テレワークのメリットとして並ぶ項目は、会社が受け取るものと働く本人が受け取るものが混ざっている。厚生労働省のガイドラインで労働者側に挙げられているのは4つ。通勤時間の短縮とそれに伴う心身の負担の軽減、仕事に集中できる環境での業務効率化、それに伴う時間外労働の削減、育児や介護と仕事の両立の一助となること。
残りは使用者の取り分だ。業務効率化による生産性の向上、育児や介護等を理由とした離職の防止、遠隔地の人材の確保、オフィスコストの削減。同じ一覧に並んでいても、受け取る側が違う。
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テレワークのメリットとして並ぶ項目は、会社が受け取るものと働く本人が受け取るものが混ざっている。厚生労働省のガイドラインで労働者側に挙げられているのは4つ。通勤時間の短縮とそれに伴う心身の負担の軽減、仕事に集中できる環境での業務効率化、それに伴う時間外労働の削減、育児や介護と仕事の両立の一助となること。
残りは使用者の取り分だ。業務効率化による生産性の向上、育児や介護等を理由とした離職の防止、遠隔地の人材の確保、オフィスコストの削減。同じ一覧に並んでいても、受け取る側が違う。
労働者側の4つを並べ直すと、起点は1つしかない。移動に使っていた時間が消えることだ。そこから心身の負担の軽減が来て、時間外労働の削減が来て、育児や介護との両立の一助が来る。
消えた時間がどこへ行くのかは、調査で聞かれている。国土交通省の令和6年度テレワーク人口実態調査は、週1日以上テレワークをしている雇用型テレワーカー3,827人に、テレワークをするようになってから重視する活動がどう変わったかを尋ねた。結果は、生活(家事、育児、介護等)や趣味をより重視する傾向。費やす時間が増えた先は、仕事ではなく生活の側だった。
ここが、メリットの一覧の中で本人が確かめられる唯一の項目でもある。通勤に往復90分を使っていた人なら、週2日のテレワークで月に12時間が戻る。戻った時間を何に使ったか。それは一覧には書いていない。
メリットの大きさを直接測った統計は無い。代わりに置かれているのが、継続意向という列だ。
同じ令和6年度調査で、雇用型テレワーカー8,905人を直近1年間の実施状況で2つに割っている。直近1年間に実施した5,645人のうち、今後も続ける意向を示したのは79.7%。直近1年間は実施していない3,260人では、今後の実施意向が36.0%にとどまる。
雇用型就業者36,219人の全体で見ると、雇用型テレワーカーのうち約64%が継続意向を持ち、雇用型非テレワーカーのうち約16%が実施意向を持つ。やった人とやっていない人で、望む率が4倍ほど離れている。
この差を「やってみると良さが分かる」と読むのは早い。テレワークができる仕事に就いている人が、もともと望んでいた側に偏っている可能性が消えていないからだ。言えるのは、実施者の5人に4人が継続を望んだという事実まで。
ガイドラインは、テレワークが時間外労働の削減につながるというメリットを書いた直後に、逆向きのおそれを2つ挙げている。
1つは、労働者が使用者と離れた場所で勤務するため、相対的に使用者の管理の程度が弱くなること。もう1つは、業務に関する指示や報告が時間帯にかかわらず行われやすくなり、仕事と生活の時間の区別が曖昧となって、生活時間帯の確保に支障が生ずること。
2つめのほうが、本人の生活に直接当たる。夜10時に届いた連絡に答えるかどうかを毎回自分で決める状態が、デメリットの中身だ。
ガイドラインは防ぐ手法も並べている。時間外等にメールを送付することの自粛を命ずること、所定外深夜・休日は事前の許可が無いと社内システムにアクセスできないよう設定すること、時間外等の労働が可能な時間帯や時間数を労使の合意であらかじめ設定すること。どれも会社が設けるルールで、本人の心がけではない。
だから自分の職場のデメリットの大きさは、この3つのうちいくつが決まっているかで数えられる。1つも無ければ、区別は本人の判断に預けられている。
評価の扱いは、ガイドラインが踏み込んで書いている部分だ。テレワークの実施頻度が労働者に委ねられている場合などにあっては、テレワークを実施せずにオフィスで勤務していることを理由として、オフィスに出勤している労働者を高く評価することは、労働者がテレワークを行おうとすることの妨げになるものであり、適切な人事評価とはいえない、という書き方。
テレワークを行う場合の評価方法を通常の評価方法と区別する場合も、条件が付く。誰もがテレワークを行えるようにすることを妨げないよう工夫し、テレワークを選択しようとする労働者にあらかじめその取扱いの内容を説明することが望ましい、とされている。
評価の次に手取りへ響くのが費用負担だが、こちらは労使で決めておく項目の1つとしてテレワークとは、場所の3区分に整理した。通信費や光熱費を誰が持つかは、メリットの一覧には出てこない。書いてあるのは就業規則のほう。
メリットの大きさは日数で変わる。そして望む日数は、人によって違う。
令和6年度調査は、継続意向のある雇用型テレワーカー5,672人に希望頻度を聞いている。最も多いのは週2日で、次いで週1日、週5日以上。半数以上が週3日以上を希望し、7割以上は週1日以上の出社と組み合わせた働き方を希望している。全部を在宅にしたい人は、多数派ではない。
現状との比較も出ている。9割以上が現状と同じか、それ以上の頻度での実施を希望。5割以上は現状を上回る頻度を希望している。いま足りないと感じている人が半分。
実際の頻度の分布はテレワーク頻度の平均は週2日以上に、職場に制度があるかどうかの数字はテレワーク実施率の推移にある。希望と現状のあいだに何日ぶんの差があるか、ここで自分の数字を入れられる。
診断では、時間と場所の自由度をこの設問で測っている。
いつ・どこで働くかを、自分で決められますか(当てはまるものをすべて)
- 働く時間を自分で調整できる(フレックス・裁量労働など)
- 働く場所を選べる(在宅・サテライトなど)
- どちらもできない
当てはまるものをすべて選ぶ形にしているのは、時間と場所が別々に決まるからだ。場所は選べるが始業時刻は動かせない職場もある。逆もある。メリットの一覧は2つをまとめて「柔軟な働き方」と書くが、自分に効いているのがどちらなのかは分けないと分からない。
ここに4週間ぶんの実施日数と、希望する日数を足す。2つの数字の差が、メリットとデメリットの話を自分の条件に戻す材料になる。
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