2025年の所定外労働時間は、1人あたり月9.8時間だった。一般労働者だけを見ると13.2時間、パートタイム労働者は2.3時間。厚生労働省の毎月勤労統計調査2025年分結果確報が、事業所規模5人以上の調査産業計について集計した値で、9.8時間はフルタイムと短時間の2つを混ぜたあとの平均にあたる。
残業時間の平均は月9.8時間
公開 更新 約 5 分

9.8時間はパートタイムを含んだ平均
| 就業形態 | 総実労働時間 | 所定内労働時間 | 所定外労働時間 | 出勤日数 |
|---|---|---|---|---|
| 就業形態計 | 135.1時間 | 125.3時間 | 9.8時間 | 17.4日 |
| 一般労働者 | 160.5時間 | 147.3時間 | 13.2時間 | 19.2日 |
| パートタイム労働者 | 79.1時間 | 76.8時間 | 2.3時間 | 13.5日 |
同じ調査で、パートタイム労働者比率は31.31%(前年差+0.45ポイント)。常用労働者のおよそ3割がパートタイムで、その所定外が2.3時間しかないため、就業形態計の9.8時間は一般労働者の13.2時間より3.4時間低いところに落ちる。
「平均残業時間」として出てくる数字が資料によって食い違う理由の多くは、ここにある。フルタイムで働く自分と比べるなら、一般労働者の13.2時間のほう。
出勤日数で割ると、1日34分
9.8時間を出勤日数17.4日で割ると、1日あたり0.56時間。34分。一般労働者のほうは13.2時間を19.2日で割るので0.69時間になり、出勤した日に平均で41分ずつ、所定の時間を超えて働いていた計算になる。
月9.8時間と聞いたときの像と、毎日40分ほど居残っている像は同じ数字から出てくるので、どちらで考えるかによって、自分の職場の値が近いか遠いかの感覚も変わってくる。
年に換算すると117時間
| 就業形態 | 年間総実労働時間 | 年間所定内 | 年間所定外 |
|---|---|---|---|
| 常用労働者 | 1,621時間 | 1,504時間 | 117時間 |
| 一般労働者 | 1,926時間 | 1,768時間 | 158時間 |
年換算の作り方は決まっている。総実労働時間と所定内労働時間は各月の平均値を12倍して小数第1位を四捨五入し、所定外の年換算は、そうして出した総実の値から所定内の値を引いて算出される。だから117時間は、月9.8時間を12倍した117.6時間そのものではない。
「5人以上」と「30人以上」で1.7時間ちがう
| 系列 | 就業形態計 | 一般労働者 | パートタイム |
|---|---|---|---|
| 事業所規模5人以上 | 9.8時間 | 13.2時間 | 2.3時間 |
| 事業所規模30人以上 | 11.5時間 | 14.4時間 | 2.9時間 |
この調査は2つの系列を公表している。就業形態計では9.8時間と11.5時間。差は1.7時間。小さい事業所を含めるかどうかで、平均はこれだけ動く。引用されている数字がどちらの系列なのかを確かめないまま自分の残業を並べると、比べる相手を1.7時間ぶん取り違えたままになる。
企業全体の人数で切った階段は、別の調査のほうが細かい。企業規模別の残業時間は9〜13時間に、企業規模3区分の数値を出した。
前年からは0.2時間減った
| 年 | 就業形態計 | 一般労働者 | パートタイム |
|---|---|---|---|
| 2020年 | 9.2時間 | 12.4時間 | 2.1時間 |
| 2021年 | 9.7時間 | 13.2時間 | 2.0時間 |
| 2022年 | 10.1時間 | 13.8時間 | 2.2時間 |
| 2023年 | 10.0時間 | 13.8時間 | 2.2時間 |
| 2024年 | 10.0時間 | 13.5時間 | 2.3時間 |
| 2025年 | 9.8時間 | 13.2時間 | 2.3時間 |
公表されている2025年の前年比は−2.5%。実数は小数第1位までの丸めなので、10.0から9.8を引いた−0.2時間と前年比はぴったり対応しない。2020年の9.2時間は、前年から13.2%下がった年の値である。
毎年1月に標本の一部が入れ替わる調査なので、年ごとの実数を引き算した差は、同じ事業所で起きた変化とは一致しない。年をまたぐ比較のときは、ここを踏む。
この9.8時間で言えないこと
所定外労働時間は、所定の労働時間を超えて働いた時間として事業所が記録し、報告した数値である。記録に乗らない時間は入らない。持ち帰りの作業も始業前の準備も、事業所が時間として報告していなければ、9.8時間という平均のどこにも現れないまま集計が終わる。
常用労働者5人未満の事業所は対象外。2025年に集計の対象となった常用労働者は推計で5,156万人、前年から1.5%増えていて、この人数ぶんの記録をならした結果が9.8時間である。
平均であって、分布ではない。36協定で決まる月45時間の上限を超えた人がどれだけいるかは、9.8時間からは出てこない。平均が9.8時間の集団のなかに、月60時間の人と0時間の人が同時にいる状態は、数字の上で矛盾しない。管理監督者は上限規制の外にいるが、労働時間の集計には含まれている。
産業ごとの幅は、この記事の数字に出していない。調査そのものは16大産業の別に所定外労働時間を集計しているので、産業で切った数値は業種別の残業時間、最長20.6時間に分けて置いた。
9.8時間と、自分の先月
給与明細の時間外の欄で、先月の残業が何時間だったかを確かめる。比べる相手は、フルタイムなら一般労働者の13.2時間。勤め先の事業所が30人を超えていれば、14.4時間のほうが近い。
そのうえで、時間数のほかに手元で数えられるものが3つある。終業時刻から実際に席を立つまでの分数。残業を頼まれた日のうち、前日までに分かっていた割合。定時に帰った日に何か言われた回数。
何が労働時間に入るのかの線引きは実労働時間とは何を数えた時間かに書いた。記録が4週ぶん貯まると、平均との差ではなく、自分の月の形として読める。





