1on1に持ち込むものは、事実3つと依頼1つで足ります。先週から今週にかけて実際に起きたことを日付と回数で3行、そのうえで上司に何をしてほしいかを1つ。この形にしておくと、30分が進捗報告で終わらない。パーソル総合研究所が2024年6月に行った調査では、1on1での困りごととして「面談前に何を準備すればよいかわからない」を挙げた部下が24.2%、「上司からの助言を、どう行動に移せばよいかわからない」が20.8%だった(n=1,500)。準備と、その後の扱い。詰まっているのはこの両端です。
1on1で上司に何を話すか、3行で決める
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テーマの一覧では決まらない
「1on1で話すこと」を調べると、健康・業務・目標・キャリア・方針といったテーマの一覧が出てくる。あれは上司と人事が場を設計するための分類で、部下が当日持っていく材料ではない。
一覧を見て「では今日はキャリアの話を」と決めても、話す中身は出てこない。自分の先週に何が起きたかを書き出すのが先で、テーマはそのあとに、書いたものを眺めながら選ぶほうが早い。材料が先です。
前の10分で3行だけ書く
1on1の前に、次の3行を書く。書く場所はメモ帳でも手帳の端でもいい。
- 事実 — 先週起きたことを、日付・回数・関わった人数で。「木曜18時に差し替え依頼。今月3回目」
- 困っていること — 1つに絞る。2つ書くと、上司はどちらに答えるか迷って両方が浅くなる
- 依頼 — 上司に何をしてほしいか
3行目が要になる。事実と困りごとだけを話すと、返ってくるのは共感か一般論で、翌週になっても何も動いていない。依頼の形に直すと、その場で答えが出るか、出ないかがはっきりします。
依頼は3種類しかない
上司に頼めることは、だいたい次の3つに収まる。どれに当たるかを先に決めておくと、言葉に詰まらない。
- 判断してほしい — 「AとBのどちらで進めるか決めてください」
- 情報がほしい — 「この案件の背景と、前回どう決まったかを教えてください」
- 時間の配分を変えてほしい — 「今月はXを外して、Yに寄せたいです」
判断と情報は、その場で片づくことが多い。時間の配分だけは、ほかの人の仕事や部署の予定と噛み合っているぶん持ち帰りになりやすいので、締切が近づいてからではなく月の前半に出しておくほうが通る。早いほうがいい。
3つのどれにも当てはまらない話は、1on1より雑談の時間に向いていることがある。それはそれで悪くない。
話しにくさの出どころを分ける
話しにくい理由は、相手との関係にある場合と、場の扱いが分からない場合に分かれます。
後者は聞けば済む。「ここで話したことは、評価にどう扱われますか」「記録は誰まで共有されますか」。この2つを最初の回に確認しておくだけで、持ち込める話の範囲が変わる。聞くこと自体が失礼にあたる場面は、まず無い。多くの職場では上司の側も手探りで、調査では「面談について学ぶ仕組みがない」を挙げた上司が35.4%と、上司側の困りごとの1位になっていた。
前者だった場合は、話題を業務の事実に寄せる。気持ちや意図の話を避けて、日付と回数のある出来事だけを置く。そこから始めても、材料としては十分です。話しやすさを支える条件そのものについては心理的安全性の記事に書いた。
回数は、持ちかけた側で変わる
同じ調査で、1on1の実施頻度の平均はひと月あたり0.8回。誰が持ちかけたかで、ここが分かれる。
部下の側から上司に提案して実施している場合は月2.8回、上司から提案した場合は1.8回、会社の方針や義務として実施している場合は0.5回だった。言い出した側が部下のときに、いちばん回数が多い。制度として降ってきた枠は、静かに減っていくということです。
隔週の枠が実質は月1回になっている、という状態に心当たりがあるなら、それは珍しくない。数値の読み方と、この調査が何を測っていないかは1on1実施率の記事にまとめた。1on1という制度そのものの定義は1on1とはの記事へ。
枠が無い職場もある。直近半年に1on1を受けていない人は44.4%。その場合は「1on1をやりませんか」と持ちかけるより、「15分ください、Xの進め方を相談したいです」と用件で取るほうが通りやすい。回数を重ねてから、定例にするかどうかを決めればいい。
話したあとを残す
依頼の形で出しておくと、次回に照合できる。
3行のメモの下に、返ってきた答えを1行足す。判断が出たのか、保留になったのか、情報をもらったのか。4週ためて並べると、保留のまま動いていない依頼が浮かんできます。
同じ依頼が3回続けて保留になったなら、それは上司ひとりの裁量では決まらない話かもしれず、同じ相手に出し続けるより、決裁の経路をたどって相談先を変えたほうが早いこともある。判断の材料になる。
今週やること
- 先週の出来事を3つ、日付・回数・人数を入れて書く
- 困っていることを1つに絞る
- 依頼を「判断」「情報」「時間の配分」のどれかで書く
- 場の扱いを確認していないなら、次の回の冒頭で2つ聞く
- 終わったら、返ってきた答えを1行で足す
準備にかかるのは10分。長くて15分。面談が30分あるとすれば、その3分の1にあたる時間を前日か当日の朝に先払いしておくだけで、当日の30分に入ってくる中身が変わります。





