休職できる期間の上限は、法律ではなく勤め先の規程で決まる。労働政策研究・研修機構が2022年12月に実施した企業調査では、解雇や退職にならない期間の上限として「6ヵ月超から1年まで」を挙げた企業が17.2%で最も多く、「1年超から1年6ヵ月まで」が16.2%で続いた。3年を超える上限を置く企業は0.7%、上限を定めていない企業は10.0%。同じ病名でも、勤め先が変われば使える期間が変わる。
休職期間の上限、最多は半年超〜1年
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期間は2本あり、長さがずれる
この調査は休職期間を2つに分けて尋ねている。ひとつは雇用保障期間で、解雇や退職にならない期間。もうひとつは所得補償期間、つまり賃金や傷病手当金などが支給されている期間を指す。籍が残る長さと、収入が続く長さは別物として設計されている。
休職の相談をする前に見積もるなら、この2本を別々に数えたほうがいい。籍が1年残っても、賃金が1か月で止まる会社はある。
籍が残る期間の分布
雇用保障期間の上限は、次のように分かれた。従業員10人以上の企業20,000社に郵送し、有効回答は4,721社(有効回答率23.6%)。回答は企業単位で、正社員の規程についてのものだ。
| 上限 | 企業の割合 |
|---|---|
| 1ヵ月以下 | 4.4% |
| 1ヵ月超から3ヵ月まで | 11.6% |
| 3ヵ月超から6ヵ月まで | 14.0% |
| 6ヵ月超から1年まで | 17.2% |
| 1年超から1年6ヵ月まで | 16.2% |
| 1年6ヵ月超から2年まで | 7.0% |
| 2年超から2年6ヵ月まで | 2.0% |
| 2年6ヵ月超から3年まで | 3.0% |
| 3年超 | 0.7% |
| 上限なし | 10.0% |
| 無回答 | 13.7% |
6か月以下で切れる会社は、1ヵ月以下の4.4%、1ヵ月超から3ヵ月までの11.6%、3ヵ月超から6ヵ月までの14.0%を足して30.0%。一方、1年6ヵ月を超える上限を置く企業の合計は22.7%(上限なしを含む)。2017年の同じ調査では25.3%だったので、長い側は少し減った。
正社員規模が大きくなるほど、1年6ヵ月を超える上限の割合は高くなる。上限を定めない回答は、規模が小さくなるほどわずかに増えるが、これは長く休めることを意味するとは限らず、休職の規程そのものが無いために上限を答えられなかった場合も同じ選択肢に入りうる。無回答が13.7%あることも、分布を読むときの前提になる。
賃金や手当が続く期間は、もっと短い
所得補償期間の上限は、分布の形が変わる。最も多いのは「1ヵ月以下」の20.4%で、次が「1年超から1年6ヵ月まで」の14.7%。「1ヵ月超から3ヵ月まで」が11.3%、「3ヵ月超から6ヵ月まで」が10.8%、「6ヵ月超から1年まで」が9.9%と続く。1年6ヵ月を超える企業の合計は10.7%にとどまる。
雇用保障期間で1年6ヵ月超が22.7%だったのに対し、所得補償期間では10.7%。籍のほうが先に残り、収入のほうが先に切れる形だ。
ここで効いているのが健康保険の傷病手当金で、同じ病気やけがについて、支給を開始した日から通算して1年6か月が支給期間の上限になる。業務外の病気やけがで働けず、連続する3日間を含み4日以上仕事に就けなかったことが要件。所得補償期間の分布に1年6ヵ月の山ができるのは、この外枠と揃えている会社があるためと考えられる(推定)。
規程のどこに期間が書かれているか
厚生労働省のモデル就業規則は、休職の条文例を次の形で示している。
業務外の傷病による欠勤が□か月を超え、なお療養を継続する必要があるため勤務できないとき □年以内
□は空欄で、2つある。何か月の欠勤を経てから休職に入るのか、そして上限が何年か。前の□が大きい会社では、休職に入る前に無給の欠勤期間を挟むことになる。期間を数えるときは、この起算点も含めて読む。
確かめる場所は、ほかにもある。
- 休職が複数回になったときに期間を通算するか(規程によって扱いが分かれる)
- 勤続年数で上限に段を設けているか
- 延長の規定があるか、あるなら誰が何をもとに判断するか
- 期間が満了したときの扱い
延長は、規程に書かれた範囲でのみ動く。上限が6か月の会社で9か月に延ばす運用は、規程の変更を伴う。
満了すると、原則として退職になる
モデル就業規則の第9条第3項は、業務外の傷病で休職し、期間が満了してもなお傷病が治癒せず就業が困難な場合は、休職期間の満了をもって退職とする、という条文例を置いている。退職の条文にも同じ内容が並ぶ。休職の期間は、療養のための猶予であると同時に、雇用の期限でもある。
だから上限の長さは、復職の見込みと突き合わせて読むことになる。
復職までに実際かかっている期間
制度の上限と、実績は別の話だ。同じ調査が、疾患に罹患した社員が休職した場合に復職するまでの期間を企業に尋ねている(「休職者・復職者が少ないためわからない」と無回答を除いた集計)。
「1ヵ月程度」が最も多いのは糖尿病で73.4%、肝炎が50.4%、心疾患と難病はいずれも38.2%。6ヵ月以上かかるケースの合計が高いのは脳血管疾患の47.5%、難病の41.2%、がんの39.6%となっていて、復職までに半年以上を要する例が4割前後ある疾患では、6か月で切れる上限の会社と、1年6ヵ月を超える上限の会社とで、満了までの余白がまるで違ってくる。
メンタルヘルス不調による休職は、この調査の対象疾患に入っていない。業種ごとの発生状況は業種別の休職の割合で整理している。
期間を見積もる前に、いまの働き方を記録する
休職の期間を数える作業は、たいてい体調が落ちてから始まる。そのときには、いつから何が変わったのかを思い出しにくい。
このサイトの診断は、職場の環境を12の軸に割って記録する。残っているのは、どの軸がいつ動いたかという事実。復職の面談でも、異動の相談でも、期間の交渉そのものには効かないが、話の材料にはなる。





