セクハラを受けた人が実際にした行動で最も多いのは「何もしなかった」の51.7%。相談した先では社内の同僚が14.7%、家族や社外の友人が13.9%、社内の上司が12.5%と続き、義務として置かれている社内の相談窓口は2.8%だった。厚生労働省の委託調査(2023年12月〜2024年1月実施、セクハラを受けたと回答した労働者 n=503、複数回答)の数値である。
どこへ出すかを決める前に、経路ごとに何が起きるのかを並べておく。指針は、相談を受けた会社が動く順番まで決めている。
公開 約 8 分

セクハラを受けた人が実際にした行動で最も多いのは「何もしなかった」の51.7%。相談した先では社内の同僚が14.7%、家族や社外の友人が13.9%、社内の上司が12.5%と続き、義務として置かれている社内の相談窓口は2.8%だった。厚生労働省の委託調査(2023年12月〜2024年1月実施、セクハラを受けたと回答した労働者 n=503、複数回答)の数値である。
どこへ出すかを決める前に、経路ごとに何が起きるのかを並べておく。指針は、相談を受けた会社が動く順番まで決めている。
| 相談先・行動 | 割合(n=503、複数回答) |
|---|---|
| 社内の同僚に相談した | 14.7% |
| 家族や社外の友人に相談した | 13.9% |
| 社内の上司に相談した | 12.5% |
| 人事部等の社内の担当部署(相談窓口を除く)に相談した | 3.8% |
| 会社が設置している社外の相談窓口に相談した | 3.8% |
| 会社とは無関係の弁護士や社会保険労務士に相談した | 3.6% |
| 社内の産業保健スタッフに相談した | 3.2% |
| 社内の相談窓口に相談した | 2.8% |
| 公的な機関(労働基準監督署や都道府県労働局など)に相談した | 2.0% |
| 労働組合に相談した | 1.8% |
| 会社とは無関係の医師やカウンセラーなどに相談した | 1.8% |
| しばらく会社を休んだ | 3.4% |
| 会社を退職した | 7.4% |
| 何もしなかった | 51.7% |
制度として用意されている社内の相談窓口は2.8%。会社が設置している社外の相談窓口(3.8%)のほうが高い。上に来ているのは同僚、家族や社外の友人、上司の3つで、どれも窓口の外にある経路である。
同じ調査でパワハラを受けた人を見ると、何もしなかったは36.9%(n=1,546)。顧客等からの著しい迷惑行為では35.2%(n=861)。セクハラは、3つのうち何もしなかった割合がいちばん高い。
何もしなかったと答えた人にその理由を尋ねた結果(n=260、複数回答)で、最も多いのは「何をしても解決にならないと思ったから」の52.7%。次が「何らかの行動をするほどのことではなかったから」の31.5%。「職務上不利益が生じると思ったから」が10.4%、「相談しにくい雰囲気があったから」が8.5%、「職場の上司や同僚との人間関係が悪くなることが懸念されたから」が8.1%、「職場内で公になることが懸念されたから」が6.5%。
窓口そのものに関わる理由は、どれも1桁の下のほうに並ぶ。相談できる窓口や担当部署がなかったから4.6%。分からなかったから2.3%。取り扱う窓口や担当部署が公正に取り扱うと思えなかったから3.8%、問題解決能力に疑問があったから2.3%。経営者や役員など経営層が行為者だったからは4.2%。
窓口を増やしても動かない部分が、ここに残っている。出したあとに何が起きるかの見込みが、行動の分かれ目になっている。
経験頻度で割ると、向きがはっきりする。セクハラを一度だけ経験したと答えた人のうち64.8%が何もしなかった。頻度が高いほど「何もしなかった」の割合は低く、「しばらく会社を休んだ」「会社を退職した」の割合は高くなる(n=503)。
回数が増えてから動く人が多い、という形。一度目をどう扱うかは、記録が残っているかどうかで変わってくる。
令和2年度調査との比較で、3年間の動きが出ている。何もしなかったが11.9ポイント増加。社内の同僚に相談したが3.6ポイント、社内の相談窓口に相談したが3.0ポイント減少した(令和5年度 n=503、令和2年度 n=814)。
措置義務の周知が進んだ3年間に、相談行動そのものは下がっている。
セクハラの指針(平成18年厚生労働省告示第615号、令和8年10月1日適用)4(2)ロは、相談窓口の担当者が適切に対応できるようにすることを事業主の義務としたうえで、条件を添えている。被害を受けた労働者が萎縮するなどして相談を躊躇する例もあること等も踏まえ、心身の状況や当該言動が行われた際の受け止めなどその認識にも配慮しながら、セクハラが現実に生じている場合だけでなく、その発生のおそれがある場合や、該当するか否か微妙な場合であっても、広く相談に対応し、適切な対応を行うようにすること。
例として挙がるのは2つ。放置すれば就業環境を害するおそれがある場合。性別役割分担意識に基づく言動が原因や背景となってセクハラが生じるおそれがある場合。
自分で先に判定してから出す、という順番は想定されていない。対価型と環境型の線引きはセクハラとは、対価型と環境型、どこからが該当するのかの判断の仕組みはセクハラの基準、主観と客観の両方にある。
指針4(3)が、相談の申出があった場合の対応を4段に分けている。まず、事案に係る事実関係を迅速かつ正確に確認する。確認できた場合は、速やかに被害者に対する配慮のための措置を適正に行うこと。行為者に対する措置も適正に行う。そして再発防止に向けた措置を講ずること。
事実確認の例として挙がるのは、相談窓口の担当者、人事部門または専門の委員会等が、相談者及び行為者の双方から事実関係を確認すること。双方の主張に不一致があり事実の確認が十分にできないと認められる場合には、第三者からも事実関係を聴取する等の措置を講ずること、と続く。確認が困難な場合には、法24条に基づく調停の申請その他中立な第三者機関に紛争処理を委ねることも例に入る。
被害者への配慮の措置として並ぶのは5つ。被害者と行為者の間の関係改善に向けての援助。被害者と行為者を引き離すための配置転換。行為者の謝罪。被害者の労働条件上の不利益の回復。管理監督者または事業場内産業保健スタッフ等によるメンタルヘルス不調への相談対応。
再発防止の措置は、セクハラが生じた事実が確認できなかった場合においても同様に講ずること、と指針に書かれている。確認が取れなければ何も起きない、という組み立てにはなっていない。
指針4(4)ロが挙げる対象の行為は4つ。セクハラに関し相談をしたこと。事実関係の確認等の事業主の雇用管理上講ずべき措置に協力したこと。都道府県労働局に対する相談、紛争解決の援助の求め若しくは調停の申請。調停の出頭の求めに応じたこと。これらを理由として解雇その他不利益な取扱いをされない旨を定め、労働者に周知・啓発することが事業主の義務になっている。
派遣で働いている場合も同じ。派遣元事業主のみならず、労働者派遣の役務の提供を受ける者もまた、派遣労働者がセクハラの相談を行ったこと等を理由として、その派遣労働者に係る労働者派遣の役務の提供を拒む等の不利益な取扱いを行ってはならない。
プライバシーの保護も措置の1つ。相談者・行為者等の情報は当該相談者・行為者等のプライバシーに属するものである、という前提で、相談への対応と事後の対応に当たって必要な措置を講ずること、その旨を労働者に周知することが並んでいる。
厚生労働省のページは、会社で対応してもらえない場合や社外で相談したいときの窓口として、都道府県労働局雇用環境・均等部(室)と総合労働相談コーナーを挙げている。条件も3つ書かれている。匿名でも大丈夫。プライバシーは厳守します。相談は無料です。
指針が列挙する不利益取扱いの禁止の対象に、都道府県労働局に対する相談、紛争解決の援助の求め、調停の申請が入っていた。社外の経路そのものが、法律の中に書かれているということ。
社内と社外で、勤務先に話が渡るかどうかの分かれ目が変わる。ハラスメント全般の相談先をその軸で並べたものはハラスメントを誰に相談するかにある。
会社側の数値も、同じ調査から出ている。過去3年間にセクハラの相談があったと回答した企業は39.5%(n=7,777)。相談があった企業のうち、該当する事案があると回答したのは80.9%(n=3,075)。
残すのは4つ。日付。言われた言葉そのまま。そのとき同席していた人。月ごとの回数。これに、拒否や抗議をしたあとに何が続いたかを足す。指針は、対価型を労働条件上の不利益、環境型を就業環境が害されるものとして分けているので、断ったあとに起きたことは、どちらに当たるかの判定に直接効く。
双方の主張に不一致があるときに第三者から聴取する、という段が指針に入っている。同席していた人の名前は、そこで使われる。
いまの職場を記録する
記録する