残業時間、月の山は10〜12月

1か月の残業時間は、季節でわずかに動く。厚生労働省の毎月勤労統計調査2025年分結果確報で所定外労働時間の指数を四半期別に見ると、10〜12月が109.1で最も高く、7〜9月が103.2で最も低い(2020年平均=100、事業所規模5人以上の調査産業計)。年平均は106.6。

指数を時間に直すと、山と谷の差は月0.5時間ほどになる。年平均の月9.8時間という水準そのものは残業時間の平均は月9.8時間で整理したので、ここでは月による上下だけを見る。

山は10〜12月、谷は7〜9月

期間 所定外労働時間指数 前年比
2025年平均 106.6 −2.5%
1〜3月 106.9 −2.3%
4〜6月 107.2 −2.4%
7〜9月 103.2 −2.8%
10〜12月 109.1 −2.5%

幅は5.9ポイント。1年の中で残業がいちばん多い時期と少ない時期を比べても、この程度しか離れていない。

前年比はどの四半期もマイナスだった。山と谷の位置は変わらないまま、水準だけが2%台下がった2025年。

指数を時間に直すと、差は月0.5時間

2025年平均の指数106.6が、実数の月9.8時間に対応している。10〜12月の109.1は 9.8 × 109.1 ÷ 106.6 で約10.0時間、7〜9月の103.2は 9.8 × 103.2 ÷ 106.6 で約9.5時間。谷と山の差は、1か月あたり0.5時間、1日に割れば1〜2分の違いだ。

繁忙期の感覚とこの数字が合わないのは、平均が業種も職種も混ぜた値で、特定の業種で3月や12月に残業が集中していても、産業計で平均を取ると山と谷が打ち消し合ってしまうからだ。

一般労働者とパートタイム労働者で、山の位置が違う

一般労働者の指数は10〜12月が109.7で最も高く、7〜9月が103.5で最も低い。産業計と同じ形。

パートタイム労働者は形が変わる。最も高いのは1〜3月の109.5で、この四半期だけ前年比が+4.5%とプラスに振れた。7〜9月は103.2まで下がり、前年比は−7.1%。年度末に短時間で働く人の残業が増えて夏に減るという動きになっていて、一般労働者より振れ幅が大きい。

出勤日数が減る1〜3月に、所定外は減らない

同じ表で総実労働時間の指数を見ると、1〜3月は96.7で4つの四半期の中で最も低い。所定内労働時間も96.0で最低。年末年始の休みと2月の日数の少なさで、働いた時間の総量が落ちる期間だ。

ところが所定外労働時間は、同じ1〜3月に106.9。平均より上にいる。所定内労働時間が出勤日数でほぼ決まるのに対して、所定外労働時間は日数と切り離して動くので、カレンダーの日数から今月の残業の見当をつけることができない。

業種によって、2025年の動き方が違った

業種(前年比) 2025年平均 1〜3月 4〜6月 7〜9月 10〜12月
調査産業計 −2.5% −2.3% −2.4% −2.8% −2.5%
製造業 +1.1% +2.2% +2.3% −1.3% +0.8%
卸売業,小売業 −1.0% −1.4% −0.9% −1.5% 0.0%
医療,福祉 −1.2% +2.0% −2.0% −2.7% −2.1%

産業計が4四半期とも前年割れだったのに対し、製造業は3つの四半期でプラス。医療,福祉は1〜3月だけプラスで、残りは3四半期続けてマイナスだった。業種ごとの水準そのものは業種別の残業時間、最長20.6時間にある。

自分の月を比べるときは、季節のぶんを先に引く

手順は3つ。今月が何月かで、その四半期の指数を見る。年平均との差を時間に直す(最大でも0.5時間)。そのうえで自分の残業時間と比べる。

7〜9月の自分の残業が30時間だったとして、季節で説明がつくのは0.3時間ぶん。残りの20時間以上は、季節ではなく職場や職種の側にある差だ。月による上下は、個人の残業時間を説明する要因としては小さい。桁が2つ違う。

この指数で言えないこと

指数は2020年平均を100にした相対値で、基準の年が変われば同じ実態でも数字が動く。四半期の平均なので、12月だけ、3月だけという月単位の値は、この表からは出せない。

平均であることの限界も残る。残業が0時間の人と80時間の人が同じ平均に混ざるので、分布の形はこの統計から見えない。

上限規制の月45時間と、ここで見た所定外労働時間は、数え方からして別の物差しだ。前者は法定労働時間を超えた分、後者は会社の所定労働時間を超えた分。詳しくは36協定とは、残業の上限を決める書面に書いた。

自分の残業が季節で動いているのかどうかは、12か月ぶん並べてみないと分からない。給与明細の残業時間を月ごとに記録しておくと、翌年の同じ月と比べられる。平均との距離より、自分の去年との距離のほうが、面談で使える材料になる。

出典

  1. 毎月勤労統計調査 2025(令和7)年分結果確報/厚生労働省/事業所規模5人以上・調査産業計・常用労働者5,156万人(推計)
  2. 同 全国表2 労働時間指数(四半期別、2020年平均=100)
  3. 同 第2表 月間実労働時間及び出勤日数(就業形態別・事業所規模別)