業種別の平均年収、最大3.1倍差

業種別の平均給与は、電気・ガス・熱供給・水道業の854.4万円が最も高く、宿泊業,飲食サービス業の275.8万円が最も低い。差は578.6万円、倍率にして3.10倍。国税庁の民間給与実態統計調査(令和7年分)で、1年を通じて勤務した給与所得者5,163万人を14の業種に割った数値である。全体の平均は486.6万円。

調査の概要

国税庁の民間給与実態統計調査、令和7年分(2025年分)。源泉徴収を行う民間の事業所から抽出した標本調査で、ここで使うのは第9表「業種別及び給与階級別の給与所得者数・給与額」のうち、1年を通じて勤務した給与所得者の計の行である。

給与所得者数は合計51,630,594人。「給与」は源泉徴収票の支払金額にあたる額で、給料・手当と賞与を合わせた年額。社会保険料や税を引く前の数字なので、手取りではない。

業種の区分は14。日本標準産業分類をそのまま使ってはおらず、「学術研究,専門・技術サービス、教育,学習支援業」のように複数の大分類を束ねた区分や、「サービス業」のように782万人が入る広い区分がある。

14業種の平均給与

業種 平均給与 給与所得者数 平均年齢 平均勤続年数
電気・ガス・熱供給・水道業 854.4万円 181,898人 44.8歳 17.7年
金融業,保険業 725.6万円 1,295,359人 45.9歳 15.2年
情報通信業 681.9万円 2,256,682人 42.1歳 11.9年
建設業 590.3万円 4,107,505人 48.6歳 14.9年
製造業 573.0万円 9,256,197人 46.5歳 15.9年
学術研究,専門・技術サービス、教育,学習支援業 567.9万円 2,641,723人 46.9歳 12.0年
不動産業,物品賃貸業 512.5万円 1,276,793人 52.2歳 13.8年
複合サービス事業 509.5万円 1,068,484人 48.7歳 16.7年
運輸業,郵便業 482.5万円 3,063,846人 50.2歳 12.9年
医療,福祉 424.0万円 7,504,153人 47.9歳 9.7年
卸売業,小売業 413.4万円 8,186,734人 47.2歳 12.7年
サービス業 401.7万円 7,827,047人 48.0歳 9.8年
農林水産・鉱業 393.7万円 492,300人 51.6歳 14.8年
宿泊業,飲食サービス業 275.8万円 2,471,873人 42.6歳 8.3年
合計 486.6万円 51,630,594人 47.3歳 12.5年

全体の平均486.6万円を上回るのは8業種で、下回るのが6業種。業種の数では上回る側が多いのに、人数で数えると下回る側に2,955万人、つまり給与所得者の57.2%が入っている。これは業種の平均で人数を分けた結果で、個人ごとの額が平均を上回る割合を示すものではない。

母数の差も大きい。最多の製造業が926万人、最少の電気・ガス・熱供給・水道業が18万人で、50.9倍違う。いちばん高い平均値を出している業種に、いちばん少ない人数しか属していない。

平均勤続年数を並べると、下から3つの業種のうち2つは10年に届かない。宿泊業,飲食サービス業が8.3年、医療,福祉が9.7年、サービス業が9.8年。

賞与の割合は6.1%から23.9%まで

業種 平均給料・手当 平均賞与 賞与が平均給与に占める割合
電気・ガス・熱供給・水道業 690.5万円 163.8万円 19.2%
金融業,保険業 552.6万円 173.1万円 23.9%
情報通信業 557.6万円 124.3万円 18.2%
建設業 503.5万円 86.8万円 14.7%
製造業 461.1万円 111.9万円 19.5%
学術研究,専門・技術サービス、教育,学習支援業 468.0万円 99.8万円 17.6%
不動産業,物品賃貸業 444.2万円 68.3万円 13.3%
複合サービス事業 409.4万円 100.1万円 19.6%
運輸業,郵便業 422.7万円 59.8万円 12.4%
医療,福祉 371.1万円 52.9万円 12.5%
卸売業,小売業 355.5万円 57.9万円 14.0%
サービス業 355.8万円 45.9万円 11.4%
農林水産・鉱業 340.0万円 53.7万円 13.6%
宿泊業,飲食サービス業 259.0万円 16.8万円 6.1%
合計 411.8万円 74.9万円 15.4%

順位の作られ方が業種で違う。金融業,保険業は平均給与では2位に入っているが、給料・手当だけを取り出すと552.6万円で、情報通信業の557.6万円を下回っていて、順位をひっくり返しているのは賞与のほうである。173.1万円と124.3万円。この差が最後に効いている。賞与の額そのものは、いちばん多い金融業,保険業と、いちばん少ない宿泊業,飲食サービス業のあいだで10.3倍の開きがある。

男女で254.9万円

業種 男 女 差
電気・ガス・熱供給・水道業 887.8万円 689.9万円 197.9万円
金融業,保険業 907.4万円 527.2万円 380.2万円
情報通信業 752.2万円 520.0万円 232.2万円
建設業 646.4万円 373.8万円 272.6万円
製造業 655.0万円 371.6万円 283.4万円
学術研究,専門・技術サービス、教育,学習支援業 698.5万円 423.6万円 274.9万円
不動産業,物品賃貸業 632.9万円 359.9万円 273.0万円
複合サービス事業 592.4万円 369.1万円 223.3万円
運輸業,郵便業 521.4万円 333.1万円 188.3万円
医療,福祉 571.2万円 368.6万円 202.6万円
卸売業,小売業 547.7万円 274.2万円 273.5万円
サービス業 485.7万円 301.1万円 184.6万円
農林水産・鉱業 454.3万円 308.2万円 146.1万円
宿泊業,飲食サービス業 369.4万円 198.0万円 171.4万円
合計 596.7万円 341.8万円 254.9万円

差がいちばん大きいのは金融業,保険業の380.2万円、小さいのは農林水産・鉱業の146.1万円。

業種による開きそのものが、男女で違う大きさになっている。男は上が907.4万円、下が369.4万円で2.46倍。女は上が689.9万円、下が198.0万円で3.48倍。女のいちばん上にある電気・ガス・熱供給・水道業の689.9万円は、男の14業種のうち10業種の平均を上から抜いていて、業種の違いが男女の違いより大きく出ている区間がある。この表には職種や役職、勤務時間の内訳が入っていないので、差の中身はここから先は分からない。

この数字の限界

標本調査の推計値である。給与は源泉徴収票の支払金額で、社会保険料と税を引く前の額。

数えているのは1年を通じて勤務した給与所得者だけ。年の途中で入ったり辞めたりした人は別の集計になっているので、この表の平均には入っていない。

業種の区分が14しかない。782万人が「サービス業」に、750万人が「医療,福祉」に入る粒度なので、同じ区分の中の幅は平均の差より大きいことがある。分類されるのは勤め先の事業所の業種なので、同じ仕事をしていても勤め先が変われば区分も変わる。

平均は分布の代表値ではない。真ん中の値との距離は平均年収と中央値、月4.4万円の差に、年による動きは平均年収の推移、5年連続で増えたに分けて書いた。年代で切った数値は年代別の平均年収、ピークは55〜59歳のほう。

検索で出てくる業種別ランキングの多くは、求人票に載ったモデル年収や、転職した人の実績を集めたもの。母集団が違うので、この表の数字と同じ軸に並べられない。

自分の職場に当てはめる

業種の平均は、同じ業種で働く数百万人を1つの値にまとめたもの。自分の額との差を、そのまま評価には使えない。見るとしたら、同じ業種の中で給料・手当と賞与の比率がどうなっているか、自分の明細の内訳がそこからどれだけ離れているか。業種を1つに絞った数値はITの平均年収659万円や不動産の平均年収512万円にある。

workprevu の診断では、いまの職場の労働時間、裁量の度合い、評価が何で決まるかを設問に割って記録する。額の高さと、その額のために引き渡している時間や決定権。2つを並べて記録しておくと、業種を変えるかどうかを考えるときの材料になる。

出典

  1. 令和7年分 民間給与実態統計調査 第9表 業種別及び給与階級別の給与所得者数・給与額(国税庁、2025年分。1年を通じて勤務した給与所得者51,630,594人)
  2. 令和7年分 民間給与実態統計調査 調査結果報告(国税庁、2025年分)
  3. 民間給与実態統計調査(国税庁、調査の一覧ページ)