離職率が高いかどうかの線は、全国平均の13.7%に引くと読み違える。自分の業種と就業形態の行に引く。令和7年の雇用動向調査では、一般労働者でいちばん離職率が高いのは「宿泊業,飲食サービス業」の21.5%。ところがパートタイム労働者で先に来るのは「学術研究,専門・技術サービス業」の26.7%で、業種の並びが入れ替わる。
しかも率が高く出る理由には、辞めやすさと関係のない成分が混ざっている。定年、契約期間の満了、パート比率。そこを引いてからでないと、数字は自分の職場の話にならない。
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離職率が高いかどうかの線は、全国平均の13.7%に引くと読み違える。自分の業種と就業形態の行に引く。令和7年の雇用動向調査では、一般労働者でいちばん離職率が高いのは「宿泊業,飲食サービス業」の21.5%。ところがパートタイム労働者で先に来るのは「学術研究,専門・技術サービス業」の26.7%で、業種の並びが入れ替わる。
しかも率が高く出る理由には、辞めやすさと関係のない成分が混ざっている。定年、契約期間の満了、パート比率。そこを引いてからでないと、数字は自分の職場の話にならない。
令和7(2025)年の離職率は全体で13.7%だった。就業形態で割ると、一般労働者が11.4%、パートタイム労働者が19.9%。8.5ポイントの差がある。この調査は、常用労働者5人以上の事業所を母集団として都道府県・産業・事業所規模で層化し、無作為に抽出した約15,000事業所から集計した標本調査なので、産業の中の個々の職場がどこに散らばっているかは表に出てこない。
産業別に見ると、一般労働者の離職率は「宿泊業,飲食サービス業」21.5%、「サービス業(他に分類されないもの)」20.3%の順に高い。パートタイム労働者では「学術研究,専門・技術サービス業」26.7%、「教育,学習支援業」26.6%が上に来る。
つまり、どの業種が高いかという話は、一般労働者の表とパートタイム労働者の表で答えが変わる。自分の雇用の形と業種、その2つが交わる行を見る。16業種ぶんの値は16業種の入職率と離職率に並べた。
宿泊業,飲食サービス業の一般労働者で離職率が21.5%なら、同じ業種にいる人にとって、その21.5%が平らな地面にあたる。13.7%との差の7.8ポイントぶんは、職場の違いではなく業種の違いである。
離職率の分子に入るのは、調査対象期間中に事業所を退職した人と解雇された人。自分の意思で辞めた人も、定年に達した人も、契約期間が満了した人も、同じ1件として数えられる。理由の内訳は分けられていない。
だから次の3つは、職場の辞めやすさとは別の経路で率を押し上げる。
逆の方向にも同じことが起きる。平均年齢の若い職場では定年による離職がそもそも出ないため、自分の意思で辞める人が多くても、全体の率は低めに出る。理由別の内訳と式は離職率の平均13.7%、男女で2.6ポイント差に、辞めた人が挙げた理由の順位は離職理由ランキング、男女で1位が違うのほうにある。
去年1年に辞めた人数を年初の在籍者数で割れば、公表値と同じ形の数字は手元で出る。20人の部署で3人なら15%。
ただ、この母数では1人の増減が5ポイント動く。3人が4人になれば20%、2人なら10%。全国の13.7%や業種の21.5%と並べて1〜2ポイントの差を読むことに、意味はない。約15,000事業所から全国の数値を推計している公表値の側にも抽出による誤差があるので、小さな部署の率と業種の平均を小数点まで突き合わせると、両側の揺れを足し合わせたものを差として読むことになる。
部署の人数が二桁の前半なら、率は比較の道具として使えない。使えるのは、辞めた人数そのものと、その人たちの勤続年数の並び。入って半年の人が3人続けて抜けた職場と、勤続15年の人が3人定年で抜けた職場は、同じ15%になる。
在籍しているうちは、自分の会社の離職率を社内資料で見られないことが多い。公開されている情報のほうから回り込める。
職場情報総合サイト(しょくばらぼ)には、会社が自分で出した正社員の平均継続勤務年数が載っている。この項目に答えた2,754社の中央値は11.9年で、下の四分位が8.3年、上の四分位が15.1年。掲載も記入も任意なので、答えた会社は公表に積極的な側に寄っている。「日本企業の平均」としては読めない数字だが、同じ業種の会社がどのあたりに並んでいるかは分かる。
若者雇用促進法に基づくユースエール認定では、直近3事業年度の新卒者などの正社員離職率が20%以下であることが要件の1つに入っている。認定を受けた会社は、直近3事業年度の新卒者などの採用者数・離職者数、男女別採用者数、平均継続勤務年数を公表している。認定の有無そのものが、数値の公開範囲を示す札になる。定着率の側から見た数え方は定着率とは何をどう数えた割合かに書いた。
離職率は職場を1つの割合に圧縮した値なので、自分の働き方に効いている部分は落ちている。手元で数えられるのは次の4つ。
4つめは社外から見える。在籍したままでも追える。自分の職種の求人が1年のうち何か月出ていたかは、求人ページの掲載期間で追える。後任が入るまでの週数が伸びているなら、抜けた人数より先に、残った人の業務量のほうが動いている。
率が業種の平均より上だと分かっても、それが自分にとって何を意味するかは別の問題として残る。辞めた理由が自分に当てはまるとは限らないため、ここは一段落ちる。
自分の側で先に決まるのは、どの条件なら続けられるかという線である。変化の速さ、裁量の幅、確認の頻度、人と接する量。この4つは職場ごとに値が違い、同じ職場でも部署で変わる。離職率はそのどれも区別しない。
記録が4週ぶん貯まると、辞めた人数の話とは別に、いまの職場の値と自分の条件との距離が、変数ごとに並べられるようになる。
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