転職理由ランキング、男女で1位が違う

転職した人が前の職場を辞めた理由は、男性の最多が「給料等収入が少なかった」で9.9%、女性の最多が「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」で12.9%だった。厚生労働省の令和7年雇用動向調査による。男女で1位が入れ替わる。年齢で見るとさらに入れ替わり、男性の35〜39歳では「会社の将来が不安だった」が12.7%で最も多く、40〜44歳では「能力・個性・資格を生かせなかった」が11.0%で最も多い。ひとつの順位表にまとめられる数字ではない。

男女それぞれの順位

令和7年1年間に転職して入職した人の、前職を辞めた理由。個人の事情として答えられた区分だけを、割合の大きい順に並べた。

順位 男性 割合 女性 割合
1 給料等収入が少なかった 9.9% 労働時間、休日等の労働条件 12.9%
2 職場の人間関係 8.9% 職場の人間関係 11.5%
3 労働時間、休日等の労働条件 8.5% 給料等収入が少なかった 8.6%
4 会社の将来が不安だった 6.9% 仕事の内容に興味を持てなかった 4.6%
5 仕事の内容に興味を持てなかった 5.2% 会社の将来が不安だった 4.3%
5 能力・個性・資格を生かせなかった 5.2% 能力・個性・資格を生かせなかった 3.9%
7 介護・看護 0.8% 出産・育児 1.6%
8 結婚 0.5% 結婚 1.4%
8 出産・育児 0.5% 介護・看護 1.0%

上位3つの顔ぶれは男女で同じ。並び順だけが違う。給料と労働時間が入れ替わり、人間関係は男女とも2位に入っている。男性の5位は2つが同率で、女性も4位から6位が4.6%、4.3%、3.9%と0.7ポイントのなかに収まっており、抽出調査の誤差の幅を考えれば、この並びを順位として読むことにあまり意味はない。順位表の下のほうほど、そうなる。

割合がいちばん大きい区分は、順位から外してある

上の表に入れなかった区分が4つある。「その他の個人的理由」は男性16.8%、女性23.8%だった。「定年・契約期間の満了」が男性16.1%、女性9.8%。「その他の理由(出向等を含む)」は男性12.1%で、女性は7.8%にとどまる。「会社都合」が男性5.3%、女性6.2%。

全区分をそのまま並べると、男性の1位は「その他の個人的理由」の16.8%、2位が「定年・契約期間の満了」の16.1%になる。分類できなかった回答が、どの具体的な理由よりも多い。外して並べ替えた表は、答えた人の2割前後を捨てたうえで作られていて、残ったなかでの相対的な多さを示しているにすぎないが、そのことを書いていない順位表もある。読むときは、この区分の扱いを先に見る。

年齢が上がると、1位が入れ替わる

年齢階級 男性の最多 女性の最多
20〜24歳 給料等収入が少なかった 13.8% 労働時間、休日等の労働条件 18.8%
25〜29歳 給料等収入が少なかった 13.1% 労働時間、休日等の労働条件 14.1%
30〜34歳 給料等収入が少なかった 13.4% 給料等収入が少なかった 12.2%
35〜39歳 会社の将来が不安だった 12.7% 労働時間、休日等の労働条件 13.7%
40〜44歳 能力・個性・資格を生かせなかった 11.0% 職場の人間関係 15.4%
45〜49歳 職場の人間関係 13.3% 労働時間、休日等の労働条件 13.1%

「その他の個人的理由」「定年・契約期間の満了」「会社都合」「その他の理由」を除いたうえでの最多である。

男性は30代半ばで1位が給料から会社の将来へ移り、40代に入ると能力、人間関係と変わっていく。女性は30〜34歳と40〜44歳を除いて「労働時間、休日等の労働条件」が並ぶ。女性の40〜44歳の「職場の人間関係」15.4%は女性全体の11.5%を4ポイント近く上回り、男性の20〜24歳の「給料等収入が少なかった」13.8%は男性全体の9.9%より高い。

区分ごとの母数は小さくなる。年齢階級と性別で割ったあとの数字なので、1〜2ポイントの差を意味のあるものとして読まないほうがいい。

60歳を超えると、理由の半分が「定年・契約期間の満了」になる

男性の60〜64歳では57.8%、65歳以上では52.5%が「定年・契約期間の満了」だった。女性は60〜64歳で34.7%、65歳以上で28.5%。20代から40代までの表とは、理由の分布そのものが違う。定年後に同じ会社や別の会社であらためて雇われた人も統計のうえでは転職入職者に数えられるため、この年齢帯の割合を、不満をきっかけに職場を移った人の分布として読むことはできない。

母集団が違えば、順位も変わる

雇用動向調査は事業所を通じた抽出調査である。常用労働者5人以上の事業所から約15,000事業所を無作為に抽出し、令和7年の調査対象は14,840事業所、平均有効回答率は60.9%。集計に使われた入職者は57,896人だった。前職を辞めた理由を答えたのはこのうちの転職入職者で、前職が雇用者だった人に限られる。自営業からの転職は入っていない。

転職サービスの登録者に聞いた調査でも似た順位表が出るが、母集団が違い、選択肢の作り方も違っていて、「成果で評価されない」「スキルアップしたい」といった区分は雇用動向調査には存在しない。数字の見た目が近くても、この2つは別の測り方をした別の表。順位だけを突き合わせても意味は出ない。

この数字が答えていないこと

理由はひとつだけ選ぶ形式で聞かれている。給料にも労働時間にも人間関係にも不満があった人が、そのうちひとつを選んで答えているので、区分ごとの割合を足しても不満を持っていた人の数にはならず、それぞれの割合は「いちばんの理由」として選ばれた回数を数えたものになる。だから9.9%は、給料に不満があった人の割合ではない。

「その他の個人的理由」の中身は非公表。男女とも最大の区分でありながら、そこに何が入っているのかは、この概況からは分からない。

1年ぶんの断面なので、順位がどう動いてきたかはこの表から出てこない。年をまたいで動いた区分は転職理由の推移、5年で動いた2つで追った。

産業や職業ごとの内訳は、この記事の範囲外。辞めた人がどの業種にいたかは、業種別の早期離職率と業種別の定着率のほうが近い。

自分の理由を、6つの区分に置いてみる

順位を見て自分の位置を測るより、区分に当てはめるほうが使える。6つでいい。給料、人間関係、労働時間、会社の将来、仕事の内容、能力。この6つに、いま辞めたいと思っている理由を書き分けてみて、どれにも入らないものが残ったら、それが自分にとっての「その他の個人的理由」にあたる。

そこが言葉にできていないと、面談でも転職の面接でも説明できない。どの区分で、いつからそう思っているのか。日付とあわせて記録しておくと、一時的な波なのか半年続いているのかが後から分かる。

出典

  1. 令和7年雇用動向調査 結果の概況(表5 転職入職者が前職を辞めた理由別割合)/厚生労働省/令和7年1年間・調査対象14,840事業所・平均有効回答率60.9%・集計入職者数57,896人
  2. 同 結果の概況(PDF。調査の概要と表5)/厚生労働省