出社が週に何日なら標準か、という問いに数値で答えられる部分は限られている。国土交通省のテレワーク人口実態調査(2025年10月実施、n=40,000)では、雇用型テレワーカーの割合は全国で25.2%。テレワークをしている人の中で見ても、週あたりの日数は1つの値に集まらず、週1日から週5日以上まで散らばっている。見るべきなのは、平均との距離ではない。自分の週のどこに出社日が要るか。
出社は週何回か、働く場所は誰が決めるか
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「ちょうどいい日数」は分布として散らばっている
同じ調査の2024年度分(雇用型テレワーカー n=5,645)では、テレワークを実施する1週間あたりの平均日数が、2020年度と2021年度の2.4日/週をピークに減り、それでも週2日以上の水準を保っている。テレワークの継続意向がある人(n=5,672)に希望の頻度を聞くと、最も多いのが週2日で、次に週1日、その次が週5日以上と続く。
ここで並びを見ておきたい。希望が週2日の人と週5日以上の人が近い割合で並んでいて、真ん中の1つに集まっていない。半数以上は週3日以上のテレワークを希望していて、同時に7割以上は週1日以上の出社を組み合わせる形を望んでいる。全員が在宅を最大化したいわけではない、という分布。
だから「週2出社・週3在宅が黄金比」のような一つの答えを持ち帰っても、自分の週には当てはまらないことが起きる。希望の頻度は現状の頻度より高い、という差が調査に出ている。自分の希望がどこにあるかを先に数字で持つほうが、勤務先の決まりとの差を測りやすい。
会社が日数を決められる根拠は、就業の場所が労働条件だから
出社を求められる理由を探すと、たいていは「コミュニケーションのため」といった説明に行き着く。ただ、会社が日数を指定できる根拠のほうは説明とは別の場所にある。労働基準法第15条と同法施行規則第5条第1項第1号の3で、労働契約を結ぶときに使用者が明示することになっている事項の中に、就業の場所が入っている。
厚生労働省のテレワークガイドラインが求めるのは、雇入れ直後からテレワークを行わせることが通常想定される場合は雇入れ直後の就業の場所として、契約期間中にテレワークを行うことが通常想定される場合は変更の範囲として、自宅やサテライトオフィスを明示すること。つまり在宅勤務は、労働条件として示された就業の場所の上に、制度として載っている。オフィスが就業の場所として示されていれば、そこに出ることが原則になる。
ガイドラインは同時に、頻度の決め方についても書いている。テレワークを実施するにあたっては労働者本人の納得の上で対応を図る必要があるとし、実施する人の優先順位やテレワークを行う頻度等について、あらかじめ労使で十分に話し合うことが望ましいとしている。望ましい、という書き方。法律の義務ではなく、行政が示す指針の水準にとどまる。
もう1つ、雇用形態の違いのみを理由にテレワークの対象者から除外しないよう留意する必要がある、とも書かれている。契約社員やパートで在宅勤務の対象外になっている場合、その線引きの理由を聞く根拠にはなる。
出社日にしか起きないことを、4週間数える
自分に合う日数は、業務の向き不向きの一覧より、実際に出社日に起きたことの数から出る。出社した日ごとに1行ずつ、次の4つ。
- その日に発生した、対面でなければ進まなかったやりとり(何件、誰と、何分)
- オンラインでも同じ結果になったやりとり(何件)
- 通勤に使った時間(往復、分)
- 出社していなければ起きなかった作業(郵便物、押印、機材の受け渡しなど)
4週間で16日前後の記録が貯まる。1日目は0件、2日目は3件。並べてみると、週のどこに出社が要るかの見当がつく。対面でなければ進まなかったやりとりが4週間で2件しかない週が続くなら、その週の出社日数は多い側に振れている。逆に毎回3件以上あるなら、日数を減らす話は成り立ちにくい。
通勤時間は労働時間に入らないので、そのぶんを実労働時間と分けて見ておく。用語の範囲は実労働時間の定義で整理している。往復90分×週3日なら、月あたり18時間ほど。この数字は日数の話を家計や生活の話に翻訳するときに使える。
日数を変える話は、記録を先に出す
ガイドラインが話し合いを望ましいとしている以上、話し合いの場は用意されうる。ただ「週1日にしたい」だけでは、会社が説明に使っている理由と噛み合わない。記録を先に出す。4週間で対面が必要だったやりとりが何件で、それが何曜日に集まっていたか。
出す場としては1on1が近い。何を持ち込むかの組み立ては1on1で上司に何を話すかにまとめてある。日数そのものを交渉する前に、曜日を寄せる案(出社日を火・水に固定する)から出したほうが、記録との対応が取りやすい。
ガイドラインは、新入社員、中途採用の社員、異動直後の社員について、業務を円滑に進める観点からコミュニケーションの円滑化に特段の配慮をすることが望ましいとしている。異動から3か月以内なら、日数を減らす話より、出社日に誰と話すかを決める話のほうが通りやすい。
今週やること
- 労働条件通知書か雇用契約書を出して、就業の場所と、その変更の範囲がどう書かれているかを確かめる
- 就業規則か社内規程で、在宅勤務の対象者と頻度の決め方を誰が決めると書いてあるかを見る
- 今週の出社日から、上の4項目を1行ずつ記録し始める。4週間続ける
4週間たつと、自分の週に出社日が何日必要かを、回数で言えるようになる。平均が週何日かは、そのときにはもう要らない。





