36協定の「期間」は3つに分かれている。時間外労働をさせられる対象期間、協定そのものが効力を持つ有効期間、そして1年の時間数を数え始める起算日。厚生労働省の資料は、協定で定める事項として「対象期間(1年間に限る)」「1年の起算日」「有効期間」を別々に並べている。
36協定は、法定労働時間を超えて働かせるために労使で結び、労働基準監督署長に届け出る書面のこと。上限の時間数や特別条項の中身は36協定とは、残業の上限を決める書面に分けて書いた。ここでは3つの期間の関係を見る。
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36協定の「期間」は3つに分かれている。時間外労働をさせられる対象期間、協定そのものが効力を持つ有効期間、そして1年の時間数を数え始める起算日。厚生労働省の資料は、協定で定める事項として「対象期間(1年間に限る)」「1年の起算日」「有効期間」を別々に並べている。
36協定は、法定労働時間を超えて働かせるために労使で結び、労働基準監督署長に届け出る書面のこと。上限の時間数や特別条項の中身は36協定とは、残業の上限を決める書面に分けて書いた。ここでは3つの期間の関係を見る。
対象期間は、その協定で時間外労働や休日労働をさせることができる期間。厚生労働省の解説では「1年間に限る」と注記されている。対象期間を1年より短く区切ってしまうと、年360時間という上限を数える土台そのものが無くなるので、ここは長さが固定されている。
協定に書く延長時間は「1日」「1か月」「1年」の3つ。上限規制が入ってからは、このそれぞれの限度を定める必要がある。1か月の欄だけを見て自分の上限を判断すると、1か月45時間の協定でも1年の欄が300時間と書かれている職場では、年のほうが先に尽きるという読み落としが起きる。
有効期間は、協定という書面が効力を持っている期間。記載例の注記は「この協定が有効となる期間を定めてください。1年間とすることが望ましいです」と書いている。対象期間が1年に限られるので、合わせて1年にするという関係。
切れたらどうなるか。協定が無い状態に戻るので、会社は法定労働時間を超える時間外労働も、法定休日の労働もさせられない。4月1日から1年間の協定なら、翌年の3月31日までが期限。協定届の右上あたりにある日付が、その期限。
更新は会社側の手続きだが、切れている協定の下で残業を指示されるのは働く側。掲示物の日付が去年のままになっていないか、年度の替わり目に一度見ておく値打ちはある。有効期間が切れているあいだに法定労働時間を超えて働かせれば、協定に書かれた時間数を超えたかどうかとは関係なく労働基準法の違反になるので、日付は時間数と同じくらい効く情報になる。
1年の上限を計算するために、協定期間の起算日を定める必要がある。記載例の注記はさらに条件を付けている。「その1年間においては協定の有効期間にかかわらず、起算日は同一の日である必要があります」。
有効期間と起算日がずれることもあるので、分けて書かれている。年の枠がいつ戻るのかを決めるのは起算日のほう。4月1日が起算日なら、年360時間の枠は毎年4月1日に戻る。3月に残業が集中する職場なら、枠の残りが最も薄いのは2月から3月。
自分の年の残り時間を知りたければ、起算日の月から今月までの時間外労働を足す。計算は足し算だけ。起算日が4月1日で1年の時間数が360時間の協定なら、4月から9月までに200時間を使った時点で、残る半年に配れるのは160時間という引き算になる。
ここが期間の話でいちばん誤解されやすい。協定の期間と、平均を計算する期間は別物。時間外労働と休日労働の合計は、2か月平均から6か月平均までのすべてで月80時間以内でなければならない。この平均は、協定の期間で区切られない。
厚生労働省の解説は、はっきり書いている。「前年度の36協定の対象期間の時間数についても2〜6か月平均の算定時間に含みます」。例として挙がっているのは、2021年4月について計算するには直前の5か月ぶん、2020年11月から2021年3月の実績も必要になる、という形。
示されている数値はこうなっている。2020年11月から2021年4月の時間外労働と休日労働の合計が、45.0・55.0・30.0・20.0・45.0・80.0時間。このとき2か月平均は62.5時間、3か月平均は48.3時間、4か月平均は43.8時間、5か月平均は46.0時間、6か月平均は45.8時間。新しい協定期間に入った4月の80時間が、前の期間の3月の45時間と一緒に平均される。協定が新しくなった月でも、前の協定期間の終わりごろに働いた時間外労働と休日労働は、そのまま平均の材料として残り続けるという形になる。
年の枠は起算日で戻る。月の平均は戻らない。この2つを同じ「期間」として扱うと、4月に残業できる時間数を読み違える。
月45時間を超えて働かせられるのは年6か月まで。この回数も、対象期間の1年で数える。半年ぶんの回数を前半で使い切ってしまうと、後半はどの月も原則の45時間が上限になるので、繁忙期が起算日のどちら側に来るかで、同じ協定でも1年の過ごし方が変わる。
厚生労働省の例では、2021年4月から翌年3月までの月ごとに特別条項の累計回数が並び、1月までに6回を使い切った年度の2月は、時間外労働の上限が原則の45時間に戻っている。年の時間数に残りがあっても、回数が尽きれば45時間で止まる。
回数が戻るのも起算日。特別条項の回数と年の時間数は別々に減っていくので、どちらが先に尽きるかは、その年の繁忙期がどの月に当たるかで変わってくる。
協定届から取り出す日付は3つ。
この3つに、協定の1か月の延長時間と1年の延長時間を足せば、自分の枠の形が決まる。いずれも様式第9号の表面に欄があり、起算日の欄は1年の延長時間の近くに置かれている。
協定の時間数と、実際に働いた時間は別の数字。全国の平均は毎月勤労統計調査で月9.8時間、業種で割ると最長で20.6時間。
職場の繁忙期と起算日の組み合わせは、自分では動かせない条件。4月起算で3月が繁忙期なら年の枠は足りるが、4月起算で5月が繁忙期なら、回数を早い段階で使う。
起算日から今月までの時間外労働を月ごとに並べ、協定の1年の時間数から引いていく。残りが何時間で、特別条項の回数が何回残っているか。起算日と1か月の延長時間、1年の延長時間、特別条項の回数という4つを書き写しておけば、翌月に残業を頼まれたときに、受けるかどうかより先に、枠がどれだけ残っているかを自分の言葉で言える。この2つの数字を月末に書き足すだけで、翌月に何が起きるかが前より読める。
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