公務員の平均年収、公表は月額43.9万円

国家公務員の平均給与月額は439,356円。人事院の令和8年国家公務員給与等実態調査が、2026年4月1日現在の248,729人について集計した値で、平均年齢は41.7歳、平均経験年数は19.7年だった。

この調査に「平均年収」という数字は出てこない。公表されているのは月額で、年額が出ているのはモデル給与例のほうだ。検索して出てくる700万円前後の金額は、月額に12か月とボーナスの月数を掛け足した試算で、人事院が公表した数字ではない。

439,356円の中身は、6つの列に割れている

区分 金額
俸給 356,257円
地域手当等 45,518円
俸給の特別調整額 11,889円
扶養手当 8,653円
住居手当 7,519円
その他 9,520円
平均給与月額(合計) 439,356円

「その他」に入っているのは、本府省業務調整手当、単身赴任手当(基礎額)、寒冷地手当、特地勤務手当など。報告書の注に列挙されている。

ここに超過勤務手当と、期末手当・勤勉手当(ボーナス)は入っていない。4月1日現在の俸給と諸手当を足した額なので、残業が多い月に実際に振り込まれる額とも、ボーナスを含めた年額の12分の1とも違う。年収を知りたい人が最初に当たる数字が、年収の一部を落としている。

年額が公表されているのは、モデル給与のほう

モデル 年齢 月額 年間給与
地方機関係長 35歳 301,600円 5,066,000円
地方機関課長 50歳 429,800円 7,085,000円
本府省局長 — 1,171,400円 19,386,000円
事務次官 — 1,520,600円 25,239,000円

令和7年度のモデルで、内閣官房内閣人事局の資料が人事院の給与勧告資料から引いている。年間給与と月額の関係を割り算で見ると、係長のモデルは 5,066,000 ÷ 301,600 で16.8か月ぶん、課長のモデルは 7,085,000 ÷ 429,800 で16.5か月ぶん。

倍率は16か月台。12か月分にボーナスを足した結果だ。平均給与月額の439,356円に同じ16.5を掛ければ約725万円になるが、この掛け算はモデルの倍率を別の集団に当てはめたものなので、調査の結果ではない。年収の目安が必要なときは、モデル給与の年間給与のほうを見るほうが筋が通る。

俸給表によって、月額が3.23倍まで開く

俸給表 平均給与月額 職員数
指定職 1,125,422円 977人
医療職(一) 875,594円 590人
専門スタッフ職 646,154円 164人
研究職 585,809円 1,137人
税務職 455,522円 48,398人
公安職(二) 439,144円 22,812人
行政職(一) 428,451円 139,564人
公安職(一) 415,450円 22,043人
行政職(二) 348,191円 1,590人

最も高い指定職と最も低い行政職(二)で、1,125,422 ÷ 348,191 = 3.23倍。指定職は事務次官や局長に適用される俸給表だ。該当は977人。

いちばん人数が多いのは行政職(一)の139,564人で、全体の56%を占める。「国家公務員の平均」として挙げられる439,356円は、この56%に医療職や指定職を混ぜた値だ。自分の位置を見るなら、全体の平均より自分の俸給表の平均。

行政職(一)は、年齢で2倍動く

年齢階層 平均給与月額 人員
20歳以上24歳未満 261,113円 7,764人
24歳以上28歳未満 297,781円 17,390人
28歳以上32歳未満 333,404円 14,961人
32歳以上36歳未満 370,391円 10,806人
36歳以上40歳未満 410,060円 9,520人
40歳以上44歳未満 450,899円 10,733人
44歳以上48歳未満 488,168円 13,443人
48歳以上52歳未満 507,697円 17,456人
52歳以上56歳未満 518,853円 20,458人
56歳以上60歳未満 530,225円 15,477人
60歳以上 512,945円 911人

20代前半の261,113円から、50代後半の530,225円まで。2.03倍。上がり幅がいちばん大きいのは36歳から48歳のあいだで、4年ごとに約40,000円ずつ増えていき、48歳を過ぎると増え方が緩んで、60歳以上では512,945円に下がる。

平均の428,451円に届くのは40代前半から。平均年齢41.7歳の集団の平均値なので、30代の人が全体の平均と自分を比べると、年齢差のぶんだけ低く出る。

この数字で言えないこと

地方公務員は入っていない。 この調査の対象は給与法等の適用を受ける常勤職員で、都道府県や市町村の職員は総務省の別の調査で把握されている。公務員全体の平均としては読めない。

人員からも外れている人がいる。在外公館に勤務する職員、休職者、育児休業中の職員、育児短時間勤務職員、1年以内の任期で任用された者は調査の対象外。1月16日から4月1日までの新規採用者11,538人、定年前再任用短時間勤務職員、暫定再任用職員も人員に含まれていない。

民間の平均年収と並べるには、別の調査を持ってくる必要がある。測り方も対象も違うので、同じ物差しにはならない(民間側の例はITの平均年収659万円、半数は600万円以下)。

金額より、条件のほうが比べやすい

年収の数字を並べても、自分が働き続けられるかどうかは出てこない。超過勤務手当が平均給与月額に入っていないという一点を見るだけでも、同じ金額の裏にある働いた時間が人によって何十時間も違いうることが分かる。

比べるなら、月額と年間給与のほかに、残業時間、異動の範囲、勤務地が変わる頻度。給与は職場の条件のうち数字が公表されている部分で、公表されていない部分のほうが、日々の働き方を決めている。自分の条件を4週ぶん記録しておくと、金額の比較と並べて見られるようになる。

出典

  1. 令和8年国家公務員給与等実態調査報告書/人事院/令和8年4月1日現在・248,729人
  2. 同 報告書本体(第2表 職員数・平均年齢・平均経験年数及び平均給与月額/参考1 行政職俸給表(一)の年齢階層別平均給与月額)
  3. 国家公務員の給与(令和8年版)/内閣官房内閣人事局/モデル給与例は人事院「本年の給与勧告のポイントと給与勧告の仕組み」(令和7年)から