休職の理由、傷病と特別な事情

休職の理由は、就業規則の中では2つの号に収まっている。厚生労働省のモデル就業規則の第9条第1項は、業務外の傷病による欠勤が一定期間を超えて療養が続く場合を第1号に、「特別な事情があり休職させることが適当と認められるとき」を第2号に置く。私傷病休職、留学休職、起訴休職といった呼び名は、この2号のどちらかに当てはめた結果の名前だ。自分の事情がどちらに入るかを先に見ると、相談の話が早い。

第1号は業務外の傷病

第1号に入るのは、仕事が原因ではない病気やけがで、療養を続ける必要があるために勤務できない状態。骨折のような外傷も、抑うつ状態のような精神面の不調も、業務が原因でなければここに入る。モデル就業規則の解説は、休職そのものを「業務外での疾病等主に労働者側の個人的事情により相当長期間にわたり就労を期待し得ない場合に、労働者としての身分を保有したまま一定期間就労義務を免除する特別な扱い」と説明している。

条文例には、欠勤が□か月を超えたとき、という起算の条件が入る。つまり第1号は、休み始めた初日から適用されるわけではない。

第2号の「特別な事情」に入るもの

モデル就業規則の解説は、第2号の「特別な事情」の例として、公職への就任と、刑事事件で起訴された場合を挙げている。会社ごとの規程では、ここに留学、組合専従、出向、災害や家庭の事情を並べるものもある。第2号の休職期間は「必要な期間」と書かれ、年数が固定されていない。

読者が検索でよく当たる休職名を、2号に割り振ると次のようになる。

よく見る呼び名 規程上の位置
私傷病休職 第1号(業務外の傷病)
事故欠勤休職 会社による。業務外の事故なら第1号に近い
自己都合休職・留学休職 第2号(特別な事情)
公職就任休職・起訴休職 第2号(解説が明示している例)
組合専従休職・出向休職 第2号(規程に個別に書く会社が多い)

この割り振りは規程の書き方次第で動く。自分の勤め先の条文を開いて、号の数と、それぞれの上限の書き方を見る。

業務上の傷病は、休職の枠の外にある

業務が原因の傷病、または通勤災害は、労災保険の対象になる。休業(補償)等給付として休業4日目から給付基礎日額の60%が支給され、これに休業特別支給金の20%が加わるので、合わせて80%。最初の3日間は待期期間で、業務災害の場合は事業主が労働基準法にもとづく休業補償(1日につき平均賃金の60%)を支払う義務を負う。

業務外なら健康保険の傷病手当金、業務上なら労災保険。同じ「働けない」でも、原因の線引きで使う制度が変わる。だから休職の相談をするときは、不調が仕事に起因するかどうかを別に整理しておくことになる。労災かどうかの判断は会社ではなく労働基準監督署がする。

病名によって、休職を経るかどうかが分かれる

理由が病気であっても、休職という形を取るかは疾患によって違う。労働政策研究・研修機構が2022年12月に実施した企業調査では、疾患に罹患した社員について、休職を経て治療する人が多いか、休職せずに通院治療する人が多いかを企業に尋ねている。有効回答は4,721社(有効回答率23.6%)。

「ほとんどが休職することなく通院治療」とする割合が高いのは、糖尿病の90.5%、肝炎の65.1%、難病の58.4%、心疾患の55.2%。逆に「ほとんどが休職を経て治療している」が最も多いのは脳血管疾患の53.3%とがんの45.3%で、この2つは通院だけで続ける割合(脳血管疾患30.9%、がん32.4%)を上回る。治療が要ることと、籍を残して休むことは、同じではない。

メンタルヘルス不調は、この調査の対象疾患に入っていない。業種ごとの発生状況は業種別の休職の割合で整理している。

会社に伝えるときは、事実と号を分ける

申請の場で会社が確かめるのは、事実の側だ。第1号なら、医師の診断にもとづく療養の必要性と見込み期間。第2号なら、就任や入学のような外形的な事実と、必要な期間。会社が確かめたいのは「規程のどの号に当たり、どのくらいの期間か」で、不調に至った経緯の説明がそのまま判断材料になるわけではない。

経緯を記録しておく意味は別にある。業務が原因かどうかの線引き、復職後に同じ状態に戻らないための条件、異動の希望。どれも、いつ何がどう変わったかという事実が無いと話が進まない。

事由が消えれば復職、満了すれば退職

モデル就業規則の第9条第2項は、休職期間中に休職事由が消滅したときは原則として元の職務に復帰させると定め、元の職務が困難または不適当な場合には他の職務に就かせることがあるとしている。同条第3項は、第1号による休職で期間が満了してもなお傷病が治癒せず就業が困難な場合、休職期間の満了をもって退職とする。

事由は入口だけを決めるのではない。出口の条件も、同じ条文の中にある。

自分の事情を言葉にしておく

休職の相談は、たいてい説明の材料が足りないまま始まる。何がいつから変わったのかを、本人も思い出せないことが多い。

このサイトの診断は、職場の環境を12の軸に割って記録する。裁量、人と接する量、確認の頻度、学ぶことの量。制度の対象に入るかどうかを判定するものではないし、診断書の代わりにもならない。測るのは、自分に合う条件といまの職場の条件の距離だけ。

出典

  1. モデル就業規則(令和7年12月版。第9条 休職の条文例と解説。第1号 業務外の傷病、第2号 特別な事情=公職就任・起訴)/厚生労働省労働基準局監督課/2025年12月
  2. 治療と仕事の両立に関する実態調査(企業調査)疾患罹患者の休職状況/独立行政法人 労働政策研究・研修機構/2022年12月実施・従業員10人以上の企業20,000社に郵送し有効回答4,721社(有効回答率23.6%)/2024年3月公表
  3. 休業(補償)等給付の計算方法(給付基礎日額の60%と休業特別支給金20%、待期3日間の休業補償)/厚生労働省
  4. 病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)/全国健康保険協会