テレワーク導入34.1%は会社の数字

テレワークの「導入」は、会社が制度として用意したかどうかを指す語だ。本人がテレワークをしたかどうかは別に数えられていて、2つの数字は重ならない。国土交通省の令和7年度テレワーク人口実態調査では、勤務先にテレワーク制度等が導入されていると答えた雇用型就業者が34.1%、制度に基づいてテレワークをしている人が22.1%。

導入されていても使っていない人がいて、導入されていなくても使っている人がいる。だから自分の職場の話をするときは、どちらの数字の話なのかを先に決める。

導入は会社の決めごと、実施は本人の記録

厚生労働省のガイドラインは、テレワークを制度として導入し実施するにあたって、導入目的・対象業務・対象となり得る労働者の範囲・実施場所・テレワーク可能日・申請等の手続・費用負担・労働時間管理の方法などを、あらかじめ労使で十分に話し合ってルールを定めておくことが重要だとしている。導入とは、この取り決めが済んだ状態を指す。項目の中身はテレワークとは、場所の3区分に並べた。

実施は、本人が実際に事業場の外で働いた日があるかどうか。制度の有無に関係なく数えられる。

導入率という語が指すものも2つある。企業に聞いた導入率は会社を1件として数えたもので、常用雇用者2,000人以上で82.1%のように規模で大きく開く。本人に聞いた制度の有無は人を1件として数えるので、小さい会社に勤めている人が多いぶん低く出る。

3つの割合が入れ子になっている

令和7年度調査は雇用型就業者36,391人に聞いている。数字の関係はこうだ。

勤務先に制度等が導入されていると答えたのは34.1%。そのうち、テレワークを実施したことがある人が64.8%。かけ算の結果として、制度等に基づく雇用型テレワーカーは雇用型就業者全体の22.1%になる。内訳の人数は8,038人。

制度等が無いままテレワークをしている人は3.1%で1,140人。テレワーカー全体は25.2%、9,178人。残りの74.8%、27,213人は非テレワーカー。

ここから分かるのは、制度があるかどうかで実施の確率が大きく変わる一方、制度があっても3人に1人は使っていないということ。制度の有無は入口の条件で、使えるかどうかの答えではない。

制度のある割合は下がり、使う率は上がった

2つの系列は、ここ数年で逆向きに動いている。

勤務先に制度等があると答えた人の割合は、平成28年度の14.2%から令和3年度の40.0%まで増え、そこから令和6年度の33.1%まで下がって、令和7年度は34.1%。制度を引っ込めた会社が出たことになる。

一方、制度等がある人のうちテレワークを実施したことがある人の割合は、令和元年度の49.9%を底にして、令和3年度61.4%、令和7年度64.8%と上がり続けている。制度が残った職場では、使う人が増えた。

実施率そのものの動きはテレワーク実施率の推移に書いた。制度の側と実施の側を分けて見ると、全体の横ばいの中で何が入れ替わったのかが見える。

導入の手順のうち、本人に当たるのは対象者の決定

導入の手順を解説する資料は、たいてい経営判断から始まって、業務分析、推進体制、ルール作り、システム整備と進む。本人が関わる余地があるのは、そのうち対象者の決定と社内ルールの整備の2か所だけ。

ガイドラインは対象者の決め方に2つ留意点を置いている。1つは、雇用形態の違いのみを理由としてテレワークの対象者から除外しないよう留意する必要があるということ。もう1つは、業務の要因で社内に偏りが出る場合、実施する者の優先順位や頻度についてあらかじめ労使で十分に話し合うことが望ましいということ。

対象業務の決め方にも書き込みがある。一般にテレワークを実施することが難しいと考えられる業種・職種であっても個別の業務によっては実施できる場合があり、それまでの業務の在り方を前提に対象業務を選定するのではなく、仕事内容の本質を見て検討することが望ましい、という趣旨。自分の業務が対象外にされている理由が、職種の括りなのか個別の業務の中身なのかは、分けて聞ける。

自分の職場が導入済みかを確かめる3点

人事に聞く前に、確かめる場所が3つある。

就業規則またはテレワーク規程に、テレワークの条文があるか。対象業務と対象となる労働者の範囲に、自分の職種と雇用形態が入っているか。申請の手続と窓口が決まっているか。

3つ揃っていれば導入済み。条文はあるが対象者の範囲に入っていなければ、制度はあって自分は対象外。条文が無ければ、個別の許可で動いている状態。

同じ「テレワークができる職場」という言い方の中に、この3つが混ざっている。どれなのかで、次に動かせるものが変わる。制度はあって対象外なら、交渉の相手は対象者の範囲を決めた規程。条文自体が無いなら、話は制度の新設になる。

制度が無いままのテレワークは、決まっていない項目が残る

1,140人の層が気になる。制度等が無いままテレワークをしている人たちで、雇用型就業者の3.1%。

この状態で抜けやすいのが費用負担と労働時間の扱いだ。ガイドラインが労使で決めておくべきとした項目は、制度を作る過程で決まる。制度を通らずに個別の許可で始めると、通信費を誰が持つのか、中抜けをどう扱うのか、深夜のメールに答える義務があるのかが、どこにも書かれないまま進む。

働けてはいる。ただ、条件が文字になっていない。

記録するのは、制度の範囲と実際の日数

導入されているかどうかは、自分の努力では動かない層にある条件だ。先に決まっていて、入社のあとで知る。

書き写すのは2つ。規程で認められている上限の日数と、実際にテレワークをした日数を4週ぶん。制度の範囲と実際に使えている範囲のあいだに差があるなら、その差がどこで生まれているか。上司の運用か、業務の都合か、自分の申請か。差の出どころが分かれば、持ちかける先も1つに絞れる。

出典

  1. 令和7年度 テレワーク人口実態調査 調査結果(国土交通省、2026年3月公表、雇用型就業者 n=36,391。勤務先の制度等の導入割合はp.14、制度等に基づくテレワーカーの割合はp.15)
  2. テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン(厚生労働省、2021年3月25日改定)