企業規模別の残業時間は9〜13時間

企業規模1,000人以上の会社で働く一般労働者の残業は、2025年6月に月13時間だった。100〜999人は11時間、10〜99人は9時間。規模が大きいほど長い。厚生労働省の令和7年賃金構造基本統計調査の数値である。ただし所定内労働時間のほうは逆を向いているので、足した合計では並びが入れ替わる。

階段は13時間・11時間・9時間

企業規模 超過実労働時間 労働者数
1,000人以上 13時間 999万人
100〜999人 11時間 1,052万人
10〜99人 9時間 842万人
企業規模計(10人以上) 11時間 2,892万人

上と下の差は4時間。月4時間なら、単純に12倍して年48時間ぶん。労働者数で見ると3つの階級はおおむね3等分されていて、いちばん多いのは真ん中の100〜999人で1,052万人だから、全体の11時間という平均は、この分布で重みをつけて出た値になる。

所定内を足すと、並びが入れ替わる

企業規模 所定内実労働時間 超過実労働時間 合計
1,000人以上 157時間 13時間 170時間
100〜999人 162時間 11時間 173時間
10〜99人 166時間 9時間 175時間
企業規模計(10人以上) 162時間 11時間 173時間

所定内実労働時間は、1,000人以上が157時間で最も短く、10〜99人が166時間で最も長く、その開きは9時間あるので、残業でついた4時間の差よりも大きい。足した合計は170時間・173時間・175時間。残業だけを見たときの階段は、ここで裏返る。

規模の大きい会社では、所定の労働時間そのものが短い。1日の所定が7時間30分の会社と8時間の会社では、20日働くと10時間の違いが出る。残業時間だけを規模で比べると、この10時間は視野の外に置かれる。

差がいちばん開くのは25〜34歳

年齢階級 1,000人以上 100〜999人 10〜99人
20〜24歳 13時間 11時間 8時間
25〜29歳 17時間 12時間 10時間
30〜34歳 17時間 13時間 9時間
35〜39歳 16時間 12時間 10時間
40〜44歳 14時間 12時間 9時間
45〜49歳 12時間 11時間 9時間
50〜54歳 11時間 10時間 9時間
55〜59歳 10時間 10時間 8時間
60〜64歳 9時間 8時間 7時間
65〜69歳 7時間 7時間 6時間

25〜34歳の1,000人以上が17時間。同じ年齢の10〜99人は9時間か10時間で、7時間から8時間の開きになる。50代に入ると1,000人以上も11時間から10時間まで下がり、規模の差は1時間か2時間まで縮む。65〜69歳では3つの階級が6時間から7時間で並ぶ。

年齢計で見えている4時間の差は、どの年齢でも同じように開いているわけではない。厚いのは20代後半から30代。

「企業規模」が数えているのは企業全体の人数

この調査の企業規模は、企業全体の常用労働者数で決まる。全国に10人ずつの営業所が散らばっていても、会社ぜんたいで1,000人を超えていれば1,000人以上の階級に数えられて、13時間という値の側に入る。事業所の人数で切った区分ではない。

10人未満の企業は、この3区分の外。企業規模5〜9人の事業所は別に集計されていて、上の表には含まれていない。中小企業基本法の区分とこの3階級がどう違うかは、中小企業の残業時間は月9時間のほうに書いた。

この階段で言えないこと

集計されたのは2025年6月分の1か月だけである。決算期や繁忙期が別の月にある職場では、6月の記録が年間の代表値にならない。

超過実労働時間数は、所定の労働時間を超えて働いた時間として事業所が記録した数値で、記録に乗らなかった時間は、持ち帰りの作業でも始業前の準備でも、この集計には現れない。対象は一般労働者、つまり短時間労働者を除いた人たち。

管理監督者は時間外労働の上限規制の外にいるが、労働時間の集計そのものには含まれていて、しかも時間の欄は整数で公表されるため、13時間と書かれた値は12.5時間から13.5時間のどこかにあると読むことになる。

36協定で決まる月45時間の上限を、この表から確かめることはできない。1,000人以上の13時間という平均は、45時間を超えて働いた人がいないことを意味しない。平均が13時間の集団のなかに、月50時間の人と0時間の人が同時にいる状態は、数字の上で矛盾しない。

調査対象は79,321事業所、有効回答は59,836事業所で回答率は75.4%。このうち10人以上の常用労働者を雇う民営事業所52,242件を集計している。

4時間の差と、自分の月

自分がどの階級と比べる立場にいるかは、勤め先の企業全体の常用労働者数で決まるので、就業規則や労働条件通知書に書かれた所定労働時間もあわせて確かめておくと、合計で見た並びが逆になる理由まで手元で追える。開きは9時間。

残業の時間数のほかに、手元で数えられるものが3つある。終業時刻から実際に席を立つまでの分数。残業を頼まれた日のうち、前日までに分かっていた割合。月末に集計された時間と、自分の記憶との差。

何が労働時間に入るのかの線引きは実労働時間とは何を数えた時間かに書いた。記録が4週ぶん貯まると、階級の平均との差ではなく、自分の職場の形が見えてくる。

出典

  1. 令和7年賃金構造基本統計調査 結果の概況/厚生労働省/令和7年6月分の実績・79,321事業所を対象に59,836事業所が有効回答(回答率75.4%)
  2. 同 調査の概要(対象範囲・調査事項・有効回答数)/厚生労働省
  3. 同 統計表 第1表(企業規模別・年齢階級別の所定内実労働時間数、超過実労働時間数、労働者数。一般労働者・民営・産業計)/政府統計の総合窓口(e-Stat)