介護職の離職率12.4%、年齢で差

介護職の離職率は、令和7年度で12.4%。訪問介護員と介護職員を合わせた2職種の値で、介護労働安定センターが毎年行っている介護労働実態調査の結果である。前年度と同じ水準で、平成19年度の21.6%から20年近くかけて下がってきた並びの、いまのところ最も低いところで止まっている。年齢階層で割ると29歳以下が17.3%と離れていて、そこだけ職種全体の平均より5ポイント近く高い。

調査の概要と、離職率の計算式

介護労働実態調査は、事業所票と労働者票の2つからなる抽出調査だ。令和7年度の調査期間は10月1日から10月31日で、調査対象の基準日は令和7年10月1日。事業所票は18,000件を配布して実効配布16,854件、回収8,955件、回収率53.1%。

離職率の計算式は報告書に書かれている。

離職率 = 1年間の離職者数 ÷ 令和6年10月1日時点の在籍者数 × 100

分母が前年10月1日時点の在籍者数であるところが、他の調査と違う。厚生労働省の雇用動向調査は年初の常用労働者数を分母に取るので、同じ「離職率」という名前が付いていても、両者を並べて何ポイント差と読むのは、式が違うものを引き算することになる。報告書の脚注に、分母は前年の在籍者数を調査票の回答から逆算して求めたものだと書いてある。

回答した事業所の内訳も公表されている。法人格は民間企業が61.3%、社協以外の社会福祉法人が15.1%、医療法人が9.8%。主とする介護保険サービスは訪問介護19.7%、通所介護12.6%、地域密着型通所介護11.1%。事業所規模は10〜19人が33.1%で最も多く、20〜49人が27.3%、5〜9人が17.5%と続く。この3区分を足すと77.9%になり、いずれも従業員50人未満の事業所なので、ここで出てくる平均は、数百人規模の法人の数字よりも、十数人で回している事業所の数字に近いところへ寄っている。覚えておきたい偏り。

令和7年度の離職率と、20年の並び

区分 離職率 採用率
2職種計(訪問介護員・介護職員) 12.4% 14.6%
訪問介護員 11.6% 14.5%
介護職員 12.7% 14.7%

訪問介護員は5年ぶりに上がり、介護職員は3年続けて下がった。方向が逆になっている。

長期の並びはこうなる。平成17年度20.2%、平成19年度21.6%、平成21年度17.0%、平成27年度16.5%、令和元年度15.4%、令和3年度14.3%、令和5年度13.1%、令和6年度12.4%、令和7年度12.4%。ピークは平成19年度で、そこから16年かけて9ポイントほど下がった。

採用率のほうは14.6%で、前年度から0.3ポイントの上昇。報告書は、上昇幅が小幅で水準としては低いままだと書いている。辞める人が減った分と同じだけ入ってくる人がいるとは限らない。従業員が不足していると答えた事業所は65.8%にのぼり、前年度より0.6ポイント上がった。「大いに不足」と「不足」を合わせた、より強い不足感を持つ事業所は32.0%。約3割。

29歳以下だけ、17.3%

年齢階層別の離職率(2職種計、回答事業所6,788件)。

年齢階層 離職率
29歳以下 17.3%
30〜39歳 12.4%
40〜49歳 11.3%
50〜59歳 10.9%
60〜64歳 10.4%
65歳以上 9.8%

29歳以下と65歳以上で7.5ポイントの差。29歳以下は採用率も32.1%と高く、入ってくる人も出ていく人も多い階層になっている。30代から上は12.4%、11.3%、10.9%と1ポイントずつ緩やかに下がるだけ。ある年齢を境に辞めなくなるという形は、この表からは見えない。離れているのは20代だけ。

20代の数字が高いことを、本人の我慢の足りなさに結びつける説明はこの調査から出てこない。出ているのは、入職と離職がどちらも多いという事実だけ。

同じ調査の中で、職種をまたぐと7.8%から14.6%まで

調査は7職種それぞれの離職率を出している。

職種 離職率 採用率 回答事業所数
看護職員 14.6% 20.8% 4,672
介護職員 12.7% 14.7% 5,005
訪問介護員 11.6% 14.5% 2,745
介護支援専門員 9.5% 12.4% 3,764
PT・OT・ST等 9.0% 13.8% 2,189
サービス提供責任者 7.8% 8.0% 3,463
生活相談員 7.8% 8.8% 3,383

同じ事業所の中でも、職種によって倍近い開きがある。最も高いのは看護職員の14.6%で、最も低いのはサービス提供責任者と生活相談員の7.8%。看護職員は採用率も20.8%で7職種中いちばん高く、出入りの両方が多い職種として並んでいる一方、サービス提供責任者は採用率8.0%・離職率7.8%とどちらも低く、人がほとんど動いていない。介護の現場という一括りで平均を取ると、この幅が消える。

平均より、事業所ごとの分布

離職率を事業所ごとに並べた分布も出ている。2職種計で、離職率10%未満の事業所が54.3%。つまり半分以上の事業所は、全国平均の12.4%より低い。

離職率の階級 事業所の割合
10%未満 54.3%
10〜20%未満 21.7%
20〜30%未満 13.0%
30〜50%未満 6.7%
50%以上 4.2%

平均の12.4%は、この分布の真ん中ではない。離職率30%以上の事業所が合わせて10.9%あり、そこが平均を引き上げている。最後の行の内訳は、50%以上で在籍者数未満が3.5%、1年間の離職者数が前年の在籍者数を上回った事業所が0.7%。自分の職場の数字を出して全国平均の12.4%と比べるより、この表のどの行に入るかを見たほうが、いまいる場所が分かる。

労働者票のほうでは、いまの仕事の悩み・不安・不満を聞いている。上位は「人手が足りない」52.3%、「仕事内容のわりに賃金が低い」38.1%、「昇給がない、少ない」29.9%、「身体的負担が大きい」23.9%。これは辞めた人ではなく、働いている人の回答。

この数字が答えていないこと

4つある。

第一に、分母が事業所の在籍者数なので、辞めた人がどこへ行ったかは分からない。同じ市内の別の事業所へ移った人も、介護の仕事から離れた人も、同じ1人として数えられる。業界の外へ出た人の割合は、この調査からは出てこない。

第二に、回答した8,955事業所の構成が全国の事業所の構成と同じとは限らない。回収率は53.1%で、答えなかった事業所が半分近くある。人手が回っていない事業所が調査票に手をつけにくい可能性は残る(推定)。

第三に、他の調査との比較ができない。報告書は参考として雇用動向調査の値を併記していて、令和6年の産業計の離職率は14.2%、医療・福祉は13.8%。ただし算出方法が違うので、報告書自身が直接比較には留意が必要だと書いている。全産業の水準そのものは離職率の平均と業種別の離職率にまとめてある。

第四に、離職の理由は事業所票には載っていない。この12.4%の中に、定年、転居、家族の介護、転職がどの割合で混ざっているかは、ここでは分からない。

自分の職場の数字を出す

12.4%は、来年自分の職場で何人辞めるかを予想する数字ではない。使い道は、自分の事業所の値を同じ式で出して、分布のどの行に入るかを見ること。1年間の離職者数と、1年前の在籍者数が分かれば計算できる。

自分の職場で数える項目 式に入る場所
直近1年間に辞めた人数 分子
1年前の同じ日の在籍者数 分母

出た値が10%未満なら、回答事業所の54.3%と同じ側にいる。30%を超えていれば、全体の1割ほどの行。そこは平均を押し上げている側で、人手の回り方が全国の真ん中とはかなり違う職場だと言える。

そこまで出しても、自分が続けられるかどうかは別の話になる。人が辞める割合と、自分に合っているかは同じものを測っていない。この調査で悩みの上位に並んだのが人手と賃金だったとしても、自分が消耗している理由が同じところにあるとは限らず、夜勤の回数なのか、記録の様式が変わる頻度なのか、利用者と家族への説明に割く時間なのかは、自分の1週間を数えないと出てこない。

このサイトの診断は、職場の環境を12の軸に割って記録する。人と接する量、確認の頻度、手順の明確さ、結果が見えるまでの長さ。自分が集中できた場面の値といまの職場の値を並べると、どの軸がどれだけ離れているかが出てくる。全国の離職率より、こちらのほうが手元で動かせる。

出典

  1. 令和7年度「介護労働実態調査」結果の概要について(図表1-1-1 2職種計の採用率と離職率/図表1-1-3 長期的推移/図表1-1-4 採用率と離職率の分布/図表1-1-7 訪問介護員と介護職員の離職率/図表1-1-9 年齢階層別/図表1-1-10 5職種の採用率と離職率)/公益財団法人 介護労働安定センター/令和7年10月1日〜10月31日実施・事業所調査は実効配布16,854件に対し回収8,955件(回収率53.1%)/2026年公表