2025年の所定外労働時間は、運輸業,郵便業の20.6時間が16大産業でいちばん長い。いちばん短いのは医療,福祉の4.9時間。厚生労働省の毎月勤労統計調査2025年分結果確報が、事業所規模5人以上について集計した1人あたり月平均の値で、調査産業計の9.8時間をはさんで、産業のあいだに15.7時間の開きがある。
業種別の残業時間、最長20.6時間
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16大産業の所定外労働時間
| 産業 | 所定外労働時間 | 前年比 | 出勤日数 |
|---|---|---|---|
| 運輸業,郵便業 | 20.6時間 | −5.2% | 19.1日 |
| 電気・ガス業 | 16.3時間 | +2.8% | 18.5日 |
| 情報通信業 | 15.8時間 | 0.0% | 18.5日 |
| 製造業 | 13.4時間 | +1.1% | 18.7日 |
| 建設業 | 12.8時間 | +1.0% | 19.6日 |
| 学術研究等 | 12.8時間 | −4.4% | 18.2日 |
| 金融業,保険業 | 12.4時間 | −3.4% | 18.3日 |
| 不動産・物品賃貸業 | 11.9時間 | −0.3% | 18.4日 |
| 鉱業,採石業等 | 11.6時間 | −17.3% | 19.8日 |
| 教育,学習支援業 | 10.2時間 | −11.0% | 16.0日 |
| その他のサービス業 | 10.1時間 | −4.2% | 17.7日 |
| 調査産業計 | 9.8時間 | −2.5% | 17.4日 |
| 複合サービス事業 | 7.8時間 | −11.9% | 18.7日 |
| 卸売業,小売業 | 7.0時間 | −1.0% | 17.3日 |
| 生活関連サービス等 | 6.7時間 | +5.5% | 16.5日 |
| 飲食サービス業等 | 5.2時間 | −0.8% | 13.4日 |
| 医療,福祉 | 4.9時間 | −1.2% | 17.2日 |
上から4つの産業が調査産業計を5時間以上うわまわり、下から4つは半分以下のところにいる。前年からの動きは産業でばらばらで、鉱業,採石業等の−17.3%から生活関連サービス等の+5.5%まで、22ポイントぶんの幅がある。
全体の水準がどう作られているかは残業時間の平均は月9.8時間に、年ごとの動きは残業時間の推移、山は2022年に書いた。
最長と最短で、月に15.7時間ちがう
運輸業,郵便業の20.6時間と、医療,福祉の4.9時間。この差は月15.7時間で、4倍を超える。1年に直せば188時間ぶんの開きになり、同じ「残業がある職場」という言い方のなかに、週あたり1時間の人と5時間の人が同居していることになる。
真ん中あたりは詰まっている。建設業12.8時間から不動産・物品賃貸業11.9時間までの4産業は0.9時間の幅に並んでいて、順位の上下をそのまま意味のある差として読むことはできない。
飲食サービス業等の5.2時間は、パートを含んだ値
| 産業 | 就業形態計 | 一般労働者 | 差 |
|---|---|---|---|
| 飲食サービス業等 | 5.2時間 | 15.6時間 | 10.4時間 |
| 生活関連サービス等 | 6.7時間 | 10.5時間 | 3.8時間 |
| 卸売業,小売業 | 7.0時間 | 11.3時間 | 4.3時間 |
| 医療,福祉 | 4.9時間 | 6.7時間 | 1.8時間 |
| 運輸業,郵便業 | 20.6時間 | 24.1時間 | 3.5時間 |
| 調査産業計 | 9.8時間 | 13.2時間 | 3.4時間 |
飲食サービス業等は、就業形態計で16産業中2番目に短いのに、一般労働者だけを取り出すと15.6時間まで上がる。差は10.4時間。パートタイム労働者の割合が高い産業では、その人たちの短い所定外が平均を強く引き下げるので、フルタイムで働いている人の実感と、一覧の順位が合わなくなる。
一般労働者だけで並べ替えると、最長は運輸業,郵便業の24.1時間、最短は医療,福祉の6.7時間。開きは17.4時間に広がる。並び順も変わり、就業形態計では下から2番目だった飲食サービス業等が真ん中より上に上がってきて、卸売業,小売業や生活関連サービス等との位置関係も入れ替わる。
出勤日数で割ると、運輸は1日65分
産業ごとに出勤日数も違う。飲食サービス業等は13.4日、鉱業,採石業等は19.8日。月の時間数だけを並べていると、1か月に13日しか出ない職場と20日近く出る職場のあいだにある1日あたりの重さの違いが、表から消えてしまう。
運輸業,郵便業の20.6時間を19.1日で割ると、出勤した1日あたり1.08時間。65分。医療,福祉は4.9時間を17.2日で割って0.28時間、17分になる。月で15.7時間の差は、1日でならすと48分の差として現れる。
自分の月の残業を業種の値と比べるなら、時間数のほかに出勤日数も並べておく。週休二日で月20日働いた人と、シフトで15日だった人では、同じ月15時間でも1日の重さが違ってくる。
表のどこに入るかは、勤め先の主な事業で決まる
産業の区分は、働いている人の職種ではなく、勤め先の事業所が主としている事業で決まる。製造業の事業所で経理を担当していれば製造業に数えられるし、情報通信業の勤め先で営業をしていれば情報通信業に入るので、職種別の残業時間を探してこの表にたどり着いたなら、見ているものが1つずれている。
職業別の所定外労働時間は、この調査が集計していない。別の調査を当たることになる。
この一覧で言えないこと
所定外労働時間は、事業所が記録して報告した時間である。記録に乗らなかった分は、どの産業の平均にも入らない。20.6時間と4.9時間という開きが、働いた時間の差なのか、記録の仕方の差をいくらか含んでいるのかを、この表から切り分けることはできない。
平均であって、分布ではない。医療,福祉の4.9時間という値の下に、月40時間の人がいても数字の上では矛盾しない。産業ごとに月45時間を超えた人が何人いたかは、この集計からは出てこない。
常用労働者5人未満の事業所は対象外。産業の区分は日本標準産業分類の16大産業で、そのなかの業態の違いはならされている。運輸業,郵便業のなかにも、トラックの運転と郵便の窓口が同じ枠で入っている。
管理監督者は時間外労働の上限規制の外にいるが、労働時間の集計には含まれる。産業によって管理職の比率が違えば、その差も平均に乗る。
20.6時間と、自分の先月
給与明細の時間外の欄と、先月の出勤日数を並べる。勤め先の産業の値を表から拾い、フルタイムなら一般労働者の列のほうを使って、自分の時間数を自分の出勤日数で割った値と、産業の値を同じ割り方で出した値とを、1日あたりの分数でそろえて見比べる。
そのうえで、業種の平均には出てこないものが3つある。残業が特定の週に寄っているかどうか。頼まれた残業のうち、前日までに分かっていた割合。定時に帰った日の回数。
産業の値は、同じ産業で働く人をならした1つの数字。自分の月がその数字からどれだけ離れているかは、手元の記録が4週ぶん貯まったところで形になる。何が労働時間に数えられるかの線引きは実労働時間とは何を数えた時間かにまとめた。





