平均年収の推移、5年連続で増えた

民間給与実態統計調査で、1年を通じて勤務した給与所得者の平均給与は令和7年分(2025年)が486.6万円。令和2年分の435.1万円を底に、そこから5年続けて上がっている。

ただし、この調査の時系列は途中で2本に分かれる。平成26年分から新しい復元推計の手法で作り直した系列があり、同じ年に2つの値が並ぶ。長期の比較をするときは、どちらの系列を見ているかで結論が変わる。

50年ぶんの平均給与

従来の推計方法による系列から、節目の年を抜き出した(単位は万円、1年勤続者)。

年分 平均給与 給料・手当 賞与
昭和47年(1972) 121.3万円 94.1万円 27.2万円
昭和55年(1980) 294.8万円 231.9万円 62.9万円
昭和60年(1985) 351.7万円 280.3万円 71.4万円
平成2年(1990) 425.2万円 334.8万円 90.4万円
平成9年(1997) 467.3万円 376.7万円 90.6万円
平成14年(2002) 447.8万円 375.2万円 72.5万円
平成21年(2009) 405.9万円 349.7万円 56.1万円
平成24年(2012) 408.0万円 349.0万円 59.0万円
平成30年(2018) 440.7万円 371.0万円 69.7万円
令和3年(2021) 443.3万円 376.7万円 66.6万円

平成9年の467.3万円が、この系列のどの年よりも大きい。そこから平成21年の405.9万円まで、12年で61.4万円下がった。下げ止まったのは2009年。そこから上下を繰り返しながら戻していくものの、従来の方法で集計した最後の年である令和3年の443.3万円でも、平成9年の水準には24.0万円届かないままだった。

2014年から系列が2本になる

国税庁は平成26年分以降について、新しい復元推計の手法で数字を作り直している。同じ年を2つの方法で集計した値が、どちらも公表されている。

年分 従来の方法 新しい方法 差
平成26年(2014) 415.0万円 420.9万円 5.9万円
令和3年(2021) 443.3万円 445.7万円 2.4万円

差は数万円。方法の違いだけで、これくらいは動く。「令和7年分の486.6万円が平成9年の467.3万円を超えた」という言い方をするとき、比べているのは別々の推計方法で作られた2つの数字であって、同じ物差しの上に並んだ値ではない。前後の年と比べるぶんには問題ない。

新しい方法による系列は、こう動いている。

年分 平均給与 前年差
平成26年(2014) 420.9万円 —
平成29年(2017) 433.6万円 —
平成30年(2018) 439.1万円 5.5万円
令和元年(2019) 438.4万円 -0.7万円
令和2年(2020) 435.1万円 -3.3万円
令和3年(2021) 445.7万円 10.6万円
令和4年(2022) 457.6万円 11.9万円
令和5年(2023) 459.5万円 1.9万円
令和6年(2024) 477.5万円 18.0万円
令和7年(2025) 486.6万円 9.1万円

令和5年分の1.9万円だけ伸びが小さい。前の年に11.9万円、次の年に18.0万円上がっているあいだに1年だけ足踏みした格好で、この系列の中では令和6年分の18.0万円がいちばん大きな1年ぶんの動きになる。

増えたのは給料・手当、減ったのは賞与

平成9年と令和7年を並べると、合計は467.3万円から486.6万円へ19.3万円増えている。内訳の動きは逆を向く。

給料・手当は376.7万円から411.8万円へ35.1万円増えた。賞与は90.6万円から74.9万円へ15.7万円減った。賞与が平均給与に占める割合は19.4%から15.4%へ、4.0ポイント落ちている。

年2回まとめて受け取る額が細り、毎月の額に寄った。同じ年収でも、月々の手取りがいくらで、夏と冬にいくら入るかという配分は、この28年のあいだに別の形へ変わっている。住宅ローンの返済計画やまとまった支出の組み立て方に効いてくるのは、合計より配分のほう。

男女で伸び方が違う

新しい方法による系列で、平成26年分と令和7年分を比べる。

区分 2014年 2025年 差 伸び率
男 522.6万円 596.7万円 74.1万円 14.2%
女 273.8万円 341.8万円 68.0万円 24.8%

額で見ると男性のほうが6.1万円多く増え、率で見ると女性のほうが10.6ポイント大きい。差そのものは開いた。248.8万円から254.9万円へ、11年で6.1万円。

同じ11年で、1年を通じて勤務した給与所得者の数は4,478万人から5,163万人へ685万人増えている。女性が1,831万人から2,229万人へ398万人、男性が2,647万人から2,934万人へ287万人。人数が増えながら平均も上がった形。

この数字で言えないこと

物価の影響を除いていない。表に並ぶのは名目の金額で、昭和47年の121.3万円と令和7年の486.6万円を同じ尺度で割り算しても、生活の余裕が4倍になったという話にはならず、実質で比べるには消費者物価指数という別の統計を重ねる必要がある。重ねていない。

同じ人を追いかけた数字でもない。毎年その年の給与所得者を集計し直しているので、入ってくる人と抜けていく人の構成が変われば、1人ひとりの給与が動かなくても平均は動く。

集計対象は「1年を通じて勤務した給与所得者」。1月から12月まで引き続き勤務して、給与の支給を受けた月数が12か月の人に限られる。年の途中で入社した人や退職した人は別に数えられている。

業種や職種を絞った数字は、ITの平均年収659万円、半数は600万円以下とコンサルの平均年収、近い職種で752万円にまとめてある。

出典

  1. 民間給与実態統計調査 長期時系列データ 3-1 1年勤続者・1年未満勤続者の給与所得者数・給与額・税額(国税庁、昭和24年分〜令和7年分)
  2. 令和7年分 民間給与実態統計調査 調査結果報告(国税庁、2025年分)