賃金構造基本統計調査の職種区分に、「コンサルタント」という枠は無い。名前がいちばん近いのは「システムコンサルタント・設計者」で、令和6年(2024年)の数字から年収を計算すると752.6万円。集計対象は149,050人。
記事によって「コンサルの平均年収」が700万円台から1,100万円台まで振れるのは、この職種を1つの区分として数えている公的統計が無いからで、各社が自前の登録者データや求人データを別々の母集団で集計している。比べるための共通の物差しを1本引くなら、職種小分類の表が出発点になる。
「コンサルタント」という職種区分が無い
この調査は職種を小分類まで割って集計している。その一覧で「コンサル」の字が入るのは、システムコンサルタント・設計者の1つだけ。経営の助言を仕事にしている人がどの区分で数えられるかは、事業所が調査票にどの職種を書いたかで分かれる。
だから、この記事で出す数字は「コンサルティング業界の平均年収」ではない。職種小分類のうち名前と仕事の中身が近い区分の値であって、そこを取り違えると比較の前提が崩れる。
近い職種の年収は752.6万円
計算はこう。きまって支給する現金給与額480.7千円を12倍して5,768.4千円、そこに年間賞与その他特別給与額1,757.3千円を足すと7,525.7千円。万円に直して752.6万円。
平均年齢41.4歳、平均勤続年数14.5年、所定内実労働時間158時間、超過実労働時間15時間。労働者数は14,905(十人単位)で、実数にすると149,050人。
同じ表に並ぶ近い職種も出しておく。年収の欄は同じ計算で出した値。
| 職種(小分類) |
月の現金給与額 |
年間賞与 |
年収(計算値) |
労働者数 |
| システムコンサルタント・設計者 |
480.7千円 |
1,757.3千円 |
752.6万円 |
149,050人 |
| その他の経営・金融・保険専門職業従事者 |
582.8千円 |
2,038.6千円 |
903.2万円 |
29,290人 |
| 公認会計士,税理士 |
557.7千円 |
1,870.2千円 |
856.3万円 |
20,210人 |
| 法務従事者 |
537.0千円 |
1,208.7千円 |
765.3万円 |
13,680人 |
| 管理的職業従事者 |
579.9千円 |
2,213.1千円 |
917.2万円 |
1,864,800人 |
経営や金融の専門職をまとめた区分が903.2万円で、システムコンサルタント・設計者より150万円ほど上。どちらを「コンサル」と呼ぶかで、出てくる額はこれだけ動く。
企業規模で180万円の差
システムコンサルタント・設計者を企業規模で割ると、1,000人以上の企業で814.9万円(94,450人)、100〜999人で649.3万円(37,740人)、10〜99人で635.2万円(16,860人)。上と下の差は179.7万円。
規模の大きい側に人数が寄っているのも、平均を見るうえでは効いてくる。149,050人のうち94,450人、63.4%が1,000人以上の企業にいる。全体の752.6万円は、この層に引かれた値。
男女で148万円
男性は783.7万円(117,840人)、女性は635.5万円(31,210人)。差は148.2万円。
年齢と勤続年数も違っていて、男性は42.8歳・16.1年、女性は36.3歳・8.6年。差の内訳までは、この表から分けられない。
年収の23.4%が賞与
7,525.7千円のうち賞与は1,757.3千円。割ると0.234になる。4分の1近くが年1回か2回にまとまって支払われる形。
月の480.7千円のうち、所定内給与額は431.7千円。残りの49.0千円が超過労働などに対する手当で、超過実労働時間の月15時間に対応する。定時で帰る月が続けば、この49.0千円ぶんは下がる。
この数字で言えないこと
きまって支給する現金給与額は6月分の値で、それを12倍した年収は推計値。実際に1年で受け取る額そのものではない。賞与は前年1年間の支給額。
役職別の内訳も無い。アナリストからパートナーまで、この調査では同じ職種区分に入る。ファーム別の比較も、個社を評価の対象として書かない方針なので扱わない。
産業計の表なので、コンサルティング会社に勤めている人だけを取り出した数字でもない。事業会社の情報システム部門で設計を担当している人も、同じ区分に入りうる。
業界の枠で年収を見るなら、ITの平均年収659万円、半数は600万円以下が国税庁の調査で情報通信業を集計している。働く時間の側はITの残業時間、平均は15.8時間に別の調査でまとめてある。