商社の平均年収、近い分類で905万円

賃金構造基本統計調査に「商社」という区分は無い。総合商社が分類されるのは日本標準産業分類の中分類50「各種商品卸売業」で、令和7年の数値から年収を計算すると905.1万円になる。卸売業全体は655.5万円だから、差は249.6万円。ただし企業規模1,000人以上に絞れば1,221.3万円、10〜99人では542.3万円で、同じ区分の中に2.25倍の開きがある。

調査の概要

厚生労働省の令和7年賃金構造基本統計調査。6月分の賃金を事業所に聞く調査で、常用労働者10人以上の民営事業所が対象になっていて、ここで使うのは一般労働者(短時間労働者を除く)について産業を中分類まで割った第1表である。各種商品卸売業に数えられた一般労働者は35,710人で、表の単位が十人なので原表の3,571を10倍した値。卸売業全体では2,397,330人。

この調査は年収を公表していない。記事の「推計年収」は、きまって支給する現金給与額(6月分、超過労働給与を含む)を12倍したうえで、年間賞与その他特別給与額(前年1年間の実績)を足して出した値で、月ごとの増減や賞与の支給時期を均してしまうため、実際に受け取る額とはずれる。

「商社」はどの分類に入るか

中分類50「各種商品卸売業」は、複数の中分類にまたがり、小分類3項目以上にわたる商品を仕入卸売していて、主たる事業を判別できない事業所が入る区分。その下の細分類5011「各種商品卸売業(従業者が常時100人以上のもの)」の例示に、総合商社が挙げられている。従業者100人未満なら5019「その他の各種商品卸売業」。

扱う商品が1つの小分類に収まる事業所は、51から55のどれかに分かれる。繊維・衣服等、飲食料品、建築材料や鉱物・金属材料等、機械器具、その他の卸売業。名前に商社と付いていても、扱う商品に偏りがあればこちら側に入る。

中分類ごとの推計年収

産業(中分類) きまって支給する現金給与額 年間賞与その他特別給与額 推計年収 一般労働者数
各種商品卸売業 486.4千円 3,214.5千円 905.1万円 35,710人
飲食料品卸売業 426.6千円 1,979.9千円 709.9万円 514,190人
機械器具卸売業 435.1千円 1,657.7千円 687.9万円 864,830人
建築材料,鉱物・金属材料等卸売業 392.0千円 1,423.1千円 612.7万円 394,680人
その他の卸売業 391.0千円 1,194.4千円 588.6万円 461,940人
繊維・衣服等卸売業 359.9千円 883.9千円 520.3万円 125,980人
卸売業計 414.5千円 1,581.4千円 655.5万円 2,397,330人

上と下で384.8万円の差。内訳を見ると、月の給与の差は126.5千円で、12倍しても151.8万円ぶん。残りは賞与の差で、年間賞与その他特別給与額が2,330.6千円、つまり233.1万円違う。

各種商品卸売業では、賞与が推計年収の35.5%を占める。卸売業全体では24.1%。

企業規模で2.25倍開く

企業規模 きまって支給する現金給与額 年間賞与その他特別給与額 推計年収 一般労働者数 平均年齢
1,000人以上 591.6千円 5,114.2千円 1,221.3万円 16,920人 43.1歳
100〜999人 406.8千円 1,694.5千円 657.6万円 12,740人 45.0歳
10〜99人 360.1千円 1,102.0千円 542.3万円 6,050人 46.5歳
企業規模計(10人以上) 486.4千円 3,214.5千円 905.1万円 35,710人 44.4歳

1,000人以上の層が労働者数の47.4%を占める。計の905.1万円がこの層に引き上げられているということで、分布の真ん中にある値ではない。中央値との関係は平均年収と中央値、月4.4万円の差に書いた。

平均年齢は規模が小さいほうが高い。1,000人以上の43.1歳に対して、10〜99人は46.5歳。年齢が上の層が多い区分のほうが推計年収は低く出ている。

年齢階級別

年齢階級 きまって支給する現金給与額 年間賞与その他特別給与額 推計年収
20〜24歳 321.2千円 952.6千円 480.7万円
25〜29歳 391.9千円 1,938.0千円 664.1万円
30〜34歳 437.6千円 2,620.8千円 787.2万円
35〜39歳 475.1千円 3,052.0千円 875.3万円
40〜44歳 536.5千円 4,111.0千円 1,054.9万円
45〜49歳 513.3千円 3,476.3千円 963.6万円
50〜54歳 572.3千円 4,574.8千円 1,144.2万円
55〜59歳 558.7千円 3,886.0千円 1,059.0万円
60〜64歳 408.2千円 2,064.7千円 696.3万円

山は50〜54歳の1,144.2万円。単調には上がらず、45〜49歳は40〜44歳より91.3万円低い。各種商品卸売業の年齢階級ごとの労働者数は数千人の規模なので、1歳刻みの動きとして読む数字ではない。年代別の全体像は年代別の平均年収、ピークは55〜59歳のほうが母数が大きい。

男女で470万円

区分 きまって支給する現金給与額 年間賞与その他特別給与額 推計年収 一般労働者数 平均年齢 平均勤続年数
男 551.0千円 4,041.1千円 1,065.3万円 23,550人 45.3歳 17.1年
女 361.4千円 1,612.7千円 594.9万円 12,160人 42.5歳 13.1年

差は470.4万円。平均勤続年数も4.0年違う。職掌の区分や役職の構成は、この表には入っていない。差がどこから来ているかは、この表だけでは分からない。

この数字の限界

年収そのものは公表されていないので、6月分の給与を12倍して賞与を足すという作り方のぶんだけ、月による変動や昇給の時期、残業の季節差が落ちている。対象も、常用労働者10人以上の民営事業所に限られ、数えているのは一般労働者だけ。短時間労働者は入っていない。

「商社」は分類の名前でもない。各種商品卸売業に入るのは、仕入卸売する商品が幅広く主たる事業を判別できない事業所で、業界の呼び名とは一致しない。

上場企業が有価証券報告書で開示する平均年間給与とは、母集団が別。あちらは提出会社1社の従業員について出した平均で、連結子会社に在籍している人や出向している人を含めるかどうかも会社ごとに決まるため、同じ社名の下で働いていても集計に入らない人がいる。検索で1,500万円台の数字が並ぶのは、この開示のほう。35,710人を対象にした統計の平均と、1社の開示を同じ軸に並べられない。

自分の職場に当てはめる

905.1万円は、35,710人を平均した1つの値。企業規模で2.25倍、男女で470.4万円、年齢階級で663.5万円の幅がある区分の平均なので、自分の額との差をそのまま評価に使えない。見るなら、同じ規模と同じ年齢階級の行である。

workprevu の診断では、いまの職場の労働時間や裁量の度合い、評価が何で決まるかを設問に割って記録する。額の高低と、その額を得るために何を引き渡しているか。2つを並べて記録しておくと、異動や転職を考えるときの材料になる。

出典

  1. 令和7年賃金構造基本統計調査 一般労働者 産業中分類 第1表 年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(I 卸売業,小売業。厚生労働省、2025年)
  2. 令和7年賃金構造基本統計調査の概況(厚生労働省、2025年)
  3. 日本標準産業分類(令和5年7月改定)細分類5011 各種商品卸売業(従業者が常時100人以上のもの)/総務省(e-Stat 分類項目の解説)