ドライバーの残業、大型は月33時間

運転の仕事のうち残業がいちばん長いのは営業用大型貨物自動車運転者で、月33時間だった。令和7年賃金構造基本統計調査の職種小分類の値で、2025年6月の1か月ぶん、企業規模10人以上の一般労働者47万1,570人を集計した超過実労働時間数。所定内実労働時間175時間を足すと、6月のひと月で208時間になる。

「ドライバーの残業は何時間か」に1つの数字で答えると、車種のあいだの16時間ぶんの差が消える。

運転の8職種を、残業の長い順に並べる

職種 超過実労働時間 所定内実労働時間 平均年齢 勤続年数 きまって支給する現金給与額 労働者数
営業用大型貨物自動車運転者 33時間 175時間 51.5歳 13.4年 386.9千円 471,570人
バス運転者 30時間 168時間 56.0歳 12.3年 328.4千円 96,280人
営業用貨物自動車運転者(大型車を除く) 26時間 173時間 50.3歳 11.6年 341.7千円 451,640人
タクシー運転者 23時間 169時間 56.8歳 8.3年 359.2千円 170,210人
乗用自動車運転者(タクシー運転者を除く) 20時間 162時間 59.5歳 7.8年 281.7千円 41,740人
その他の自動車運転従事者 20時間 166時間 53.6歳 8.7年 324.8千円 13,380人
鉄道運転従事者 19時間 152時間 41.0歳 19.5年 463.6千円 34,050人
自家用貨物自動車運転者 17時間 168時間 52.5歳 13.0年 318.9千円 60,850人

大型と大型以外で7時間違う。人を運ぶ側でも、バス運転者の30時間とタクシー運転者の23時間で7時間の差があり、同じ「ドライバー」という呼び方でまとめられる8職種のあいだには、残業だけで16時間、超過と所定内を足した実労働時間では37時間の幅が入っている。

平均年齢も職種でずれる。鉄道運転従事者が41.0歳、乗用自動車運転者(タクシーを除く)が59.5歳。18.5歳の差。勤続年数は鉄道が19.5年で最長、乗用自動車運転者が7.8年で最短。

出勤日数で割ると1日あたり1時間半前後

月33時間を月20日の出勤で割ると、1日あたり1.65時間。26時間なら1.3時間、17時間なら0.85時間。出勤日数はこの表に載っていないので20日はこちらで置いた目安で、実際が18日なら1日1.83時間、22日なら1.5時間と、割る数のほうでも結果は動く。

実際の勤務は1日の長さで区切られないことが多い。長距離なら1回の運行が2日にまたがるし、隔日勤務なら1日の拘束が長くなる。月あたりの数字を日で割った値は、感覚を掴むための計算にとどまる。

企業規模で見ると、中規模がいちばん長い

職種 1,000人以上 100〜999人 10〜99人
営業用大型貨物自動車運転者 36時間 44時間 26時間
営業用貨物自動車運転者(大型車を除く) 39時間 34時間 17時間
バス運転者 43時間 31時間 17時間
タクシー運転者 42時間 24時間 18時間

4職種のうち3つで、いちばん残業が短いのは10〜99人の区分。大型貨物では100〜999人の44時間が最長で、10〜99人の26時間との差は18時間ある。18時間は1日8時間の勤務に直すと2日ぶんを超えるので、同じ大型車を同じように運転していても、勤め先の規模が違えば月の終わりに残っている時間はそれだけ違う。

ただし1,000人以上の区分は労働者数が少ない。タクシー運転者では6,870人で、同じ職種の10〜99人の5万7,240人に比べるとかなり小さい。区分ごとの n が小さいほど、値は動きやすい。

所定内が193時間という区分がある

タクシー運転者の1,000人以上の区分は、所定内実労働時間が193時間だった。超過の42時間を足すと235時間。同じ職種の10〜99人は所定内169時間、超過18時間で187時間。

残業時間だけを並べると、この48時間の差は見えない。隔日勤務の1勤務を何時間として数えるかという所定労働時間の決め方が区分によって違えば、残業として記録される長さと実際に拘束されている長さはずれる。足したほうが近い。

年960時間の上限との距離

2024年4月から、自動車運転の業務には時間外労働の上限として年960時間が適用されている。月に均すと80時間。

営業用大型貨物自動車運転者の33時間を12か月ぶんに伸ばすと396時間で、上限の4割ほど。平均値としてはかなり下にある。ただしこれは6月の1か月を12倍した計算値で、繁忙月が続けば上限に近づく人は出る。上限は個人ごとに年で数えるので、平均が下にあることと、自分が収まっていることは別の話。

制度としての残業代の扱いは固定残業代とは何を指すのかに書いた。全職種の平均は別の調査になるので、残業時間の平均は月9.8時間に分けている。

この数字が拾っていない時間

超過実労働時間数は、6月の1か月について事業所が答えた値。荷待ちや点検のうち労働時間として記録されていない時間は入らないし、記録の付け方が事業所によって違えば、同じ働き方でも数字は変わる。

対象は企業規模10人以上の事業所に勤める一般労働者。個人事業主として車を持っている人、短時間勤務の人は入っていない。仮説として、実感より短く見えるとすれば、記録の範囲と6月という月の取り方が効いている。

33時間を、自分の上限と比べる

職種の平均と自分の残業を比べると、位置は分かる。その先は、続けられる時間との距離になる。月30時間で問題ない人もいれば、月20時間で睡眠が削られる人もいて、そこは平均では決まらない。

workprevu の診断では、いまの働き方の時間と拘束のされ方を設問で記録して、自分が続けられる条件との距離を見る。運転の仕事は1日の区切りが読みにくいので、記録のほうが手がかりになる。

出典

  1. 令和7年賃金構造基本統計調査(職種)第1表 職種(小分類)、性別きまって支給する現金給与額等/厚生労働省/2025年6月分・一般労働者・企業規模10人以上
  2. 令和7年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種(統計表の一覧)/厚生労働省・政府統計の総合窓口
  3. 自動車運転者の時間外労働の上限規制(年960時間、2024年4月適用)/厚生労働省 はたらきかたススメ