるので、同じ病気で同じ日数働けなくなったとしても、勤め先の規模によって、籍が残るか残らないかという入口の段階で扱いが分かれることになる。制度がある企業に対しては、非正社員にも適用があるかを別に尋ねていて、適用の範囲は会社ごとに分かれている。

つまり「休職できますか」という問いは、制度の有無から確かめることになる。

就業規則は2つの期間に分けて読む

同じ調査は、休職期間を2つに分けて企業に尋ねている。ひとつは雇用保障期間、つまり解雇や退職にならない期間。もうひとつは所得補償期間で、賃金や傷病手当金などが支給されている期間を指す。この2つは一致しない。賃金が止まったあとも籍が残る会社もある。

自分の勤め先を読むときも、同じ2軸が使える。モデル就業規則の第9条は、休職の条文例を次の形で示している。

業務外の傷病による欠勤が□か月を超え、なお療養を継続する必要があるため勤務できないとき □年以内

□は空欄で、何か月の欠勤で休職に入り、上限が何年かは各社が埋める。読む場所は4か所ある。

  • 休職に入る条件(欠勤が何か月続いたとき、診断書が要るか)
  • 休職期間の上限(勤続年数で段を分ける会社もある)
  • 期間中の賃金(条文例は「原則として賃金を支給しない(□か月までは□割を支給する)」)
  • 期間が満了したときの扱い

4つ目が、休職の定義に直結している。モデル就業規則の第9条第3項は、業務外の傷病で休職した労働者について、休職期間が満了してもなお傷病が治癒せず就業が困難な場合は、休職期間の満了をもって退職とする、という条文例を置いている。退職の条文にも同じ内容が並ぶ。休職は無期限の待機ではなく、終わりの日が決まっている扱い。

期間中に事由が消えれば、原則として元の職務に復帰する。元の職務が難しい場合に他の職務へ就かせることがある、という条文例も置かれている。

もう1か所、見落としやすい場所がある。モデル就業規則の退職金の条文例には、「第9条により休職する期間については、会社の都合による場合を除き、前項の勤続年数に算入しない」という項がある。休職中に止まるのは、その月の賃金だけとは限らない。

休職の事由は傷病に限らない

モデル就業規則の第9条第1項は2号構成になっている。1号が業務外の傷病、2号が「特別な事情があり休職させることが適当と認められるとき」で、解説は公職への就任や刑事事件で起訴された場合を例に挙げる。会社ごとの規程では、留学や組合専従、出向を事由に挙げるものもある。

業務上の傷病や通勤災害は、この枠の外にある。労災保険の休業(補償)等給付の対象で、休業4日目から給付基礎日額の60%が支給され、これに休業特別支給金の20%が加わる。業務上か業務外かで、使う制度が変わる。

メンタルヘルス不調による休職がどのくらい起きているかは、業種ごとに差が大きい。厚生労働省の労働安全衛生調査をもとに整理した業種別の休職の割合が、その幅を示している。

制度を読む前に、いまの働き方を記録する

休職の条文は、必要になってから読むことが多い。そのとき判断の材料になるのは、制度の文言よりも、自分の働き方がどこから崩れたかという記録のほうだ。

このサイトの診断は、職場の環境を12の軸に割って記録する。裁量、人と接する量、確認の頻度、学ぶことの量。どれも「休職するほどか」を判定するものではないし、制度の有無も測らない。測るのは距離だけ。自分に合う条件と、いまの職場の条件がどれだけ離れているかを記録しておけば、復職の話し合いでも異動の相談でも、いつ何がどう変わったかという事実から話を始められる。

出典

  1. モデル就業規則(令和7年12月版。第9条 休職、第53条 退職金の勤続年数、賃金の条文例と解説)/厚生労働省労働基準局監督課/2025年12月
  2. 治療と仕事の両立に関する実態調査(企業調査)/独立行政法人 労働政策研究・研修機構/2022年12月実施・従業員10人以上の企業20,000社に郵送し有効回答4,721社(有効回答率23.6%)/2024年3月公表
  3. 休業(補償)等給付の計算方法(給付基礎日額の60%と休業特別支給金20%)/厚生労働省