介護の平均年収、計算すると388万円

令和7年(2025年)の賃金構造基本統計調査で、「介護職員(医療・福祉施設等)」の年収を計算すると388.0万円。きまって支給する現金給与額277.7千円を12倍した3,332.4千円に、年間賞与その他特別給与額547.8千円を足した値。集計対象は116万5,930人。

記事によって介護職の年収が340万円台から470万円前後まで振れるのは、施設の介護職員を指しているのかケアマネージャーまで含めているのか、賞与を実額で足しているのか月給の何か月ぶんとして見積もっているのかが、書き手ごとに揃っていないため。この表は職種を小分類まで割っている。区分ごとに数えなおせる。

ケアマネージャーと看護助手で104.2万円離れる

職種(小分類) 月の現金給与額 年間賞与 年収(計算値) 平均年齢 労働者数
介護支援専門員(ケアマネージャー) 309.1千円 704.2千円 441.3万円 53.1歳 94,150人
その他の社会福祉専門職業従事者 304.3千円 765.0千円 441.7万円 46.0歳 229,150人
介護職員(医療・福祉施設等) 277.7千円 547.8千円 388.0万円 45.3歳 1,165,930人
訪問介護従事者 281.6千円 439.7千円 381.9万円 51.2歳 83,920人
看護助手 240.8千円 481.2千円 337.1万円 48.7歳 108,620人

ケアマネージャーの441.3万円と看護助手の337.1万円で、104.2万円の開き。同じ施設の中で働いていても、調査票にどの職種を書かれたかで集計される欄が変わる。

訪問介護従事者は月の現金給与額が281.6千円で介護職員より3.9千円高いのに、年間賞与が439.7千円と108.1千円少ないせいで、年収に直すと6.1万円下に来る。月給だけを並べて職場を選ぶと、ここは見落とす。

所定内給与額は全体より77.7千円低い

介護職員の所定内給与額は262.9千円。一般労働者全体の340.6千円と比べると、77.7千円下にある。

超過実労働時間は月4時間。きまって支給する現金給与額277.7千円と所定内給与額262.9千円の差が14.8千円なので、残業代に当たるのはこのくらい。残業で積み上げる余地は、もともと小さい。

所定内実労働時間は月162時間。夜勤の手当は所定内給与額に含まれているはずだが、月に何回入った人の数字なのか、手当がいくらなのかという内訳は、この表のどこにも出ていない。

企業規模で32.4万円

企業規模 月の現金給与額 年間賞与 年収(計算値) 労働者数
1,000人以上 292.0千円 498.8千円 400.3万円 164,210人
100〜999人 280.9千円 600.1千円 397.1万円 619,670人
10〜99人 266.2千円 484.1千円 367.9万円 382,040人

上と下で32.4万円の差。月給では1,000人以上がいちばん高いのに、賞与では100〜999人が600.1千円で上に出る。年収で見ると両者の差は3.2万円まで縮む。

人数の分布も見ておきたい。116万5,930人のうち61万9,670人、53.1%が100〜999人の企業にいる。全体の388.0万円は、この層に引かれた値。

男女差は47.1万円

男性418.4万円(41万3,280人)、女性371.3万円(75万2,650人)。差は47.1万円。

平均年齢は男性43.1歳、女性46.5歳で、女性のほうが3.4歳上。勤続年数は9.3年と8.9年でほとんど変わらない。年齢と勤続では説明のつかない差が残る。

働いている人の3分の2近く、752,650人が女性。全体の388.0万円は、女性側の水準に近いところに落ちる。

この数字の作り方

きまって支給する現金給与額は令和7年6月分の値。それを12倍して年収を出しているので、6月が繁忙や閑散に寄っていればそのぶんずれる。賞与は令和6年1月から12月までの1年間の支給額で、月給とは対象の期間が違う。

つまり388.0万円は、2つの時点の数字を足した推計値。実際に1年間で受け取った額そのものではない。

公表されているのは平均だけで、この職種の中央値は出ていない。半数がどのあたりにいるかは、この表からは分からない。

処遇改善の加算や報酬改定が2025年6月より後に効いた分も、この数字には入っていない。

この区分に入るもの、入らないもの

「介護職員(医療・福祉施設等)」は施設で働く人の区分。利用者の自宅へ出向く人は「訪問介護従事者」として別に数えられていて、ケアマネージャーや生活相談員もそれぞれ別の小分類に入るので、同じ職場の同僚どうしでも集計される欄は分かれている。

雇用形態も分かれていない。一般労働者の集計なので、短時間労働者は入っていない。パートで働く人の時給は、別の表にある。

産業計の表である点にも注意がいる。介護職員として集計された人のうち、医療機関に勤めている人も福祉施設に勤めている人も、同じ欄に入る。

職種で年収を見る別の例はコンサルの平均年収、近い職種で752万円に、業種で見る例はITの平均年収659万円、半数は600万円以下にまとめてある。

出典

  1. 令和7年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種(小分類)第1表 職種(小分類)、性別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(厚生労働省、2025年)
  2. 令和7年賃金構造基本統計調査の概況(厚生労働省、2025年)