有給取得率の推移、6年で14.5ポイント

有給取得率は、平成30年実績の52.4%から令和6年実績の66.9%へ、6年で14.5ポイント上がった。厚生労働省の就労条件総合調査を実績年ごとに並べた結果である。取得日数でみると9.4日から12.1日、増えたのは2.7日。上がり方は一定ではない。前の年から3ポイントを超えて動いた年が3回あり、残る4回は0.3〜1.7ポイントの範囲におさまっているので、平らに伸びた6年というより、いくつかの年にまとまって動いた6年として見たほうが実態に近い。

年ごとに並べると、動いた年は3つ

実績年 出典の調査 付与日数 取得日数 取得率
平成29年(2017) 平成30年調査 18.2日 9.3日 51.1%
平成30年(2018) 平成31年調査 18.0日 9.4日 52.4%
令和元年(2019) 令和2年調査 18.0日 10.1日 56.3%
令和2年(2020) 令和3年調査 17.9日 10.1日 56.6%
令和3年(2021) 令和4年調査 17.6日 10.3日 58.3%
令和4年(2022) 令和5年調査 17.6日 10.9日 62.1%
令和5年(2023) 令和6年調査 16.9日 11.0日 65.3%
令和6年(2024) 令和7年調査 18.1日 12.1日 66.9%

前年からの伸びが3ポイントを超えたのは、令和元年実績の3.9ポイント、令和4年実績の3.8ポイント、令和5年実績の3.2ポイント。残る4回は1.3、0.3、1.7、1.6ポイント。いちばん動かなかったのは令和2年実績で、0.3ポイントだった。

調査名と実績年がずれる点を先に。「令和7年調査」は令和7年1月1日時点の状況を聞いた調査で、年次有給休暇については令和6年1年間(または令和5会計年度)の実績を答えてもらっているため、この表では調査名ではなく実績年で並べ替えている。推移を扱う資料で「2025年は66.9%」と書かれていたら、それは調査年を指している。

令和7年調査の対象は、常用労働者30人以上の民営企業6,448社。有効回答は3,820社、回答率59.2%。パートタイム労働者を含む常用労働者について、企業が答えた付与日数計と取得日数計を集計した値である。

分母は「付与された日数」で、繰り越しは入らない

取得率は、取得日数の合計を付与日数の合計で割って100を掛けた値と定義されている。この付与日数から繰越日数は除かれる。前の年に消化しきれずに繰り越した分は、分母にも分子にも入らない。

だから、繰り越しを足して「持っている有給は30日ある」という人でも、取得率の計算の土台になるのはその年に新しく付与された18日のほうで、手元の残日数と取得率は同じものを見ていない。

2019年4月に、年5日を取らせる義務が入った

最初の段差は、平成30年実績の52.4%から令和元年実績の56.3%への3.9ポイント。この間に働き方改革関連法が施行されている。年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者について、そのうち年5日は企業が時季を指定して取得させることが2019年4月1日から義務になり、令和元年はその最初の通年にあたる。

取得日数は9.4日から10.1日、0.7日の増加。義務づけられた5日という水準を、この時点の平均はすでに大きく上回っていた。それでも平均が動いたのは、5日に届いていなかった層が押し上げられたためだと推定できる。ただし、この調査は「なぜ取ったか」「なぜ取れなかったか」を聞いていない。義務化と数値の対応を、この調査の中だけで確かめることはできない。

率が上がった年に、日数が増えたとは限らない

令和5年実績の3.2ポイントは、中身が違う。取得日数は10.9日から11.0日で、増えたのは0.1日だけ。同じ期間に付与日数が17.6日から16.9日へ0.7日減っている。分子がほとんど動かず、分母が縮んだ。それで率が3.2ポイント上がった。

翌年はまた戻る。令和6年実績の付与日数は18.1日で、1.2日増えた。取得日数も12.1日へ1.1日増え、率は66.9%になった。分母と分子が同じ方向に動いた年。

付与日数がなぜ年によって0.7日や1.2日も動くのか、この調査の概況からは分からない。抽出された企業の顔ぶれが年ごとに入れ替わることも、回答した企業で働く人の勤続年数の構成が変わることも影響しうるが、概況はそこまで分解していないので、ここでは分母が動く事実だけを記録しておく。率だけを折れ線にすると、この動きは見えない。取得日数の列を一緒に見たほうがいい。

この数字が答えていないこと

平均値である。3,820社を集計した1つの値なので、そのなかにどれだけのばらつきがあるかは出てこない。取得率が9割の職場と3割の職場が同じ数だけあっても、平均は6割になる。

集計の単位は企業で、個人ではない。「労働者1人平均」と書かれているが、これは企業ごとの付与日数計と取得日数計を足し上げて割った値であって、働く人を一人ずつ数えて作った分布ではないため、自分の職場がこの平均のどのあたりに位置するかは、この数字だけでは決められない。

規模による差は有給取得率、企業規模別で4.1ポイント差にまとめた。直近の水準そのものは有給取得率の平均は66.9%で扱っている。産業ごとの差は同じ調査の別の切り口なので、この記事では触れない。

取れなかった理由も、この調査の範囲外。人手が足りないのか、申請しにくいのか、そもそも業務量なのか。就労条件総合調査は企業の制度と実績を聞く調査であって、働く人の事情を聞く調査ではない。

自分の付与日数を、18.1日の隣に置く

平均との距離は、日数で見ると早い。給与明細か勤怠システムに、その年の付与日数と残日数が出ている。付与日数から残日数を引けば取得日数が出るので、18.1日と12.1日の隣に自分の2つの数字を並べる。

差が2日なのか6日なのかで、次に確かめることが変わる。付与日数が平均より少ないなら勤続年数か所定労働日数の側、取得日数だけが少ないなら消化の側。どちらかを切り分けてから、面談で話す材料にする。

1年分だけでは職場の傾向は出ない。記録は1行でいい。付与日数と取得日数を毎年書き足していくと、全国の推移と自分の推移が同じ向きに動いているのか、それとも自分のところだけ別の動きをしているのかが、数年たったところで見えてくる。

出典

  1. 令和7年就労条件総合調査 結果の概況(第5表)/厚生労働省/令和6年1年間(または令和5会計年度)の実績・調査客体6,448社・有効回答3,820社(回答率59.2%)
  2. 同 結果の概況(PDF。調査の概要と年次有給休暇の項)/厚生労働省/令和7年12月19日公表
  3. 令和5年就労条件総合調査 結果の概況(PDF。令和4年実績62.1%、令和3年実績58.3%)/厚生労働省
  4. 令和3年就労条件総合調査 結果の概況(PDF。令和2年実績56.6%、令和元年実績56.3%)/厚生労働省
  5. 平成31年就労条件総合調査 結果の概況(PDF。平成30年実績52.4%、平成29年実績51.1%)/厚生労働省
  6. 早わかり グラフでみる長期労働統計「年次有給休暇」/労働政策研究・研修機構(出所:厚生労働省「就労条件総合調査」)